データドリブン経営やデータドリブンマーケティングといった言葉を聞いたことがあるものの、そもそもデータドリブンとは何か理解できていない方も多いのではないでしょうか。
この記事は上記のような思いをお持ちの方に向けて、データドリブンの意味や注目されている理由、取り組みのメリットをわかりやすく解説します。
データドリブンを実現するステップやポイント、役立つツールなども併せてご紹介します。
データドリブンとは?
データドリブン(Data-Driven)とは、企業に蓄積されたデータに基づいてビジネス上の意思決定を行う手法のことを指します。
マーケティング活動を通じて蓄積された売上や顧客行動などに関するデータを分析することで、示唆や改善点などを抽出し、ビジネス上の具体的な施策に繋げていくのです。
データドリブンが積極的に行われているのは経営やマーケティング領域となり、それぞれ「データドリブン経営」や「データドリブンマーケティング」といった形で、考え方やノウハウが確立されています。
他にも採用や製造、カスタマーサポートの領域においても、データを分析することで業務改善などに繋
げられます。データドリブンはあらゆる企業活動に有効な手法と言えるでしょう。
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データドリブンが注目される理由
以前からデータを活用してビジネスに活かす取り組みは行われていましたが、なぜ今データドリブンが改めて注目を集めているのでしょうか。
理由としては主に以下の三点が挙げられます。
顧客の行動や価値観の多様化
インターネットが発展し、モノやサービスに溢れた現代社会において、顧客の行動や価値観が多様化しています。
同じカテゴリの製品を選ぶ場合でも、デザインを重視する人もいれば、重量にこだわる人や、ブランドを基準にする人もいるのです。
また購買に至る行動も顧客によって異なり、テレビや新聞といったマスメディアで情報収集する人から、SNSをベースに情報を集める人まで、多岐にわたります。
このような状況では従来のように勘や経験を基に、顧客の行動を分析したり予測したりすることが難しくなり、データ活用の必要性が増してきたのです。
変化の激しいビジネスへの対応
現代のビジネス環境は変化が激しく、今は顧客に求められている製品・サービスであっても、来年も同じとは限りません。
革新的な製品・サービスが次々に登場し、顧客ニーズもすぐに変化してしまうからです。
こういった変化の激しいビジネス競争で生き残るためには、顧客に関する様々なデータを分析し、顧客ニーズに応えるビジネスを他社に先行して展開しなければなりません。
データドリブンは、現代のビジネスを勝ち抜くためには欠かせない手法なのです。
デジタルテクノロジーの発展
2000年頃に始まったIT革命以降、デジタルテクノロジーの発展は著しく、インターネットをはじめ、検索エンジンやAIといった様々な技術が登場しました。
これらの技術の登場により、従来は明確ではなかった売上の原因なども、データで具体的に分析できるようになったのです。
デジタルテクノロジーを積極的に活用する企業を中心に、データドリブンの考え方やノウハウが確立され、業績向上に繋げています。他の企業も追随する形でデータドリブンの取り組みを始めている状況です。
データドリブンに取り組む3つのメリット
次にデータドリブンに取り組むことで、実際にどのようなメリットが得られるのかを確認していきましょう。
1. 数値に基づいた根拠ある意思決定ができる
データドリブンは、経験や勘ではなく、数値に基づいて意思決定をします。そのため、より客観的な判断ができ、ビジネス施策に失敗した際の原因究明にも役立ちます。
経験や勘に基づいた意思決定を行っている場合、仮に取り組みが成功したとしても原因が明確ではないため、ノウハウとして蓄積できません。ビジネス環境や担当者が変わると成功のヒントが見えなくなる恐れがあるのです。
その点、データドリブンは数値などのデータに基づいて意思決定を行うため、結果と原因の関係性が明確になり、改善活動や成功までの道筋も立てやすくなります。
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2. 課題や改善策が見つかる
データドリブンでは、ビジネス上の施策効果に関するデータも収集・蓄積するため、課題の発見や改善策の立案など高い精度で取り組むことができます。
例えばWebサイトでアクセス解析に取り組むことで、ページの閲覧数や閲覧時間、離脱されているページなどの把握が可能です。
これらのデータを分析することで、Webサイト上のどこに課題があるのかを把握でき、効率よく改善できるでしょう。
3. 費用対効果の高い施策が実施できる
データドリブンに取り組むことで、効果の高い施策に予算を集中させることが可能となります。
各施策の効果を把握できていなければ、費用対効果の悪い施策に対しても予算を投入し続けることになり、利益が減少する状態に陥ってしまうでしょう。
その点データドリブンに取り組めば、各施策の効果をタイムリーに把握できるため、費用対効果の悪い施策からは早々に手を引くことができます。
効果の高い施策に予算を配分することで、ROI(Return On Investment:投資収益率)の改善にも繋げられるでしょう。
データドリブンを実現するステップ
ここからはデータドリブンを実現する流れを、4つのステップに分けてご紹介します。
STEP1. データ収集
データドリブンを実現するには、まず目的を明確にしてからデータを蓄積・収集する必要があります。
例えばWeb広告の改善を目的とする場合は、クリック率や表示回数、コンバージョン率などを中心にデータ収集します。
データを収集する手段としては、Web解析ツールやDMP(データマネジメントプラットフォーム)を活用するケースが多いですが、アンケートやインタビューといった手法もあります。
データはそのままでは分析に使えないため、データ形式を統一したり異常値を除去したりすることが必要です。
アンケートをアナログで情報収集する場合は、OCRや文字起こしツールなどのデ―タ化できるツールを併せて導入しておくとよいでしょう。
STEP2. データ可視化
データ収集の後は、分析しやすいように表やグラフなどの形にまとめ、可視化します。
データとデータの関係性が視覚的にわかりやすくなり、分析を効率的に行うことが可能です。
可視化するには、Excelやスプレッドシートといった表計算ツールや、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールなどを活用することをおすすめします。
STEP3. データ分析
続いて、可視化したデータを分析していきます。
BIなどの分析ツールを活用すれば、可視化したデータから有益な情報や示唆を簡単に抽出できます。
より精度の高い分析を行いたい場合は、データサイエンティストやデータアナリストといったデータ分析の専門家の協力を得るとよいでしょう。
データ分析については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご確認ください。
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STEP4. 意思決定・実行
データ分析によって得られた示唆に基づいて、意思決定を行い、具体的なアクションに落とし込んでいきます。
例えばオウンドメディアで配信している記事コンテンツについて、「検索エンジンからの流入は一定数以上あるものの、想定した顧客行動にまで繋げられていない」という情報が得られたとしましょう。
その場合、記事コンテンツにおけるCTA(Call To Action:行動喚起のための要素)を見直します。別コンテンツや問い合わせページへの導線を最適化させるため、サイドバーのデザインを変えるなど改善を行います。
このようにデータ分析によって得られた情報を基に、意思決定や具体的なアクションに繋げることで、ビジネスの成果を上げることができるのです。
データドリブンに取り組む際のポイント
データドリブンのステップをご確認いただいたところで、取り組みのポイントも併せて押さえておきましょう。
1. データ分析ができる人材の確保
BIなどのツールを活用すれば、専門的な知識を持っていなくてもある程度のデータ分析は可能ですが、より高度なデータ分析を行う場合はデータ分析に精通した人材を確保しなければなりません。
具体的には、RやSASといった分析用のプログラミング言語や統計学の知識、ディープラーニングなどを活用できるスキルを持ったデータサイエンティスト、データアナリストが必要です。
これらの人材は希少で採用難易度も高いため、社内で育成するというのも一つの方法です。
2. データ活用文化の醸成
データ分析のスペシャリストを確保し、データ分析ができる環境になったとしても、組織全体がデータ活用の意義やメリットを理解しなければ、データドリブンは実現できません。
データは部署をまたいで収集・共有されることで、初めて分析に活かされます。そのためデータ活用の重要性や、データドリブンによって得られるメリットなどを社内に向けて説明し、データ活用文化を浸透させていく必要があるのです。
これまで経験や勘を重視してきた企業の場合は、データ活用に懐疑的な立場を取る人も一定数いるかもしれません。そういった人に対しても繰り返し有用性などを伝え、データ活用の文化を醸成していくことが大切です。
3. 各部署との連携を円滑化
データドリブンで効果を出すには、各部署との円滑な連携が欠かせません。
企業が蓄積・収集するデータは多岐にわたり、様々な部署に分散しています。
これらのデータを目的に応じて統合し、分析するには、各部署と連携し情報共有することが必須です。
組織が大きくなるほど、業務プロセスや情報システムが部署ごとに孤立化する「サイロ化」が生じます。そのため、情報を一元管理できるツールなどを導入し、情報共有しやすい環境を構築することがポイントです。
4. データ収集・分析に必要なツールの導入
データの収集や分析を効率的に行うには、様々なツールの活用が必要です。
情報を一元管理できるツールや可視化に役立つツールなど、目的や用途に合わせたツールを導入することで、データドリブンの取り組みを円滑化できるのです。
データドリブンを行う際に活用すべきツールについては、この後ご紹介しますので、ぜひ参考にしていただき導入をご検討ください。
データドリブンで活用すべきツール6選
それでは最後にデータドリブンで活用すべきツールとして、以下の6つをご紹介します。
1. DMP(データマネジメントプラットフォーム)
DMP(データマネジメントプラットフォーム)は、インターネットや社内に蓄積されたデータを一元管理できるプラットフォームです。
DMPは対象とするデータによって、以下の2つの種類に分けられます。
DNS | 対象データ |
---|---|
パブリック(オープン)DMP | プライベートDMP (CDP カスタマーデータプラットフォーム) |
人口統計学的な情報やユーザーのWeb上の行動履歴、SNS上のデータといった外部情報を管理する | 顧客情報や購買履歴、販売データ、問い合わせ内容といった自社で直接取得した一次情報を中心に管理する |
いずれのDMPも蓄積したデータの統合や分析を行う機能も搭載されているため、データドリブンを効率的に進めていくことができるでしょう。
2. Web解析ツール
Web解析ツールは、Webサイトを訪れたユーザーの情報を把握できるツールです。
具体的には以下のようなデータを確認・測定できます。
- 流入経路
- 流入キーワード
- 検索エンジン上での表示順位
- 滞在時間
- 離脱ページ
Web解析ツールにも様々な種類がありますが、中でも代表格となるのがGoogleアナリティクスです。
Googleアナリティクスはページビュー数やユーザーの年齢層など、Webサイトに訪問中のユーザー情報がわかります。これに加え、メルマガやアプリからの流入率も測定できます。
また、ユーザーがどのような検索でWebサイトにたどり着いたかがわかるツールが、Googleサーチコンソールです。SEO対策に効果的で、Googleアナリティクスとの連携により、ユーザー行動をさらに詳しく分析できます。
3. MA(マーケティングオートメーション)
MA(マーケティングオートメーション)は、マーケティング活動の効率化や自動化を実現するツールです。
見込み顧客情報の管理をはじめ、メール配信や顧客リスト作成を自動化させる機能や問い合わせフォーム作成機能などが搭載されています。
その他、見込み顧客の行動を点数化し、購買意欲を可視化するスコアリング機能なども利用できるため、優先すべき顧客にフォーカスしてマーケティングアプローチを展開できるでしょう。
MAの中にはGoogleアナリティクスや、この後ご紹介するSFAなどと連携できるものがあるため、データドリブンを効率的に行う上で欠かせないツールと言えます。
4. SFA(営業支援ツール)
SFA(営業支援ツール)は営業活動を支援するためのツールです。
顧客情報の管理、見込み顧客のデータや商談内容などの案件管理、売上を予測する予実管理、アポイント件数や受注率などの営業管理といった機能があります。
営業プロセスと結果を見える化することで、営業活動の改善が可能です。
5. CRM(顧客関係管理)
CRM(顧客関係管理)は、主に既存顧客に関する情報を管理し、顧客との関係性を構築するためのツールです。特に、顧客からの問い合わせに対応するカスタマーサポート部門で役立ちます。
CRMは、購買履歴や商談内容、クレーム情報といったデータを一元的に管理できます。
それらのデータを分析することで、各既存顧客にパーソナライズされたアプローチを実現でき、リピート促進やロイヤルティ向上に繋げることが可能です。
6. BI(ビジネスインテリジェンス)
BI(ビジネスインテリジェンス)は、経営戦略上の意思決定を支援するツールです。SFAやCRMなどの企業システムに蓄積されたデータや、ExcelやPDF上のデータを収集し、分析することが可能です。
データサイエンティストのような専門家でなくても、オンライン分析処理機能やデータマイニング機能を活用することで、大量のデータが分析でき、意思決定に役立つ情報を得ることができます。
また、レポートの自動作成機能を活用すれば、月次報告書作成などの手間を削減し、業務効率を高めることができるでしょう。
まとめ
今回はデータドリブンをテーマに、注目される理由や実現するための手順などをまとめて解説してきましたが、いかがでしたか。
顧客行動が多様化し、ビジネスの変化が激しい現代では、これまでの勘や経験が当てにならないことが往々にして起こり得ます。
そういった状況の中で確実にビジネスの成果を上げていくには、データをどれだけ活用できるかがポイントになるでしょう。
ぜひこの記事を参考にデータドリブンな企業活動を実現してください。
この記事の監修者:
馬見塚堅(Meltwate Japanエンタープライズソリューションディレクター)
2016年にMeltwater Japan株式会社入社。 外部データ活用に向けてマーケティング・企画・広報部向けのコンサルティングを7年で200社以上を担当。 現在は、大手企業や官公庁向けのソリューション企画に従事。インフルエンサーマーケティングや消費者インサイトに関するセミナー実績多数。 趣味:旅行、子育て情報収集、仮想通貨、サッカー観戦(川崎フロンターレの大ファンです)