究極のPRガイド2021: インタビュー・ブログ ・パート1
テーマ 1: 変化するPRの役割
はじめに
メルトウォーター・ジャパンでは先日、”究極のPRガイド 2021”と題するeBookをホームページにアップしました。このガイドでは、様々な組織がそのブランドや製品・サービスに関する対外コミュニケーションをより戦略的に行っていくうえで、PR 部門とマーケティング部門とのさらなる緊密な連携がいかに重要かつ効果的か、について解説しています。そこでこのブログでは、様々な企業や組織においてPR部門とマーケティング部門は現在どのように協力し合っているのか、当社のクライアントの状況に詳しいマネージングディレクターの石垣友啓に話を聞きます。
Q1:
PRガイド2021の中でメルトウォーターは、PR部門がより積極的にマ
ーケティングコミュニケーションに関わることを提案しています。特に
PESOモデルを引用しながら、デジタルかつソーシャルなコミュニケー
ションがノーマルな時代に、PR部門が従来の責任領域(プレスリリース
をベースとした対外発信や記者向けのピッチなど)を超えて、市場におけ
るマーケティング部門の成果を高めるための大きな力になれると解説して
います。PRチームにこのような大きな発想転換が求められる背景には何
があるのでしょうか?
A1 : (by 石垣)
- 一般の人々にとってソーシャルメディアがごく日常的なものになったことにより、企業はマスメディアだけに頼らずとも自分のブランドや製品、サービスについて一般の人々、コンシューマーに直接アピールできるようになりました。同時にコンシューマーの側でも、ブランドや製品、サービスについて自由に評価し、感想をシェアし、それがマーケティングの成功に決定的なインパクトを持つようになっています。
- デジタル、ソーシャルの時代にもはや企業の側ではブランドや製品やサービスに対する人々の評価、レピュテーションを自らコントロールすることはできず、コンシューマー同士が作り出すコミュニティーの中での評判やインフルエンサーによるレビューが決め手となっています。そうした時代に、PR部門が日頃のソーシャルリスニングや競合リサーチを通じて得た外部のインサイト(アウトサイドインサイト)はマーケティング戦略構築にとってまたとない助けとなるものです。もちろん、そのためにはPR部門がこうした状況を敏感に察知し、そうしたインサイトを獲得するツールを積極的に活用していくことが前提となります。
Q2:
なるほど。それでは実際に、PRとマーケティングのチームはどうすれ
ば市場での成功に向けて一体感のあるチームになれるのでしょうか。
ガイドの中では社内でのPRのコミュニケーションのループにマーケテ
ィング部門を入れること、マーケティングコミュニケーション立案
のための共同会議体をつくること等を提案していますが。
メルトウォーターの日本におけるクライアントはこの点どうでしょう
か。何か具体的に興味深い動きがありますか。またメルトウォーター
のサービスには現在何が期待されているでしょうか?
A2 : (by 石垣)
- クライアント企業の中にはこうしたトレンドに対する感度が高く、組織的にも、日々の活動の上でもPR部門とマーケティング部門が一体となって動けるようにしているところが増えています。外資系企業、B2Cの企業の間でいち早くそうした動きが起こるのは想像に難くありませんが、ここのところ日系のB2B企業の中でも、トップダウンで組織改革を実施して、横断的に動ける部門を新設するところが増えてきているようです。PRとマーケティングの横断的な組織連携がうまくいっている企業では、SNS公式アカウントの運営、SNSのリスニング、SNS上でのキャンペーンの実施において部門内の役割分担と成果目標が明確に定められているケースが多いように見受けられます。
- 一方で、PRとマーケティングのオーディエンスの違いを重視し、両部門は別組織として運営する方が適切だと考えるクライアント企業ももちろんあります。そうした企業では、発信チャネルの多様化をうまく利用して、PR向けには企業情報、企業戦略にフォーカスしたSNS公式サイトを、マーケティング向けには製品・サービスの魅力の訴求に特化した専用SNS公式サイトを運用することで、それぞれの部門の役割の違いをシステム的に明確化しています。
- 組織的にPR,マーケティングの両部門が一体として運営されているか、それぞれ独立して運営されているかに関わらず、PRとマーケティングの成果をそれぞれ数値的に測定し可視化することを各企業が重視する流れがますます強まっていることは間違いありません。オンラインのニュースのモニタリング、ソーシャルリスニングと、SNS公式アカウントの運用指標や効果測定をワンプラットフォームで実現できる当社のツールは、こうした状況で企業の多様なPR/マーケティングニーズに機動的にお応えできるものであると考えています。
ありがとうございました。
市場での競争環境が劇的に変化して行く中で、市場での成功に向けてどのような対外コミュニケーション組織を作るかは、経営上きわめて重要な決定事項と言えるでしょう。
さて、
デジタル、ソーシャルのコミュニケーションが全盛となっている現在、PRとマーケティングのチームの関わり方にも大きな変化がある一方、企業と外部のエージェンシーの関わり方にも変化はあるのでしょうか。メルトウォーター・ジャパンでエージェンシーとのつながりの深い山崎伊代にこの点をアップデートしてもらおうと思います。
Q3:
対外的なコミュニケーションのあり方がこのように変化してきている状況
で、企業が外部のエージェンシーから期待するサービス内容に大きな変化
はありますか。またエージェンシーの方でも、このような環境変化を踏
まえて、いろいろと新たなサービスの提案をしていると思いますが、何か
興味深い事例があるでしょうか。
A3: (by 山崎)
- クライアント企業の中には、小さくてもデジタル、ソーシャルに強く、その領域で自社ブランド、製品、サービスをしっかりアピールする提案をしてくれるエージェンシーに切り替えるところが増えています。
例えば、当社クライアントで全世界的にも有名な日系化粧品メーカーは、今後3年で広告費の90%以上をデジタル媒体で使う計画を決算資料でも公にし、エージェンシーに関しても、そのシフトに向けて専門性の高いところを既に選択されているとのことです。 - 伝統的なビッグエージェンシーもデジタル・ソーシャルのソリューションの提案を強め、提案パッケージにメルトウォーターを組み込むケースも増えています。
- PRとマーケティンングのインテグレーションが進んでいる企業では、個別にエージェンシーをリテインするのではなく、しっかりと同じ目的で一つのエージェンシーを使うところが増えてきている印象です。
- メルトウォーターはクリエイティブな成果物は提供しませんが、市場での成功に直結する外部のインサイトをソーシャル、デジタルのチャネルから集めてソリューションを提供する、という意味でコミュニケーションエージェンシーであり、そうした強みをさらにいろいろな企業にアピールしていきます。
- メルトウォーターのツールには、PDCAの特にPとCを支える機能があります。そのため、エージェンシーの立場からすると、企業が新たな商品をローンチする際に、ターゲットとするデモグラフィーやその層の趣味趣向などに関して事前にTwitter上の情報を元にオーディエンス分析をした上でPlanを提案し、その後、自分たちの提案したキャンペーンの反応がどれだけあったのかをCheck。その前後にあるD/Aとの連携をスムーズにすることが可能となるため、エージェンシーでは必要不可欠なツールになってきていると感じています。
ありがとうございました。
PRとマーケティングの組織的な連携の在り方を考えると同時に、PR部門とマーケティング部門それぞれの目標成果を明確に設定し、それぞれの成果を測定し可視化するための効果的ツールを求める企業・組織は確実に増えています。私たちメルトウォーターとしても、当社ツールの機能をさらに磨いていくとともに、その効果的な使い方も含めたソリューション提案型のサービスを強化していきたいと思います。
次回のブログでは、PR.マーケティングの連携に関して海外からの視点をご紹介したいと思います。お楽しみに。
石垣友啓プロフィール:
カスタマーサクセス マネジングディレクター
山崎伊代プロフィール:
アカウントエグゼクティブ