2024年5月13日、OpenAIはChatGPTの新たなモデル「ChatGPT-4o(GPT-4o)」を発表しました。今回のアップデートにより、テキストだけでなく音声や画像、動画を処理・理解できるマルチモーダル対応や高速音声処理など、ChatGPTは大きな技術的進展を遂げています。
そこで今回は、最新のGPT-4oの発表に伴う世界と日本でのトレンドを調査しました。世界と日本の関心の高さや話題になっていること、GPT-4oの特徴などについて解説していきます。
ChatGPT-4oの発表
2024年5月13日、OpenAIは新たな主力モデル「GPT-4o」を発表しました。「o」はラテン語の接頭辞「omni」に由来し、「あまねく、すべての」という意味があります。
GPT-4oは、テキスト、音声、画像、動画をリアルタイムで処理・出力できることが特徴です。特に音声入力に対する応答速度は、平均0.32秒と人間に限りなく近い時間となっており、リアルタイムでの自然な対話が実現できます。
この技術進歩は、人間とAIのインタラクションをより直感的で自然なものにし、未来のコミュニケーションの在り方を変える可能性を秘めています。GPT-4oの登場により、AIの応用範囲がさらに広がり、日常生活やビジネスの多くの場面で革新が期待されます。
リアルタイム!世界と日本でのChatGPT-4oの話題調査
GPT-4oの発表は世界と日本でどのように話題になっていたのか、Meltwaterのツールを使って調査しました。X(旧:Twitter)での話題調査結果をもとに、GPT-4oに対する人々の反応や国別トレンドの違いなどをリアルタイムで考察していきます。
GPT-4oのメンショントレンド
OpenAIからGPT-4oの発表があった2024年5月13日の翌日、Xでは約21万7千件ものメンションがありました。
グラフの通り、発表日翌日の14日にメンション数が急増していることがわかります。これは、5月14日にOpenAIがXで、GPT-4oについてポストしたためと見られます。GPT-4oの機能を試している様子の動画を複数アップした結果、多くの人々の注目を集めました。
GPT-4oに関する投稿をしたユーザーの地域分布
以下は、GPT-4oについて投稿したユーザーの地域分布です。
日本が断トツで1位にランクインしており、日本国内だけで約14万2千件と全体のメンション数の6割以上を占めているのが特徴です。日本人のChatGPTや新技術に対する関心の高さが見て取れます。
2位には約4万件でアメリカ、3位には約1万2千件でインドが続きます。アメリカはAI技術の研究と開発の主要な拠点でもあり、多くの技術者や研究者、ChatGPTのEnterpriseユーザーがこの発表に注目したことがうかがえます。インドもAI技術の採用が進んでいる国であり、特にIT産業やスタートアップ企業が多く存在することから、新技術の発表に対する関心が高いのでしょう。
エンゲージメントが最も高いGPT-4oに関する投稿
続いて、GPT-4oに関連したXの投稿でエンゲージメントが最も高かった投稿を考察していきます(2024年6月時点)。エンゲージメントとは、「いいね」やリポストなど、SNSの投稿に対する反応の多さのことです。
投稿の内容 | 言語 | 投稿のURL | |
---|---|---|---|
1位 | GPT-4oと会話するデモ動画(OpenAIの公式発表) | 英語 | https://x.com/OpenAI/status/1790072174117613963 |
2位 | 中二病になりきったGPT-4oの書き込み | 日本語 | https://x.com/wgextra/status/1790265050688872565 |
3位 | GPT-4oがリアルタイムで学習をサポートするデモ動画 | 英語 | https://x.com/mckaywrigley/status/1790088880919818332 |
エンゲージメントが最も高かった投稿は、2024年5月14日にOpenAIにより投稿された動画でした。投稿には、実際にAIとスマートフォンで会話をする様子が映されています。高速処理による自然な反応ができるGPT-4oの特徴を表していることから、高いエンゲージメントを獲得したと考えられます。
2番目にエンゲージメントが高かった投稿は、日本語のコンテンツでした。GPT-4oが中二病になりきって作成した書き込みが完璧で面白いと話題になりました。
今回の調査では言語制限をかけず、すべての言語を対象としたにもかかわらず、日本語のコンテンツが2位にランクインしていることは、日本人のGPT-4oへの関心の高さを表していると言えるでしょう。
リーチが最も高いGPT-4oに関する投稿
以下は、GPT-4oに関連したXの投稿でリーチが多かった投稿です(2024年6月時点)。リーチとは、ここではコンテンツのリンク先への到達率のことです。
投稿の内容 | 言語 | 投稿のURL | |
---|---|---|---|
1位 | The New York TimesによるGPT-4oの発表 | 英語 | https://x.com/nytimes/status/1797002747260072119 |
2位 | ReutersによるGPT-4oの発表 | 英語 | https://x.com/Reuters/status/1790214214344122416 |
3位 | Reutersによる、リアルタイムで会話を楽しめるGPT-4oの動画での紹介 | 英語 | https://x.com/Reuters/status/1790521222138036442 |
リーチが多かった1〜3位の投稿すべてが、世界的に信頼性と影響力が高いメディアによるGPT-4oの発表や紹介のコンテンツでした。加えて英語という国際言語の使用、タイムリーな情報提供、そして技術的な魅力がリーチ数の多さに大きく寄与していると考えられます。GPT-4oの発表は、多くの人々の関心を集めることに成功しました。
注目している関連ワード調査
GPT-4oの発表に対する世間の反応を深掘りするために、Xで使用されている上位キーワードとエンティティ(絵文字などを作るコード)について解説します。
以下の画像は、「GPT-4o」に関する日本語の投稿で、頻繁に表示されるキーワードやハッシュタグ、絵文字です。
調査結果から、「gpt-」が最も多く、GPT-4oに限らずChatGPT全般についての投稿の多さがわかります。
加えて、「無料ユーザー」「iphone」といったキーワードからは、GPT-4oのアクセス方法やiPhoneでの利用方法について投稿している人が多い様子がうかがえます。また、「完成度」「画像認識力」「実用性」など、GPT-4oで何ができるか気になる人も多いようです。
ハッシュタグは、「#gpt4o」以外にも、広告や宣伝に関連する投稿を意味する「#ad」が多く使用されています。絵文字については、人気や注目度、高評価、驚きなどを示すポジティブなものが目立ちます。
総括すると、GPT-4oに関する関心の焦点はその技術的特徴や性能、実用性、そして利用方法などであることがわかります。
知っておきたい!ChatGPT-4oの特徴
GPT-4oは、世界中で話題になるほど、これまでのバージョンよりも進化したAIです。ここからは、GPT-4oを使うとどんなことが可能になるのか、主な特徴を3つ紹介します。
マルチモーダル対応
GPT-4oには、テキストだけでなく、音声や画像、動画などさまざまな形式のデータを同時に処理・理解する能力があります。これにより相手の表情や雰囲気なども加味した、より高度かつ自然なコミュニケーションや情報処理が可能になります。
ただし、リアルタイムでの動画分析や音声解析など、GPT-4oの高度な動画認識と音声認識の機能については段階的に提供が開始される予定です。一般公開までもう少し待ちましょう。
音声処理
話し言葉を理解し、自然に応答する能力があります。例えば、スマートスピーカーへの音声コマンドの追加や、リアルタイム翻訳、音声メモの作成などが実行可能です。
テキスト処理
文章やチャットメッセージを理解し、文章生成、翻訳、質問応答などのタスクを遂行します。これにより、多様な情報をテキストとして処理・生成できます。
画像処理
写真や絵などのビジュアルデータを認識・解釈し、画像生成、画像キャプション生成、画像検索などのタスクを実行します。数枚の写真やキャラクターの絵から一連のストーリーを画像で作成したり、手書きの図をデータ化したりすることが可能です。視覚情報を利用したさまざまな応用が可能になります。
高速音声処理
GPT-4oでは、音声入力に対する応答スピードが飛躍的に向上しました。以前も音声モードを使用してChatGPTと会話をすること自体はできましたが、平均で2.8秒(GPT3.5)、5.4秒(GPT4)かかりました。これは、音声を一旦テキストに起こして処理する必要があったためです。
一方でGPT-4oに質問をすると、最短0.232秒、平均して0.32秒と瞬時に回答してくれます。音声を音声のまま処理するといった音声処理速度の向上により、まるで人間と会話をしているかのような自然なインタラクションが可能です。
実際にChatGPTの公式サイトでは、人間に近い応答時間のChatGPTと音声で会話を楽しむデモが公開されています。
無料ユーザーへの提供開始と料金の値下げ
2023年3月15日に発表されたGPT4は、有料ユーザーのみ使用できます。しかし、GPT-4oは、回数制限はあるものの無料ユーザーでも利用することが可能になっています。
さらに、開発社向けAPIでは、GPT-4oは以前のGPT4 Turboと比較して2倍の速度であるにもかかわらず、50%も安価になりました。これにより、より多くの企業や開発者がAI技術を導入しやすくなるでしょう。
GPT-4oの無料ユーザーへの提供開始と料金の値下げは、AI技術の普及と利便性の向上に大きく貢献する重要なステップだと言えます。
まとめ
今回の調査で、ChatGPTの最新モデル「GPT-4o」は、発表後に全世界で大きなトレンドとなっていたことがわかりました。特に、日本国内ではGPT-4oの技術的特徴やユーザー体験などがSNS上で大きな話題になっており、関心の高さがうかがえます。
GPT-4oは、回数制限はありますが無料ユーザーでも利用することができるので、気になった方はぜひ使用感を試してみてください。今後もChatGPTがもたらすイノベーションに注目し、その進化を見守っていきましょう。
この記事の監修者:
宮崎桃(Meltwate Japanエンタープライズソリューションディレクター)
国際基督教大学卒。2016年よりMeltwater Japan株式会社にて新規営業を担当。 2020年よりエンタープライズソリューションディレクターとして大手企業向けのソリューションを提供。 ソーシャルメディアデータ活用による企業の課題解決・ブランディング支援の実績多数。 趣味は映画鑑賞、激辛グルメ、ゲーム