企業が持続的に事業を行っていくためには、顧客ニーズを的確に把握し、それに応えるサービスや商品を提供し続けなければなりません。一方、顧客ニーズをどのようにつかめばよいかわからない方も多いのではないでしょうか。
そこで役立つのが、VOC分析です。VOC分析とは、顧客の声(Voice Of Customer)を収集・分析して事業活動に役立てる手法のことです。顧客の声は、アンケートやインタビュー、チャット、SNSなどで収集できます。
分析結果をもとに施策を立案・実行すれば、顧客満足度アップや商品・サービスの改善に役立てられます。
VOC分析とは?
VOC分析を実施するメリット
VOC分析の実施を検討すべき企業の特徴
VOCを収集できる主なチャネル
VOC分析に有効な手法「4Aサイクル」とは
VOC分析を実施する手順
VOC分析の効果を最大化する3つのポイント
VOC分析で役立つツール
まとめ|VOC分析を実施して顧客ニーズに対応しよう
VOC分析とは?
VOCは「Voice Of Customer」の略で、顧客の声を指します。VOC分析とは、顧客の意見や感想を収集・分析して、商品やサービスの改善・開発に役立てる手法のことです。
VOC分析では顧客の意見を幅広く収集できるため、企業側の視点のみでは発見しづらい顧客ニーズをつかむことが可能です。導入によって、顧客満足度の向上や売上の増加、競争力の強化などに期待できます。
従来はVOC分析に適したツールが少なかったため、効率的にVOC分析を行うのが難しい環境にありました。しかし、現在では様々なツールが普及しており、活用する企業が増えています。刻一刻と変化する顧客ニーズを把握し、スピーディに事業活動に反映できるのが特徴です。
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VOC分析を実施するメリット
VOC分析の主なメリットを3つ紹介します。
1. 顧客満足度の向上につながる
VOC分析では顧客の不満や要望などを把握できるため、改善により顧客満足度の向上につなげることが可能です。顧客離れの防止やリピート率の向上、口コミの拡散など、様々なメリットが期待できます。
▶あわせて読みたい:口コミ分析とは?分析すべき口コミの種類や分析手法を解説
2. 商品・サービスの改善や開発に役立つ
顧客の意見を幅広く収集できるため、商品やサービスの改善・開発に役立てることが可能です。例えば、新商品を発売した際に「不具合がある」「この機能は使いにくい」といったマイナス点に関する声も集められるため、スピーディに改善できます。
また、新たなニーズを早期にキャッチできるため、新しい商品・サービスの開発にも役立ちます。先手を打つことで、競合他社よりも優位に事業活動を行うことが可能です。
3. マーケティング施策に活かせる
収集した顧客の声をもとに、効果的なマーケティング施策を立案できます。例えば、分析によって、好意的な意見の多くが40~50代の顧客からだとわかった場合、その年代にターゲットを絞り込んでマーケティングを強化することが可能です。
また、商品やサービスについて「使いやすい」「操作が簡単」といった声が多かった場合、「誰でも簡単に使える」といったキャッチコピーで広告を作成することもできます。VOC分析をマーケティングに活かせば、売上の最大化を目指せます。
VOC分析の実施を検討すべき企業の特徴
VOC分析は業界や業種を問わず様々な企業で活用することが可能です。以下はその中でも、VOC分析を実施することでメリットを得られる可能性が高い企業の特徴です。
- 顧客満足度が低い企業
- リピート率が低い企業
- ブランディングに取り組みたい企業
- 商品やサービスの改善に取り組みたい企業
- 競争が激しい業界の企業
- 新たなビジネスチャンスを創出したい企業
VOC分析を実施すれば、顧客の声を収集できるため、自社の理想とのギャップを把握できます。商品・サービスの改善や開発だけでなく、ブランディングやマーケティングなどでもヒントを得られるでしょう。上記に当てはまる場合は、積極的にVOC分析の活用を検討してみることをおすすめします。
VOCを収集できる主なチャネル
1. SNSなどのソーシャルメディア
SNS、ブログ、掲示板などのソーシャルメディアは、VOC分析では欠かせないチャネルです。特にInstagramやX(旧Twitter)のような匿名性が高いSNSは、顧客の本音が発信されやすい傾向があります。なお、ソーシャルメディア上でVOCを収集する方法はソーシャルリスニングと呼ばれます。
商品名やサービス名に加えて、関連するワードを抽出すれば、どのような評価を受けているのかを把握できます。ただし、ソーシャルメディアの情報は正確性に欠ける場合もあるため、注意が必要です。
▶あわせて読みたい:ソーシャルリスニングとは?重要性や分析手法、事例を解説
2. コンタクトセンター
コンタクトセンターは顧客からの問い合わせに対応する組織です。電話やメール、チャットなどで顧客とやりとりするため、そこからVOCを収集できます。中でも、電話による問い合わせは、顧客の不満や要望などを直接詳しくヒアリングできるというメリットがあります。
また、メールやWebサイトの問い合わせフォーム、チャットでは、顧客が気軽に意見を書けるため、電話では言いづらいような内容も収集可能です。
3. アンケート
アンケートは、顧客に質問を投げかけ、回答を収集する方法です。紙媒体やWeb、電話、メールなどの方法で実施できます。匿名性が高いため、顧客の本音を聞き出しやすいだけでなく、自社が知りたい内容を指定して顧客の意見を聞ける点がメリットです。特定の商品やサービス、自社のブランドイメージなどに限定して調査を実施できます。
一方、質問は自由に設定できるため、作成者の先入観や偏見に左右されないようにする必要があります。
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VOC分析に有効な手法「4Aサイクル」とは
VOC分析を実施する上で欠かせないのが4Aサイクルです。4Aサイクルとは、以下の4つを継続的に循環させるマネジメント手法のことです。
4A | 意味 |
---|---|
Accept | VOCを収集する |
Analyze | 収集したVOCを分析する |
Acknowledge | 分析結果を共有する |
Act | 分析結果から導き出した課題の改善を実行する |
これから紹介するVOC分析を実施する際の流れにも含まれる要素なので、ぜひ覚えておきましょう。
VOC分析を実施する手順
VOC分析の手順は以下の通りです。
- VOC分析の目的を設定
- 収集する手法の選定
- 収集・分析
- 分析結果を対策・改善に活用
- 効果測定
順番に解説します。
1. VOC分析の目的を設定
まずはVOC分析を実施する目的を明確にしましょう。目的が定まっていない場合、必要なツールを絞り込めなかったり、効果が出にくかったりする可能性があるからです。
例えば、既存顧客の満足度を高めたい場合と新たな顧客を獲得したい場合とでは、ターゲットが異なります。ターゲットによって、既存顧客にアンケートを取るのか、一定の年齢層をSNSで調査するのか、などVOCを収集するチャネルも違ってきます。自社の課題や今後の展望などをもとに、VOC分析によって何を実現したいのかを明確にすることが重要です。
2. 収集する手法の選定
次に、VOCを収集する手法を決めます。重要なポイントは、目的やターゲットに合致したものを選ぶことです。
商品の使い方や使う場面など特定のことを知りたい場合は、アンケート調査がおすすめです。競合他社の動向やトレンドを把握するなら、ソーシャルリスニングがよいでしょう。
3. 収集・分析
選定した手法を使ってVOCを収集・分析します。取り扱うデータ量が膨大になるケースも多いため、手作業で対応するのは現実的ではありません。ツールを活用して、効率的に実施するのがおすすめです。
4. 分析結果を対策・改善に活用
分析結果をもとに対策を立てたり、改善につなげたりします。企業活動に反映して初めてVOC分析の効果は発揮されます。
例えば、分析した結果「商品が使いにくい」という声が多かった場合、シンプルな操作への改善や使い方ガイドの作成などの対応が考えられます。ツールを使えば、素早い対応が可能です。
5. 効果測定
最後は効果測定です。客観的に測定できる指標を用いて、分析結果をもとに実施した取り組みを評価しましょう。
「顧客満足度は何ポイント向上したのか」「認知度やシェアにはどのくらい寄与したのか」などを数値で測定するのがポイントです。効果を振り返りながら、改善を繰り返せば、VOC分析をブラッシュアップできます。
VOC分析の効果を最大化する3つのポイント
VOCは、目標を定めた上でそれに合ったチャネルから幅広く収集することがポイントです。
1. 複数チャネルからVOCを収集する
VOC分析を効果的に実施するためには、様々なチャネルからVOCを収集しましょう。VOCを収集する範囲が広ければ、多様な声を聞けるからです。
ターゲットによってチャネルを絞るのは大切ですが、できれば2つ以上用意しておくのがおすすめです。特にシニア層はオンラインとオフラインとどちらにもなじみがあるため、ターゲットにする場合は両方の手段を押さえておくとよいでしょう
2. 目的・課題に関連したデータを抽出する
自社の目的や課題に関連したデータに絞り込んで抽出しましょう。VOC分析では、膨大なデータを収集できますが、すべてを活用できるわけではありません。
あらゆる情報を分析対象にしてしまうと、効率が悪くなるおそれがあります。欲しいデータに絞り込むことで、分析結果の信頼性や顧客アプローチの精度を高められます。
3. 自社に適したツール・サービスを活用する
VOC分析で成果を出すには、目的や自社に適したツールやサービスを利用することが不可欠です。
コンタクトセンターでVOCを収集するのであれば、音声をテキスト化できるツールがよいでしょう。アンケートによりVOCを収集したい場合はアンケート作成ツールが適しています。トライアルでツールの使いやすさも確認しておきましょう。
VOC分析で役立つツール
VOC分析で役立つツールは以下の通りです。
ツール | 詳細 |
---|---|
テキストマイニングツール | 膨大なテキストデータから、特定のキーワードやパターンを抽出できる |
自動音声認識ツール | 電話やインタビューなどの音声データをテキスト化できる |
ソーシャルリスニングツール | SNSなどソーシャルメディア上のVOCを収集・分析できる |
CRM(顧客関係管理)ツール | 属性や購買履歴、問い合わせ履歴などの様々な顧客情報を一元管理できる |
アンケート作成ツール | アンケートの作成や配信、集計を効率化できる |
まとめ|VOC分析を実施して顧客ニーズに対応しよう
市場競争が激化する現代社会で企業が生き残るには、顧客ニーズを的確に把握し、満足度の高い商品やサービスを提供し続ける必要があります。
そのためにも、VOC分析は欠かせない打ち手と言えるでしょう。中でも押さえておきたい分析チャネルがソーシャルメディアです。顧客のリアルな声を膨大に収集できるだけでなく、市場のトレンドもリアルタイムで把握できます。
膨大なデータ処理を手作業で行うのは現実的ではありません。Meltwaterでは、VOC分析に効果的なソーシャルリスニングツールを提供しています。「効率的にVOCを収集・分析したい」「精度の高いマーケティング戦略を立案したい」と考えている方はぜひお役立てください。
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この記事の監修者:
山﨑伊代(Meltwate Japanエンタープライズソリューションディレクター)
大学卒業後、新規顧客開拓セールスコンサルタントとしてMeltwater Japan株式会社入社。
食品・生活用品・エンタメ・自動車・機械・学校法人等多種多様な企業・団体の広報・マーケティング部門のデジタル化並びにグローバル化をMeltwaterのソリューションを通して支援。 2016年~2018年グローバルセールスランキング首位。 趣味は山登りとビデオゲーム。