Web広告を運用しているものの、インプレッションなどさまざまな評価指標があり、どのように理解し活用すればいいのか迷っている方も多いでしょう。
本記事ではインプレッションを中心に広告評価で活用する指標を紹介しつつ、計算方法や増やす方法などを解説します。インプレッションを増やす上で注意すべき点についてもご紹介します。
インプレッションとは?
インプレッションの重要性
インプレッションと類似した指標
インプレッションと併せて活用したい指標
広告におけるインプレッションの計算方法
インプレッションを増やす方法
インプレッションを増やす際の注意点
まとめ|インプレッションや他指標を活用しマーケティング施策を改善
インプレッションとは?
インプレッションとは、Web広告やWebコンテンツ、SNSの投稿などがユーザーのWeb画面上に表示された回数のことです。Webマーケティングにおける評価指標の一つであり、「imp」とも表記されます。
Web広告やSNS投稿などをユーザーに届け、購買などのアクションを促すには、広告や投稿がそもそもWeb上に表示されなければなりません。インプレッションは、ユーザーに広告などがリーチする前段階の対策として活用されます。Web広告はユーザーの属性によって表示されるため、インプレッションを増やすにはターゲットの設定が何よりも重要です。
インプレッションはあくまで表示された回数であるため、ユーザーの目に触れたかどうかや、クリックなどの具体的なアクションがあったかどうかは、また別の指標で測らなければなりません。
広告媒体やSNS投稿におけるインプレッション
Web広告におけるインプレッションは、Web広告がユーザーの閲覧しているWebページ上に表示された回数を表します。例えば、1人のユーザーのWeb画面に広告が3度表示されたら、インプレッションは3です。リスティング広告であれば検索結果のページに、ディスプレイ広告であればWebサイトの広告枠に表示されます。
XやInstagram、FacebookなどのSNSにおけるインプレッションは、Web広告の表示回数を指す場合と、自分の投稿が他のユーザーのタイムラインやフィードに表示された回数を指す場合があります。
SEOにおけるインプレッション
SEO(検索エンジン最適化)におけるインプレッションは、検索結果ページにおいてWebページのタイトルが表示された回数です。
Google Search Consoleを使えば、特定の検索キーワードにおけるタイトルの表示回数が測定できます。検索結果ページは縦長で、画面上ではページ全体は見えませんが、検索結果ページにリーチしていれば1カウントされる仕組みです。1ページあたり10位まで表示されることがほとんどなので、10位以内に入っていれば、検索時に必ずインプレッションが得られることになります。
インプレッションの重要性
インプレッションはブランドや商品の認知度を把握する上で重要な指標です。
認知状態を作るには、ブランドとユーザーが何度も繰り返し接触する必要があります。インプレッションが多いほど、ユーザーの目に触れる機会も多くなり、それだけブランドの認知度を高められるといえるでしょう。
インプレッションはユーザーのアクションを示す指標ではありませんが、そもそもクリックなどのコンバージョンは、広告やコンテンツが表示されなければ発生しません。
そのためWebマーケティングにおいて、インプレッションをリアルタイムで測定し、広告やSNSによるアプローチ施策を改善していくことが求められるのです。
インプレッションと類似した指標
インプレッションと同じく、Webマーケティングにおいてよく使われる指標として、以下の3つの指標を併せて確認しましょう。
PV(ページビュー)
PV(ページビュー)は、Webサイト内の特定のWebページが閲覧された回数を示す指標です。サイトではなく、ページが単位となります。3人のユーザーが同じページを見たら、PVは3です。
PVを把握することで、Webサイト内でユーザーが特に必要としている情報がわかります。また、PVが低いページを知り、ページにリーチしやすいようなデザインを考えることも可能です。
リーチ
リーチは、Web広告を見たユーザー数を表す指標です。例えば1人のユーザーがWeb広告を3度見たとすると、インプレッションは3となりますが、リーチは1となります。
リーチの数は、どれだけのユーザーが広告を目にしたかを把握できるため、ブランドの認知度を把握するのに役立ちます。
エンゲージメント
SNSにおけるエンゲージメントとは、SNS投稿に対する反応の強さを示す指標のことです。「SNS投稿に対する行動(いいね・シェア・コメントなどの回数) ÷ インプレッション」が測定方法の一つです。
ユーザーが投稿コンテンツに対してどれだけ関心や興味を抱いているかを把握できるため、SNS運用においては最も重要な評価指標の一つといえます。エンゲージメントが高い投稿は、SNSのアルゴリズムにおいて高品質のコンテンツと判断され、インプレッションがさらに増えるでしょう。
インプレッションと併せて活用したい指標
ここからはインプレッションと併せて活用することで、より効果的な効果検証を実現できる指標をご紹介します。
CTR(クリック率)
CTR(Click Through Rate:クリック率)とは、Web広告やコンテンツがクリックされた割合を示す指標です。以下の計算式で算出します。
CTR(%)= クリック数 ÷ インプレッション数× 100
例えばWeb広告のインプレッションが2000、クリック数が100の場合のCTRは、「100 ÷ 2000 × 100」で5%となります。
CTRはターゲットに対して効果的な訴求ができているかを判断するために役立つ指標となります。インプレッションが高くてCTRが低いのであれば、ターゲットユーザーの属性設定は適切なものの、ユーザーを引きつけるタイトルやデザインの表現が足りないということになるでしょう。
CVR(コンバージョン率)
CVR(Conversion Rate:コンバージョン率)とは、Webサイトを訪問したユーザーのうち、企業の成果(コンバージョン)に繋がる特定のアクションを起こしたユーザーの割合を示す指標です。何をコンバージョンとするかは、商品の購入や資料ダウンロード、問い合わせなど、企業の目的によって異なります。
Web広告のCVRは以下の計算式で求められます。
CVR(%)= コンバージョン数 ÷ セッション数(Webサイトの訪問者数)× 100
例えばコンバージョンを問い合わせと設定し、問い合わせが5件、訪問者数が200だった場合のCVRは、「5 ÷ 200 × 100」で2.5%です。ユーザーが広告やコンテンツをクリックした数からCVRを割り出したい場合は「コンバージョン数 ÷ クリック数 × 100」で算出する方法もあります。
CVRはビジネス成果に直結する指標であり、Webサイトや広告のパフォーマンスの最終的な評価を測る上で重宝するでしょう。
CPM(コストパーミル)
CPM(Cost Per Mille)は、Web広告が1000回表示されるごとに発生する費用を表します。インプレッション単価とも呼ばれ、広告の露出度と予算のバランスを測る際に活用されます。
CPM=広告費 ÷ インプレッション(広告表示数)× 1000
例えば、広告費が30万円で60万回表示されたら、CPMは500円となります。
CPMと類似した指標としてCPC(Cost per Click)があります。1クリックあたりの広告費用のことで、リスティング広告の評価指標としても活用されています。
CPC=広告費 ÷ クリック回数
例えば、広告費が20万円で2000回クリックされたら、CPMは100円となります。CPMもCPCも、数値が低ければ低いほど費用対効果が高いといえます。
広告におけるインプレッションの計算方法
続いて、広告におけるインプレッションの計算方法をご紹介します。
Web広告のインプレッション計算方法
Web広告におけるインプレッションの計算は、広告サービスによって異なります。
- Google広告
「1ピクセル以上の広告の表示回数=インプレッション]
- Yahoo!広告
「広告が掲載された数=インプレッション」
ページの下部に掲載されて実際にはユーザーに表示されない場合も、インプレッションが1カウントされる。
- リスティング広告
「検索結果のページにWebページのタイトルが表示された回数=インプレッション」。
ユーザーが広告を見たかどうかを指標にしたい場合は、「視認範囲のインプレッション単価(Google)」や「ビューラブルインプレッション(Yahoo!)」などを確認する方法があります。
SNS広告のインプレッション計算方法
SNS広告のインプレッションも、プラットフォームによりカウント方法が異なります。
- Meta広告(Facebook・Instagram)
「広告の表示回数=インプレッション」
動画広告は、動画が再生されなくても表示されれば1カウントされる。
- YouTube広告・インストリーム広告(動画の最初・途中・最後で表示される広告)の場合は、動画が再生されるとインプレッションがカウントされる。
・インフィード広告(動画のおすすめ欄などに表示される広告)の場合は、動画サムネイルが表示された時点でカウントされる。
・YouTube ショート広告(動画と動画の間の広告)の場合は、動画が再生されるとカウントされる。
Xのインプレッションは、広告ではなく自分の投稿(ポスト)が他のユーザーのタイムラインに表示された回数です。1人のユーザーが同じ投稿を3度見た場合は、3インプレッションとなります。
インプレッションを増やす方法
次にインプレッションを増やす方法についてご紹介します。
ターゲットの見直し
インプレッションが伸び悩んでいる場合、そもそもターゲット設定が適切でないケースがあります。Web広告は、検索キーワードやユーザーの属性などに合わせて表示されるため、ターゲット設定は重要です。また、あまりに細かく設定し過ぎると、リーチできる母数自体が少なくなり、インプレッションが得られない可能性もあるでしょう。
ターゲットの設定は、インプレッションだけでなくマーケティング全体に関わる要素です。実際の顧客から年齢・趣味・よく使う媒体などを定期的に割り出しながら、ターゲット設定してみることが大切です。
広告予算の見直し
広告の費用対効果から、予算を見直してみましょう。過去の予算と集客の様子を比べ、費用の大きさが効果に影響しているかを見極めます。
予算を増やすことで効果が上がる場合もあります。手数料を払って外部委託すれば、専門家の手で広告が作成されるため効果が期待できます。しかし、最終的に重要なのは広告の質です。例えば、リスティング広告の掲載順位は、上限クリック単価だけでなく広告の質も加味されて決められます。
費用対効果が見られなかった場合は、予算を抑えながら質に着目してみることです。Web広告には掲載だけでは費用が発生しないものが多くあります。クリック課金や1000回ごとの広告表示による課金などで、CPMやCPCと連携して効果を測ることが可能です。広告予算が決められている場合は、GoogleとYahoo!の自動運用機能で予算管理をする方法もあります。
キーワードの見直し
リスティング広告はユーザーが検索したキーワードに基づいて表示されるため、キーワードの設定はインプレッション数に大きく影響します。ターゲットユーザーを踏まえ、適切なキーワードを設定する必要があります。
検索ボリュームが大きいキーワードは、多くのインプレッションが見込めるものの、その分競合も多くなるため単価が高くなりやすいです。予算も踏まえながらサブキーワードを設定し、ターゲットを絞り込むことも有効でしょう。
タイトルとメタディスクリプションの改善
SEOによるインプレッションを増加させるには、Webページのタイトルやメタディスクリプションを改善することも有効です。
タイトルやメタディスクリプションの内容に検索キーワードを取り入れることで、Webサイトが上位に表示されるようになり、多くのユーザーの訪問が期待できます。
サイトの訪問者が増えれば検索エンジンからの評価も高まり、Webサイトがより上位表示されるようになります。結果としてインプレッションの向上にも繋げられるのです。
コンテンツの改善
WebページやSNSのコンテンツを改善することも、インプレッションを増加させる方法です。
ターゲットにコンテンツを届けるには、キーワードの設定だけでは足りません。競合と差別化するためにも、キャッチコピーや画像などの工夫のほか、ターゲットが必要としている情報を含めることが大切です。
既に上位表示されているコンテンツを参考にしながら、自社の独自性を加味して制作すると良いでしょう。
インプレッションを増やす際の注意点
最後にインプレッションを増やす上で注意すべき点を確認します。
ターゲットに届いているか確認
インプレッションはあくまで広告やコンテンツの表示回数です。実際にターゲットが見ているのかは測れないため、ほかの指標も参考にする必要があります。
CTR(クリック率)やリーチなどの値から、ユーザーが広告やコンテンツを見たかどうか確認してみましょう。もし、インプレッションが多いにも関わらず、CTRやエンゲージメントが低い場合、タイトルや画像にインパクトがない可能性が高いです。
ターゲットの関心に合ったコンテンツか確認
タイトルや画像でターゲットを引きつけたあとは、PV(ページビュー)やCVR(コンバージョン率)、エンゲージメントなどを確認しながら、コンテンツ内容がターゲットの関心に合っているか確認しましょう。
コンテンツの質を高めることで、ビジネス成果につながるCVRをアップできます。ポイントは、ターゲットの悩みや疑問に答える形でコンテンツを作ることです。ターゲットニーズを深く分析し、コンテンツの効果検証と改善を繰り返すことで、新たな顧客を得られるでしょう。
まとめ|インプレッションや他指標を活用しマーケティング施策を改善
インプレッションはWeb広告やコンテンツの表示回数のことで、広告やコンテンツを多くのターゲットに届けるための土台となる指標でもあります。インプレッションを増やしてから、見るユーザーを増やし、それから購買などの具体的なアクションをするユーザーを増やしていきます。
ターゲットの行動は、インプレッションだけではわかりません。CTR(クリック率)やCVR(コンバージョン率)などの指標を複数合わせることで効果が見えてきます。ターゲットのニーズ分析や質の高いコンテンツ作りを繰り返しながら、マーケティングにおけるPDCAを回していきましょう。
この記事の監修者:
宮崎桃(Meltwate Japanエンタープライズソリューションディレクター)
国際基督教大学卒。2016年よりMeltwater Japan株式会社にて新規営業を担当。 2020年よりエンタープライズソリューションディレクターとして大手企業向けのソリューションを提供。 ソーシャルメディアデータ活用による企業の課題解決・ブランディング支援の実績多数。 趣味は映画鑑賞、激辛グルメ、ゲーム