「フォロワー数の多いインフルエンサーを起用してプロモーションを実施したが、購買にまでなかなか繋げられない。」
こういったお悩みを抱えていらっしゃる方は、一度ナノインフルエンサーの起用を検討してみてはいかがでしょうか。
ナノインフルエンサーはインフルエンサーの中ではフォロワー数が少ないですが、フォロワーとのやりとりが密でコアなファンに大きな影響力を持っています。
この記事はナノインフルエンサーの定義や特徴、起用するメリットなどをまとめて解説していきます。
ナノインフルエンサーとは?
ナノインフルエンサーとマイクロインフルエンサーの違い
ナノインフルエンサーを起用するメリット
ナノインフルエンサーを起用するデメリット
ナノインフルエンサーの探し方
ナノインフルエンサーを選ぶ際のポイント
まとめ
ナノインフルエンサーとは?
かつて世間や消費者に対して影響力を持っていたのは、芸能人やスポーツ選手といった有名人に限られていましたが、SNSの登場により、一般人でも世の中に対して影響力を持つ人物が現れました。
そういった人達を「インフルエンサー」と呼び、Instagramを中心としたSNS上で、それぞれ特定の分野において消費者の行動に大きな影響を及ぼしています。
一口にインフルエンサーと言ってもフォロワーの数によって、以下の4種類に分かれます。
▶︎ 関連記事:インフルエンサーマーケティングとは?起用のメリットや成功事例を解説
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本記事のテーマであるナノインフルエンサーは最もフォロワー数が少なく、数千~1万人程度のフォロワーを抱えたインフルエンサーです。
ナノインフルエンサーは上記の通りフォロワー数自体は少ないですが、その限られたフォロワーに対しては他のインフルエンサー以上の影響力を持ちます。
そのため購買などの具体的な行動に繋げたい場合、他のインフルエンサーを起用するよりも効果が高いケースがあり、ナノインフルエンサーを積極的に起用している企業もあるのです。
ナノインフルエンサーとマイクロインフルエンサーの違い
フォロワーの少ないインフルエンサーとして、もう一つマイクロインフルエンサーがいます。
先の表にも記載しましたが、フォロワーが1万~10万人程度のインフルエンサーがマイクロインフルエンサーであり、ナノインフルエンサーよりもフォロワー数が多くなっています。
マイクロインフルエンサーもナノインフルエンサーも、規模が小さい分、フォロワーとの距離が近いのが特徴です。
マイクロインフルエンサーのほうが受注慣れしている人が多いため、選定や投稿作成は進めやすいでしょう。一方、ナノインフルエンサーのほうがより限られた層にアプローチでき、費用も抑えられます。
参考:「マイクロインフルエンサー」に関する詳しい記事はこちら
<マイクロインフルエンサーとは?特徴と起用した成功事例を解説>
ナノインフルエンサーを起用するメリット
続いてナノインフルエンサーを起用するメリットとして、以下の4点をご紹介します。
1. ユーザーとの距離が近い
ナノインフルエンサー起用の大きなメリットとしては、ユーザーとの距離が近いことが挙げられます。
その他のインフルエンサーが数万~数十万人のフォロワーを持っているのに対して、ナノインフルエンサーはフォロワーの規模が最も小さく、数千~1万人程度となっています。
そのためユーザーからのコメントやリアクションに反応していることも多く、ユーザーとの距離はインフルエンサーの中でも群を抜いて近いと言えます。
2. エンゲージメント率が高い
続いてご紹介するメリットはエンゲージメントが高いという点です。
一つ目のメリットでご紹介したように、ナノインフルエンサーはユーザーとの距離感が非常に近いため、エンゲージメント率(投稿に反応したユーザーの割合)が高いという特徴があります。
そのため購買などの行動喚起を目的とするマーケティング施策において、ナノインフルエンサーの起用はかなり有効と言えるでしょう。
3. 低コストで発信できる
ナノインフルエンサーを起用すれば、低コストでプロモーションや発信ができるという点も大きなメリットと言えます。
メガインフルエンサーやパワーインフルエンサーなどを起用する場合、そのフォロワーの規模を踏まえると、多大な費用が掛かることは言うまでもありません。
その点、ナノインフルエンサーは起用に掛かる費用も比較的安くなるため、低コストでのプロモーションが可能です。
4. ニッチなユーザー層やコアユーザー層に発信できる
メリットの最後にご紹介するのは、多くの企業が狙わないようなニッチなユーザーや、熱心なコアユーザーに発信できるという点です。
ナノインフルエンサーはフォロワーの数こそ少ないものの、特定分野のコミュニティを形成し、そこで影響力を発揮しています。
そのコミュニティにはニッチなニーズを持つユーザーや、その分野に対する関心度が非常に高いコアユーザーが参加しているため、そういったユーザー層にリーチしたい場合は、ナノインフルエンサーの起用を検討すると良いでしょう。
ナノインフルエンサーを起用するデメリット
ナノインフルエンサーを起用するメリットについて見ていただいたところで、デメリットについても併せて押さえておきましょう。
1. 影響力が及ぶ範囲が狭い
デメリットとしてまず挙げられるのは、影響力が及ぶ範囲が狭いという点です。
コアなユーザー層への大きな影響力を誇る一方で、数万~数十万のフォロワーを持つメガインフルエンサーやパワーインフルエンサーほど、影響力の及ぶ範囲は広くありません。
そのため認知獲得を目的としたマーケティング施策の場合、ナノインフルエンサーは適さないでしょう。
2. 案件に慣れていないケースもある
次のデメリットは、ナノインフルエンサーが案件に慣れていないケースもあるという点です。
マイクロインフルエンサー以上のインフルエンサーは、フォロワーの規模から起用する企業も多く、プロモーション案件に慣れていると言えます。
その点ナノインフルエンサーは案件慣れしていないケースも多く、プロモーション進行がスムーズにいかない場合もある点は注意しておきましょう。
3. 母数が多すぎて、選択しづらい
また母数が多すぎて選択しづらい点もデメリットと言えます。
インフルエンサーの中で最も人数が多いのがナノインフルエンサーです。
そのためナノインフルエンサーを起用しようとした際に、どのナノインフルエンサーを起用すべきか悩むケースが多くなります。
結果選定までに時間が掛かり、プロモーション施策の展開がスムーズにいかない場合があるかもしれません。
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ナノインフルエンサーの探し方
ここからはナノインフルエンサーの探し方について解説していきます。
ナノインフルエンサーを探す流れとしては、大きく以下の5つのステップを踏みます。
1. 目的の設定
まずは目的の設定を行います。
マーケティング上のプロモーションにおける目的は、大きく以下の3つです。
- 目的①:認知拡大
- 目的②:ブランドや商品/サービスへの理解促進
- 目的③:購買などの行動喚起
各目的によって起用すべきインフルエンサーは異なります。
認知拡大を狙うのであれば、フォロワーの多いメガインフルエンサーやパワーインフルエンサーを起用すべきです。
ブランドや商品サービスへの理解促進、購買などの行動喚起が目的であれば、マイクロインフルエンサーやナノインフルエンサーが有力な候補となるでしょう。
2. ターゲットの設定
次にやるべきはターゲットの設定です。
同じ分野で活躍するナノインフルエンサーでも、抱えているフォロワーの属性は異なります。
ティーンエイジャーが中心のナノインフルエンサーもいれば、主婦が中心となっているナノインフルエンサーもいるわけです。
そのため訴求したいターゲットの年齢や性別、嗜好などを定めて、ナノインフルエンサーの条件を明確にしましょう。
3. SNSで検索を実施
SNSの検索機能を利用してインフルエンサーを探すのが、最も手軽な手段です。自社商品・サービスに関連したキーワード、もしくは「#(ハッシュタグ)」を用いて検索を掛けます。
例えばInstagramの場合、検索欄にファッションと入力すると「#ファッション」や「#ファッションモデル」などのハッシュタグが予測で出てきます。
注意したいのは、数千万などの膨大な投稿数を持つハッシュタグの場合、ナノインフルエンサーを選ぶまでの工数が多くなってしまうことです。
そのため、より詳しいキーワードを入力し、できるだけ数万程度のハッシュタグを選択することがポイントです。
適度な投稿数を持つハッシュタグを選択すると、ナノインフルエンサーを探しやすくなります。
4. エンゲージメントとフォロワーの確認
検索で自社と相性の良さそうな投稿が見つかれば、ナノインフルエンサーのプロフィールを確認していきます。
ここではエンゲージメントとフォロワー属性を確認しましょう。
エンゲージメントを見るには、フォロワーに対する「いいね!」や「コメント」などの数を確認します。
続いてインフルエンサーのプロフィールからフォロワーを選択すると、フォロワーが並んで表示されます。フォロワーの属性を見ていき、事前に定めたターゲットと照らし合わせていきましょう。
5. 候補者をリスト化
ステップ3と4を通じて、相性の良さそうなナノインフルエンサーがいた場合は、リストを作成して情報を記載しておきましょう。
具体的にはExcelやスプレッドシートを活用して、ナノインフルエンサーの「アカウントID」や「フォロワー数」といった情報を記録しておきます。
また「候補とした理由」や「フォロワーの属性」などの情報も併せて記載しておけば、後から参照しやすくなるのでおすすめです。
6. ナノインフルエンサーを選定する
最後にリストの中から、今回展開する予定のプロモーションに最も適したナノインフルエンサーを選定することになります。
依頼するナノインフルエンサーが決まったら、SNS上でDMを送り、案件相談や条件交渉をしましょう。
ナノインフルエンサーを探すにはツール活用も視野に
ここまでナノインフルエンサーを探す方法として、自社でSNSを用いて検索を掛ける流れをお伝えしてきましたが、ツールを活用して効率的に探す方法もあります。
インフルエンサーを用いたマーケティングの発展に伴い、インフルエンサーマーケティングツールというものが登場しました。
インフルエンサーマーケティングツールには、ビッグデータを用いた分析機能やフィルタ機能などが搭載されているため、自社に適したナノインフルエンサーをデータに基づいて選定することが可能となります。
メッセージ機能や契約締結機能が搭載されているツールもあるので、こういったツールを活用すれば、選定だけでなくプロモーション運用全体の効率も高めることができるでしょう。
ナノインフルエンサーを選ぶ際のポイント
ナノインフルエンサーの探し方を押さえていただいたところで、選定時のポイントについて3点ご紹介します。
1.ブランドや商品に適したナノインフルエンサーを選ぶ
一つ目のポイントは、自社のブランドイメージや商品・サービスに適したナノインフルエンサーを選ぶという点です。
例えば美容雑貨のプロモーションをする際、グルメ系の投稿を中心としているナノインフルエンサーを起用しても効果は出ません。
またハイブランドの商品プロモーションを検討している時に、リーズナブルな価格帯の商品を中心に投稿しているナノインフルエンサーを起用してしまえば、ブランドイメージの低下に繋がる恐れがあります。
そのためナノインフルエンサーを選ぶ際は自社のブランドと合っているか、商品やサービスのジャンルは同じか、といった点を確認しましょう。
2. これまでの実績もチェックする
先のデメリットでも触れた通り、ナノインフルエンサーは他のインフルエンサーに比べ案件慣れしていないことが多いです。
案件慣れしていないナノインフルエンサーを起用した場合、投稿までに時間が掛かりすぎたり、ステルスマーケティングのリスクも生じたりする可能性があります。
そのため「過去にプロモーション案件の投稿をしているか」といった点も、しっかりとチェックしておきましょう。
※補足:ステルスマーケティングとは
ステルスマーケティングとは、広告であることを消費者に伏せた状態で行うマーケティング施策のことで、禁止行為です。実行してしまうと、炎上やブランドイメージの低下に繋がる恐れがあります。
投稿の際は、「PR」「〇〇とのタイアップ」など広告であることがわかるよう表示することが大切です。
3. 積極的にコミュニケーションを取っているか確認する
積極的にフォロワーとコミュニケーションを取っているかを確認することも大きなポイントになります。
先程メリットとしてユーザーとの距離が近く、エンゲージメント率も高いという点を挙げましたが、それはあくまでフォロワーと積極的にコミュニケーションを取っているナノインフルエンサーに限られます。
そのため選定段階で、候補となるナノインフルエンサーがフォロワーからの投稿に対してどれくらいコメントを返しているか、といった点を確認する必要があります。
フォロワーとそこまでコミュニケーションを取らないナノインフルエンサーは、影響力やエンゲージメント率も低い傾向にあるので注意しましょう。
ナノインフルエンサーを起用した成功事例
最後にナノインフルエンサーを起用した事例を4つご紹介していきます。
1. ファッション系
一つ目にご紹介する事例はファッションブランドである「WEGO ZOZOTOWN」が、1220riiiisaさんを起用したプロモーションです。
1220riiiisaさんはファッションや美容に関する投稿を中心に活動しているナノインフルエンサーで、フォロワー数は約6,900人となっています。
WEGO ZOZOTOWNの商品イメージと、投稿しているファッションの親和性が高いナノインフルエンサーを上手く起用できた事例と言えるでしょう。
2. グルメ系
続いてご紹介するのは肉料理を中心とした飲食店である「300Bone 新宿店」が、kuishinbounoさんを起用したプロモーション事例です。
kuishinbounoさんは関東圏を中心に、グルメを紹介する投稿をしているナノインフルエンサーです。フォロワー数は約7,550人となっています。
食べたいと思わせる魅力的な写真は勿論のこと、写真だけでは分からない点を詳細に記載しており、グルメ系のプロモーションとして上手く機能しています。
3. インテリア・家具系
次にご紹介するのは寝具メーカーである「株式会社イッティ」が、okuri124さんを起用したプロモーション事例です。
okuri124さんはインテリアや家具紹介を中心に投稿しているナノインフルエンサーで、フォロワーの数は約8,600人となっています。
マットレスという一見ファッション性の低いアイテムを上手く部屋に馴染ませて、お洒落な雰囲気を創り上げており、購買喚起だけでなくブランドイメージアップにも繋げている事例と言えるでしょう。
4. 雑貨系
事例の最後にご紹介するのはスウェーデンのバッグブランドである「ガストンルーガ」が、ryosuke.newさんを起用したプロモーションです。
ryosuke.newさんは美容や雑貨などを中心に投稿しているナノインフルエンサーで、役者やモデルとしても活動しています。フォロワーは約9,090人となっています。
役者やモデルとして活動しているナノインフルエンサーを起用することで訴求力を強めつつ、クーポンもプレゼントすることで、購買行動の喚起を上手く狙った事例と言えます。
まとめ
今回はナノインフルエンサーを取り上げてお話してきましたが、いかがでしたか。
インフルエンサーを起用したマーケティング施策を展開する企業も増えてきており、BtoC(消費者対象のビジネス)領域においては、Web広告以上の効果を得られることもあります。
特にナノインフルエンサーは、限られたコミュニティの中で大きな影響力を誇っているため、上手く起用することで購買などの具体的な行動を引き出せる可能性も高まるでしょう。
インフルエンサーマーケティングの課題はMeltwaterへご相談。 ブランドに最適なパートナーの発掘と長期的な関係構築、業務の効率化をサポートします。
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この記事の監修者:
馬見塚 堅 (Meltwater Japanエンタープライズソリューションディレクター)
2016年にMeltwater Japan株式会社入社。
外部データ活用に向けてマーケティング・企画・広報部向けのコンサルティングを7年で200社以上を担当。 現在は、大手企業や官公庁向けのソリューション企画に従事。インフルエンサーマーケティングや消費者インサイトに関するセミナー実績多数。
趣味:旅行、子育て情報収集、仮想通貨、サッカー観戦(川崎フロンターレの大ファンです)