メール・アプリ・SNSなど、デジタルテクノロジーを活用して商品が売れる仕組みを作るデジタルマーケティング。
その中で、消費者とSNS上でコミュニケーションを取り、商品やサービスの認知向上・販売促進を働きかける手法を「SNSマーケティング」と言います。
SNSマーケティングには主に5つの手法があり、どんな目的でどのSNSで施策を実施するかによって、ターゲット層や効果が異なるため、自社に最適なSNSマーケティング手法が分からないという担当者もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、SNSマーケティングの基本として、代表的な手法やSNSの特徴、施策の進め方、成功事例をご紹介します。成功させるためのポイントも解説していますので、自社のSNSマーケティング施策の検討・企画にお役立てください。
SNSマーケティングとは?
SNSマーケティングが注目されている理由
企業がSNSマーケティングを活用する目的
SNSマーケティングを行うメリットとデメリット
代表的なSNSマーケティングの5つ手法
国内企業が活用している代表的なSNS
APAC(アジア太平洋)で利用率の高いSNSチャネル
注目のSNSは「TikTok」
SNSマーケティング戦略の具体的な進め方
SNSマーケティングを成功に導くポイント
まとめ|最適なSNSマーケティング手法を実行しよう
SNSマーケティングとは?
SNSマーケティングとは、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)上で消費者とコミュニケーションを取ったり広告を出稿したりして、商品・サービスの認知度向上・販売促進を働きかけるマーケティング活動のことです。
SNSマーケティングの具体的な手法として、以下の5つが挙げられます。詳細は後ほど解説します。
- SNSアカウント運用
- SNS広告
- SNSキャンペーン
- インフルエンサーマーケティング
- ソーシャルリスニング
インターネット上で行うマーケティング活動である「デジタルマーケティング」は大きく3つに分類され、その中でも「SNS」は口コミなど第三者であるユーザーや消費者が情報発信する「アーンドメディア」に該当します。
種類 | 概要 | 例 |
---|---|---|
オウンドメディア | 自社が所有し情報発信するメディア | 自社サイト、メディア |
アーンドメディア | ユーザーが情報発信するメディア | SNS、ブログ、口コミサイト |
ペイドメディア | 金銭を支払って情報発信するメディア | 広告出稿メディア、検索連動型広告 |
SNSマーケティングは、企業が一方的に情報発信するよりも、消費者による口コミやレビューのほうが力を発揮します。売上を目的としていない消費者からの情報は信頼性が高く、話題になれば情報が広がりやすいことが強みです。
消費者にポジティブな反応を生み出すことができれば、商品・サービスの認知拡大や売上増加に繋がります。一方で、消費者のネガティブな反応や炎上などがあれば事業リスクになりうるため、特徴や注意点を押さえて運用することが大切です。
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SNSマーケティングが注目されている理由
今SNSマーケティングが注目されている理由は、消費者のSNS利用が増加し、SNS上での検索で商品・サービスに接触する機会が増えているからです。統計データとともに詳しく見ていきましょう。
全ての年齢層でSNSの利用が増加
消費者のSNS利用率が高まっていることから、企業がSNSマーケティングに取り組むことに注目が集まっています。
総務省が発表した「令和5年通信利用動向調査」の結果によると、SNS利用率は全体で77.2%あり、13~19歳と30~39歳6〜12歳を除いた全ての年齢層で利用率が増加しています。
全体的にSNS利用が増える中、企業のマーケティング活動においてSNS運用は欠かせません。
▼SNSの利用状況(個人)
参照:総務省「令和5年通信利用動向調査報告書 (2023年8月末調査)
SNS検索の増加
消費者がSNSで検索して情報収集する傾向が強まっていることも、SNSマーケティングが注目されている理由の一つです。
野村総合研究所(NRI)が行ったインターネット調査「生活者年末ネット調査」の結果によると、消費者の情報収集ツールが、GoogleやYahoo!などの検索エンジンから、SNSへと変わってきていることが分かっています。
特に、10代・20代のZ世代と呼ばれる若年層において、検索エンジンで情報収集する割合が大きく減少し、SNSによる情報収集が増加しています。
▼情報収集や調べ物をするときに、使用する情報源の変化
(複数回答、年代別)
参照:野村総合研究所「生活者年末ネット調査」(2022年2月発表)
その中でも、Z世代はX(Twitter)での情報収集が77%で、Z世代の女性はInstagramでの情報収集が78%と特に高い傾向にあります。
▼情報収集や調べ物をするときに、使用するSNSツール
(複数回答、SNSによる情報収集者のみ、Z世代とZ世代以外比較)
参照:野村総合研究所「生活者年末ネット調査」(2022年2月発表)
メインの情報収集ツールが検索エンジンからSNSに変化している理由として、同調査結果では以下のような回答が集まっていました。
- 最新の情報をいち早く入手したいから(47%)
- 話題のネタなど、面白い情報を見つけることができるから(44%)
- 実際の利用者の生の声を直接知りたいから(41%)
また、最新の情報かつ利用者の生の声(口コミ)を知ることで、商品・サービスを購入するかどうかの参考にする人も増えています。伊藤忠グループのリサーチ会社であるマイボイスコム株式会社の2023年3月の調査結果によると、約55%の人が口コミ情報を参考にして購入しているのです。
このような変化を踏まえて、企業がSNSマーケティングを行えば、消費者の行動にアプローチしやすくなる可能性があります。
企業がSNSマーケティングを活用する目的
消費者のSNS利用が増加している今、企業がSNSマーケティングを活用する目的はさまざまです。
Meltwaterが行った調査によると、APAC(アジア太平洋)では企業ブランドに関連する活用目的が多く見られ、「ブランド認知の向上」が79%、「ブランドエンゲージメントの増加」が71%でした。次いで、「新規顧客の獲得」が53%、「Webトラフィックの増加」が46%という結果になりました。それぞれ具体的に見ていきましょう。
▼ソーシャルメディアを活用する目的
参照:Meltwater「2023年SNSの最新状況(APAC編)」
ブランド認知の向上
ブランドの認知を向上させることが、SNSマーケティングの目的の一つです。企業の公式アカウントから情報を発信したり、消費者が投稿した良い口コミが拡散されたりすることで、商品・サービスをまだ知らない消費者の目に留まる機会が増えます。
ブランドエンゲージメントの増加
ブランドエンゲージメントの増加、つまり企業へのロイヤルティ、ファンの増加も、SNSマーケティングで得られる結果です。SNS上で消費者とコミュニケーションを積極的に行うことで、商品・サービスに対して親近感を持ってもらえます。
具体的には、企業が公式SNSアカウントを運用し、消費者からのコメントに「いいね」やテキストでリアクションをしたり、ライブ配信したりする方法があります。継続的に良好な接点を持ち続けることは、リピーターを増やすことにも繋がります。
新規顧客の獲得
情報の拡散性が高いのは、SNSの強みです。例えば、X(Twitter)上で期間限定キャンペーンを開催すれば、消費者が「いいね」やリポスト(リツイート)をする(他者の投稿を、自身のページでもう一度投稿する)ことで情報が拡散されます。これにより、まだ商品・サービスを知らない消費者にも情報が届くことになり、新規顧客の獲得に繋がります。
Webトラフィック(Webサイトへの訪問回数)の増加
公式サイトに訪問者を増やしたいときも、SNSマーケティングを活用できます。SNS上で展開するキャンペーンからWebサイトに誘導したり、フォロワー数を多く抱えるインフルエンサーが口コミ投稿したりするといった方法が一例です。
SNSマーケティングを行うメリットとデメリット
企業がSNSマーケティングを行うメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット:幅広い層にリアルタイムにアプローチできる
SNSマーケティングのメリットに、幅広い層にリアルタイムにアプローチできる点が挙げられます。
SNSの強みの一つは「拡散性」です。SNSの利用率が高い上に、消費者が「いいね」やシェア(リツイートなど)をすることで情報が広まり、新たな顧客層にも届く可能性が高まります。まず費用を抑えて実施するなら、自社の公式SNSアカウントを作成して運用することから始め、消費者の興味を引く投稿を作成してみましょう。
もう一つの強みが「リアルタイム性」です。オウンドメディアなどと比較して、SNSのほうが投稿してすぐに消費者に見てもらえる可能性が高いためです。役立つ・面白い・お得な情報などをタイムリーに共有し、消費者の反応をスピーディーに掴み、次の投稿に繋げることで関係性を深められるでしょう。
デメリット:炎上リスクや運用の負担がある
一方でSNSマーケティングには、炎上する可能性があることや、運用の負担がかかることがデメリットとしてあります。
拡散性に強みのあるSNSだからこそ、良い情報だけでなく誤った情報・発言なども拡散されるリスクがあります。炎上してしまうと、企業イメージが悪化し、信用やファンを失ってしまう可能性があるため注意が必要です。具体的には、投稿前に「不適切な・誤った情報ではないか?」を確認したり、過去の炎上事例などを把握したりしてみてください。
リアルタイム性が特徴であるからこそ、運用時はすぐに消費者の投稿に反応できるようにしておくことが良しとされています。そのため、SNS運用担当を設置するなど、運用にコストや負担がかかることを押さえておきましょう。
代表的なSNSマーケティングの5つ手法
代表的なSNSマーケティングの手法を5つご紹介します。
手法 | 概要 | 特徴 |
---|---|---|
SNSアカウント運用 | 自社アカウントを作成して投稿する | ・消費者との接点づくり・関係構築などに向いている ・消費者の声に積極的に反応してコミュニケーションができる ・リアルな声を収集し、サービス改善に活かせる ・炎上リスクに備えて運用体制を確立させることが重要 |
SNS広告 | SNS上に広告を配信する | ・ユーザーのタイムライン上に一般の投稿と同じような体裁で掲載できる ・一部のユーザーに絞ったターゲティング広告が可能 ・見る人の目を引くクリエイティブ性が必要 |
SNSキャンペーン | 自社アカウントからキャンペーンを投稿する | ・ユーザー参加型のプロモーション企画を実施する (ハッシュタグキャンペーンやフォロー&リツイートキャンペーンなど) ・消費者が積極的に参加したくなるような企画・特典・メリットが重要 |
インフルエンサーマーケティング | 影響力のあるユーザーに投稿を依頼する | ・インフルエンサーを信用しているファンにアピールできる ・2023年にはBtoC企業の71%が実施予定 ・ステマにならないよう投稿の見せ方に注意が必要 |
ソーシャルリスニング | ユーザーによる投稿を収集・分析する | ・商品の評判を収集し、改善に活かせる ・消費者ニーズや業界動向を追うことができる ・自社アンケートよりもリアルな声が集まる |
1. SNSアカウント運用
SNSアカウント運用は、自社の公式アカウントを作成して投稿する手法です。商品・サービスのリリース情報やイベント情報、社内の雰囲気が伝わる投稿などを発信し、消費者との接点創出・関係性構築などを行うことに向いています。また、消費者からの声に反応するなど、積極的にコミュニケーションを行う場にもなります。リアルな声を集めて、商品・サービスへの改善に繋げられるでしょう。
広告費などのコストがかからず始めやすい一方、炎上リスクが伴うため、チェック体制など運用面を注意深く整えましょう。公式アカウントの投稿は「企業としての姿勢・意見」が表れます。投稿内容のコンセプトがブレないようにルールづくりや少人数での運用を心がけてください。
2. SNS広告
SNS広告は、SNSのプラットフォーム上に広告を配信する手法です。SNSのユーザーのタイムライン上に、画像やテキストなどで一般の投稿のような体裁で広告を表示させることができます。対象ユーザーを限定して配信するターゲティング広告も可能で、「一度でも投稿にアクションをしたことがある人」のような設定も可能です。
一見すると広告と分かりにくいような工夫がされていますが、投稿内容によっては消費者にスルーされる可能性もあります。魅力的で目を引くようなクリエイティブを作成することがポイントです。
3. SNSキャンペーン
SNSキャンペーンは、自社アカウントからキャンペーン情報を発信する手法です。ユーザー参加型のプロモーション企画を展開し、商品・サービスの認知拡大や自社アカウントのフォロワー数増加などを狙います。
SNSキャンペーンには、、X(Twitter)のハッシュタグ機能を活用して投稿を促す「ハッシュタグキャンペーン」があります。また「フォロー&リポストキャンペーン」は、自社のフォローや投稿のリポストがキャンペーンの参加条件なので、参加してもらえれば商品やサービスの宣伝に効果的です。いかに消費者が積極的に参加したくなるキャンペーンを企画できるかが重要です。
4. インフルエンサーマーケティング
インフルエンサーマーケティングは、人気や影響力のあるユーザー「インフルエンサー」を起用する手法です。インフルエンサーに依頼して、商品・サービスに関する投稿をしてもらったり自社の投稿を拡散してもらったりすることで、インフルエンサーを信用しているファンにアピールできます。
Meltwaterが調査したところ、すでに38%がインフルエンサーマーケティングを実施したことがあり、2023年にはBtoC企業の71%(前年比7%増)がインフルエンサーマーケティングを利用すると予測されています。
▼インフルエンサーマーケティングを導入あるいは活用していますか?
参照:Meltwater「2023年SNSの最新状況(APAC編)」
インフルエンサーマーケティングを実施する際、広告であることを隠さずに投稿しなければいけません。ステルスマーケティング(ステマ)と見なされてしまうと信用を失うリスクがあるため、注意してください。
5. ソーシャルリスニング
ソーシャルリスニングは、SNS上に投稿されたユーザーの声を収集・分析する手法です。以下の点で収集・分析を行い、商品・サービスの改善や戦略立案のヒントとして活かします。
- 商品・サービスに対する評判
- 消費者の要望・ニーズ
- 競合や業界全体の動向
X(Twitter)やブログ、口コミサイトなどの投稿は、自社が行うアンケートよりもリアルな声が集まる可能性が高いです。こうした特徴を活かして、新商品アイデア募集コンテストを実施し、そこから新商品が生まれた事例もあります。
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国内企業が活用している代表的なSNS
日本国内の企業がSNSマーケティングで利用しているSNSを5つご紹介します。それぞれ特徴やメインターゲット層が異なるため、どれか一つに絞るのではなく、複数のSNSプラットフォームを組み合わせて使うことをおすすめします。
1. Facebook
Facebookは、本名で登録して利用するSNSです。メインの利用者層は30〜40代で、ビジネスシーンで使用する人が多いのが特徴です。
公式アカウントとして「Facebookページ」を立ち上げると、サービス関連情報の投稿やイベントの作成などができます。
Facebookは、他SNSと比較してターゲティングの精度が高いことがポイントです。本名・学歴・仕事・ライフステージなどを登録するプラットフォームであるためです。
2. Instagram
Instagramは、テキストのみの投稿ができない、写真・動画をメインとして投稿するSNSです。主な利用者層が10〜20代と若年層が多いのが特徴で、よくインフルエンサーマーケティングが行われるSNSでもあります。
「インスタ映え」という言葉が流行したように、視覚的に訴求力がある商品・サービスのSNSマーケティングに向いています。特に、ファッション・コスメ・ライフスタイル・飲食などのジャンルがおすすめです。また、24時間で投稿が消えるストーリーズ機能やライブ配信機能など、より消費者とインタラクティブにコミュニケーションを取ることができます。
3. LINE
LINEは、20代を中心に幅広い年代に利用されているコミュニケーションツールです。日本の月間利用ユーザー数は9,500万人(2023年3月時点)です。連絡用ツールとして機能しているため、ほぼ毎日開くユーザーが多く、タイムリーな情報を適切に発信できる場として有効でしょう。
LINE公式アカウントを運用する他、ユーザーのトーク一覧やLINEニュースなど他サービスへの広告配信が可能です。
4. . X(Twitter)
X(Twitter)は、140文字以内のテキスト投稿が中心のSNSです。画像・動画・音声・URLなど幅広いメディアを添付して投稿できます。日本国内の月間利用ユーザー数は4,500万人(2017年10月時点)を超えており、10〜30代の利用者が多いです。
リポスト(リツイート)機能により情報を拡散できたり、トレンド機能により今話題の情報を見られたりと、他のSNSよりも拡散性・リアルタイム性に強みがあります。消費者の投稿にリプライで反応したり、キャンペーン企画を実施したりと、積極的にコミュニケーションを取ることが可能です。
5. Youtube
YouTubeは、動画の投稿やライブ配信ができる動画配信プラットフォームです。10〜40代と幅広い年代に利用されており、日本国内の月間利用ユーザー数は7,000万人(2022年5月時点)です。
ビジネスとして動画投稿を行って収益を得ている「YouTuber」にインフルエンサーマーケティングとして投稿を依頼する企業も増えています。その他、自社アカウントとしてチャンネルを立ち上げ、商品・サービスの使い方やイベントアーカイブなどを配信することでアピールできます。
最近ではYouTubeShorts機能が流行っていることから、スマートフォンユーザーに適した縦型動画広告フォーマットも導入されています。
APAC(アジア太平洋)で利用率の高いSNSチャネル
日本だけでなく、APAC(アジア太平洋)で利用率が高いSNSは以下の通りです。
- Facebook(87%)
- Instagram(81%)
- LinkedIn(81%)
- YouTube(64%)
- X(Twitter)(50%)
- TikTok(29%)
その中でも業界によって重要なチャネルは異なります。BtoB(企業と企業の取引)ではLinkedIn(リンクトイン)・Facebookが、BtoC(企業と消費者の取引)ではFacebook・Instagramが重要視されているようです。
▼利用率が高いSNSチャネル
参照:Meltwater「2023年SNSの最新状況(APAC編)」
注目のSNSは「TikTok」
先ほどご紹介した利用率の高いSNSの中でも、急成長を遂げているのが「TikTok」です。
簡単に面白い短尺動画をアップできるプラットフォームとして、若年層を中心に利用者数が急拡大しており、日本国内の月間利用ユーザー数は950万人(2019年1月時点)を超えています。2020年4月にはApp StoreとGoogle PlayでのTikTokの累計ダウンロード数が20億回以上だったのが、2022年第1四半期には35億回を突破しました。
Meltwaterの調査では、「2023年に利用する予定のSNSチャネル」での回答のうちTikTokが全体の40.87%を占めており、今後注目のSNSと言ってよいでしょう。
また、Instagramが23.04%、YouTubeが20.87%といった結果になっていることから、引き続き動画コンテンツに注目が集まると予想されます。
ビジネス用SNSのLinkedInを利用しようと思っている割合は、20.00%でした。
▼APACで2023年の利用が予定されているSNSチャネル
参照:Meltwater「2023年SNSの最新状況(APAC編)」
SNSマーケティング戦略の具体的な進め方
では、実際にどのような手順でSNSマーケティングを実施するのか、具体的な進め方をご紹介します。
ポイントは、目的・戦略・運用体制を明確にすることです。これらを疎かにしてSNSマーケティングを開始すると、運用に工数をかけたものの、効果が得られなかったり炎上リスクがあったりと問題にぶつかるでしょう。
STEP1. SNSマーケティングの実施目的を明確にする
まずはSNSマーケティングを実施する目的を決めましょう。以下のような目的が想定されます。
- ブランドの認知度向上
- ブランドエンゲージメントの向上
- 商品・サービスの購入促進(新規顧客の獲得)
- イベントやキャンペーンへの短期的な集客(Webトラフィックの獲得)
- 市場調査
- 採用活動
目的によってSNSの運用方針や施策が異なるため、実施してみたいSNS施策のアイデアから検討するのではなく、何を達成したいのかを整理してください。
STEP2. ターゲット(ペルソナ)を明確にする
アプローチしたいターゲット層のペルソナを明確に定めます。ターゲットが決まれば、より効率的な手法を選ぶことができ、結果的に低コストです。
- ユーザーの属性(年齢・性別・職業・住まい・家族構成など)
- ユーザーの潜在ニーズ・関心のある物事
- ユーザーの行動パターン(SNSの使用頻度・時間帯・デバイスなど)
上記のような点でペルソナを描き、実施目的と照らし合わせることで、次に「活用するSNS・手法」を決めやすくなります。
STEP3. 活用するSNS・手法を決める
ターゲットに情報を発信し目的を達成するために、どのSNSでどんな手法を使ったらいいかを検討しましょう。目的ごとに特に適しているSNS・手法を整理すると以下のようになります。
目的 | 手法 | 特に適しているSNS |
---|---|---|
ブランドの認知向上 | ・SNSアカウント運用・SNS広告・インフルエンサーマーケティング | X(Twitter)・Instagram・YouTube・TikTok |
ブランドエンゲージメントの向上 | ・SNSアカウント運用 | X(Twitter)・Instagram・Facebook・LINE・YouTube |
商品・サービスの購入促進 | ・SNSアカウント運用・SNS広告・SNSキャンペーン・インフルエンサーマーケティング | X(Twitter)・Instagram・Facebook・LINE・YouTube・TikTok |
イベントやキャンペーンへの集客 | ・SNSアカウント運用・SNS広告・SNSキャンペーン・インフルエンサーマーケティング | X(Twitter)・YouTube |
市場調査 | ・SNSアカウント運用・ソーシャルリスニング | SNS全般 |
採用活動 | ・SNSアカウントの運用・SNS広告 | LinkedIn・X(Twitter)・Facebook |
適したSNSを選定する際、ターゲットとする年齢層が多く利用しているかどうかも確認してみてください。
SNS | メインユーザー |
---|---|
30〜50代 | |
10〜40代 | |
LINE | 全世代 |
X(Twitter) | 10〜30代 |
YouTube | 20〜50代 |
TikTok | 10〜20代 |
30〜40代 |
STEP4. KGI・KPIを設定する
SNSマーケティングの実施に関して、KGI・KPIを設定し、数値面で効果検証をできるようにしましょう。
KGI(Key Goal Indicator)は、マーケティング戦略のゴールを達成したかを測る指標で、KPI(Key Performance Indicator)は、KGI達成に向けての中間指標です。例えば以下のような整理になります。
- KGI:自社ブランドの認知度を5%上げる
- KPI:X(Twitter)のフォロワー数を5,000人増加させる
KGI・KPIの立て方や数値目標の設定については、数値を正確に置くことが難しい場合もあるかもしれません。その際は、競合他社のフォロワー数を参考にしたり、SNS経由でのサイト流入数を目安に置いたりして、徐々に正確な目標にできるよう調整してみてください。
STEP5. 運用体制を整え施策を実行する
最後に、SNSを運用するチーム体制・運用ルールを整えます。SNS運用には、投稿ルールに則ってデザインや投稿内容を作成する人と、それをチェックする人と、最低2名の担当者が必要です。
担当者を決め、稼働時間を見積もることで、具体的な投稿頻度を決めることができるでしょう。なるべく頻度を上げて投稿するほうが消費者に届きやすくなるため、投稿スケジュールを決めて運用してください。
SNSマーケティング実施時に注意したいのが炎上リスクです。万が一炎上させてしまった場合の対応ルールを決めておくことをおすすめします。
SNSマーケティングの成功事例
SNSマーケティングをうまく実施している企業・運用例をご紹介します。
事例1. 【アカウント運用】暮らしがイメージできる投稿で関係づくり|キリンビバレッジ株式会社
大手メーカーであるキリンビールの例を取り上げます。キリンビールは公式SNSアカウントとして、Facebook・X(Twitter)・Instagramなどを運用しています。
これまではX(Twitter)のトレンドなどにあわせたバズる(注目される)コンテンツ投稿を行っていましたが、現在は商品の魅力が伝わり、生活や暮らしの中でイメージが湧くようなコンテンツ投稿に力を入れています。
手づくり感があり身近に感じられるような投稿をInstagramで行った結果、広告を見た・見たように思うという人が日用消費財業界の平均よりも1.7倍高く、好感度の上昇率は平均よりも5.2倍も高いという調査結果が出ました。(参照:キリンビール「本麒麟」 Instagramをフル活用でブランド好意度の上昇率が5.2倍に。成功キャンペーンの裏側を公開)
事例2. 【SNSキャンペーン】応募条件をフォロー&リツイートとし拡散へ|西川株式会社
寝具メーカーである西川株式会社は、フォロー&リツイートキャンペーンを実施しました。
公式アカウントをフォローし、キャンペーン告知ツイートをリツイートすると、抽選で50名にAmazonギフト券2,000円分がその場で当たり、Wチャンスとして抽選で2名に洗える羽毛布団がプレゼントされる企画です。
結果、14,000件以上のリツイートを達成しており、多くの消費者の目に留まる機会となったキャンペーンです。
事例3. 【インフルエンサーマーケティング】ファミリー層をターゲットとした投稿|星野リゾート トマム
北海道の中央に位置する広大なリゾートである「星野リゾート トマム」は、ファミリー層向けにInstagramでインフルエンサーマーケティングを実施しました。
Instagramで44万人を超えるフォロワーを抱えるモデルの宮城舞さんを起用し、雪遊びの様子や家族で楽しめるアクティビティを紹介する投稿を行いました。その投稿には4,940件を超える「いいね!」が集まり、「家族で行ってみたい」など興味を示すコメントや、近隣住民による近場の観光スポット紹介などのコメントが集まり盛り上がる結果となりました。
SNSマーケティングを成功に導くポイント
最後に、SNSマーケティングを成功に導くためのポイントを3つご紹介します。
ポイント1. ターゲット層・目的に合ったSNS・手法で実施する
SNSマーケティングを実施する目的・ターゲット層に合うSNS・手法を選ぶことが重要です。
やみくもに施策を展開せずに、SNSごとの利用者層や得られるであろう効果を整理して、適切なSNS・手法で実施してください。
ポイント2. PDCAを回しながら長期的な運用を行う
他のマーケティング施策と同様、PDCAを回しながら、長期的に運用を行いましょう。
Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)のうち、Plan時点で適切なKGI・KPIを設定し、Check時点で数値で評価・振り返りできるようにすることがポイントです。
SNS広告やSNSキャンペーン、インフルエンサーマーケティングは、施策の実施期間が短いことが多く、すぐに評価や効果が得られる可能性が高いです。しかし、SNSアカウント運用は長期的にじっくりと消費者とコミュニケーションを取っていくことが求められます。SNSキャンペーンなどを行う場合も、中長期での目標の一環として計画しましょう。
なお、どのような投稿にポジティブな反応が集まっているか、どのSNSマーケティング施策が効果的かを測定・効果検証を行う際、膨大なデータを収集・分析する必要があり、時間と手間がかかります。
「Meltwater」なら、短時間でキャンペーン施策の重要ポイントを抽出できる「カスタムレポート」や、公式SNSアカウントの効果測定・競合他社との立ち位置の確認が可能な「ソーシャルパフォーマンス・レポート」の作成が可能です。
ポイント3. SNSでのネットリテラシーを高め、コミュニケーションの質を高める
SNSマーケティング担当者が、ネットリテラシーを高めることも大切です。ネットリテラシーとは、ネット上の情報を正確に読み取ったり不適切な発言を避けたりする能力のことです。どんな人がいつどのようにSNSを利用しているのか、肌で感じておくことがPDCAにも影響します。
また、一度SNSで炎上してしまうと、企業ブランドに傷がついたり信用を失ったりするリスクが高くなるため、慎重に運用する必要があります。過去の炎上事例などから注意すべき点を学び、炎上リスクを最小限に抑えるチェック体制やマニュアルを整備しましょう。自社アカウントやキャンペーンなどの運用時には、必ず複数人でチェックすることをおすすめします。
その上で、丁寧にSNS上で消費者とコミュニケーションを重ね、ブランドやサービスの提供者が信頼されるような投稿を心がけてください。コツは「企業 対 多数」としての発信ではなく、「企業 対 個人」といった1対1のイメージを持つことです。きっとファンになってくれる人が増えていくでしょう。
まとめ|最適なSNSマーケティング手法を実行しよう
今回はSNSマーケティングの実施目的やメリット・デメリット、代表的な手法・SNSなどをご紹介しました。
SNSマーケティングは、商品・サービスの認知度向上や販売促進、エンゲージメント向上に効果的なマーケティング手法です。成功させるためには、実施目的やターゲットに合う手法・SNSを選んで実施することが重要になります。
SNSマーケティング戦略の進め方や成功事例を参考に、効果的なSNSマーケティングを実行してください。
SNS分析が可能な「Meltwater」なら、消費者の興味関心に合わせたコンテンツ作成やレポート作成、ダッシュボード上での効果検証などを簡単に行えます。競合他社のSNS分析も可能なため、より戦略的にSNSを運用できるでしょう。
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山﨑伊代(Meltwate Japanエンタープライズソリューションディレクター)
大学卒業後、新規顧客開拓セールスコンサルタントとしてMeltwater Japan株式会社入社。
食品・生活用品・エンタメ・自動車・機械・学校法人等多種多様な企業・団体の広報・マーケティング部門のデジタル化並びにグローバル化をMeltwaterのソリューションを通して支援。 2016年~2018年グローバルセールスランキング首位。 趣味は山登りとビデオゲーム。