コンテンツへスキップ
logo
広報とは

広報とは?担当者の役割や広報活動の手法・求められるスキルを解説


宮崎桃

Sep 12, 2023

広報とは、企業が自社の取り組みを多くの人々に知ってもらうための重要な手段です。
大まかなイメージはわかるものの、PRや広告との違い、具体的な手法についてはわからない方も多いのではないでしょうか。本記事では、広報の定義や担当者の役割、今後重視される広報のテーマなどについて解説します。

広報とは?

hat is Public Relations?

広報とは、個人や組織が公衆の支持を得るために、メディアやSNSなどのコミュニケーション手段を通じて価値や方向性を伝えていく活動です。英訳はPublic Relations(パブリック・リレーションズ)で、公衆との良好な関係性の構築を指します。企業においては、組織の存続と成長を確保するための重要な手段として位置づけられているのが特徴です。

近年では、企業経営全体のことを企業自身が主体となって発信するという意味で、コーポレートコミュニケーション(企業広報)とも呼ばれています。

関連記事:企業PRの代表的な手法と成果をあげる5つのポイント

広報とPR・広告との違い

広報とよく混同されがちなのがPRや広告です。それぞれの違いを知って広報への理解を深めましょう。

PRとの違い

広報とPR(パブリック・リレーションズ)は、英訳が同じで、両者とも企業情報を広く伝える点が共通しています。強いて言えば「PRという概念の中に広報が内包されている点」が相違点です。

PRとは、ステークホルダー(経営者・従業員・取引先など企業での利害関係者)と長期的な良好関係を築くためのものです。単なる情報発信だけでなく、相手の意見やニーズを理解するといった相手と双方向のコミュニケーションも手段として含まれます。

その中で広報は、企業が一方的に情報を発信する活動のことです。活動の具体例として、自社の製品やサービス、イベントなどに関する情報を自社サイトやSNSで広く公衆に知らせるといったことが挙げられます。

このようにPRと広報は別々の意味として考えることもできます。ただ、周りとの関係を構築しないことには情報も広がらないため、広報はPRと同じような意味で使われていることが多いのが現状です。

関連記事:PRとは?広告との違いやメリット・代表的な方法を解説

広告との違い

広告と広報はよく似た言葉ですが、本質的に異なる概念です。

広告は料金を支払って、企業のメッセージを媒体に掲載するものです。掲載内容や媒体、掲載期間を企業自身がコントロールできます。

一方、広報活動は、組織が外部メディアに料金を支払わずに情報を提供するものです。掲載が確定するわけではない上、内容やタイミング、期間などはメディア側に決定権があります。第三者が関わっているため、情報に信頼性があるのが特徴です。

広報担当者の役割

Role of the Public Relation Manager

広報担当者の主な役割は以下の4つです。

  • 企業ブランディングの促進
  • 商品・サービスの認知度向上
  • メディアリレーションズの構築
  • ステークホルダーとの関係性強化

役割をそれぞれ解説します。

企業ブランディングの促進

広報担当者は企業の価値や特徴、使命を深く理解し、社内外に向けてわかりやすく伝えることで企業ブランディングを促進する役割があります。社外向けの主な業務はメディア対応やプレスリリースの作成・配信などです。

社内向けには従業員に対して、自社のブランドイメージに適した行動や意識を浸透させていくのが重要なミッションです。企業の価値を認識させることで一体感を醸成します。

商品・サービスの認知度向上

ターゲット層に対して、商品やサービスの特徴やメリットを伝えて、認知度を向上させるのも重要な役割です。認知度アップの方法は以下のように様々です。

  • プレスリリースの配信
  • ネット・テレビCM
  • SNSの運用
  • 展示会参加
  • イベント開催

目的やターゲットによって、採用すべき手法は異なります。効率的かつ効果的に認知度アップを図れる手法を選んで実施するのがポイントです。

メディアリレーションズの構築

メディアリレーションズとは、テレビや新聞、雑誌、Webなどのメディアと良好な関係性を築くことを指します。広報担当者はメディア関係者との持続的な対話を通じて、メディアリレーションズを構築する役割を担います。

メディアリレーションに注力することで、メディアで取り上げられる可能性を高めることが可能です。メディアは信頼性が高い情報を重視するからです。

関連記事:メディアリレーションとは?成功に導く5つのポイントを解説

ステークホルダーとの関係性強化

情報を一方的に発信するだけでは、社会からの信頼を得るのは難しいといえます。広報担当者は、自社の情報が社外でどのように受け入れられているかを探り、真摯に対応する役割も果たさなければなりません。

メディア関係者の声だけでなく、SNS上のコメントや投資家の意見、政策動向にも耳を傾けることが大切です。多種多様なステークホルダーの声を集約し、自社の立場を客観的に把握する必要があります。

広報担当に今後、重視される業務

注目されているのがESGとSDGsに関する広報活動です。

ESGとは環境 (Environment)、社会 (Social)、ガバナンス (Governance) の略称で、企業が持続的に成長する上で欠かせない要素です。企業が環境や社会問題の改善に関わったり、社内での公平な組織作りをしたりすることで、財政面以外での企業価値を示すことができます。

SDGs (Sustainable Development Goals) は、国際連合が掲げる17の開発目標のことです。地球環境、社会課題、経済成長のバランスを取りながら持続可能な社会を目指します。

株式会社電通PRコンサルティングが発表した「企業が今後重視する広報活動ランキング」の1位、2位、4位にESGとSDGsに関する活動がランクインしています。

Tasks that will be emphasized in thefuture for public relations staff

参照:企業広報戦略研究所(株式会社電通PRコンサルティング内)「第5回企業広報力調査」(2022年10月発表)

広報の仕事は「社外広報」と「社内広報」の2種類

それぞれの仕事内容について解説します。

社外広報

社外広報とは、株主や顧客、取引先、一般ユーザーなどを対象に行われる広報活動です。以下のように、サービス広報とコーポレート広報の2種類に分類されます。

社内広報の種類具体的な広報活動
サービス広報・プレスリリースの作成・配信
・イベントの企画・開催
・SNSを活用して情報を拡散
コーポレート広報・経営や財務に関するトピックのリリース
・株主や投資家向けにIR情報を発信
・採用広報の企画・実行

サービス広報は商品やサービスの認知度アップを目指しているのに対して、コーポレート広報は企業自体の認知度を高めるために行われるのが特徴です。

社内広報

社内広報は、企業の団結力アップや組織力の強化を目的に行われます。企業の価値観やビジョンを浸透させるための取り組みを通じて、企業文化を築いていく重要な役割も担います。主な活動は以下の通りです。

  • 社内報の作成・配布
  • 競合他社や業界動向などの情報共有
  • 社内イベントの企画・開催

リモートワークを導入する企業が増えている昨今では、従業員同士でコミュニケーションを取る機会が減少傾向にあります。社内向け広報は今後も重要性が増していくでしょう。

広報活動の代表的な業務

Typical methods of public relations activities

プレスリリースの配信

プレスリリースは、重要なニュースやイベントをメディアに伝えるための文書です。メディアからの問い合わせを獲得するための重要な役割を担います。公表する情報を漏れなく正確に伝えるだけでなく、社会的に意義のある情報を発信することが大切です。

配信する際はタイミングや対象を考慮することも重要です。配信サービスを利用すれば多くのメディアに簡単に情報を流せます。

関連記事:プレスリリースとは?書き方や成功に導くポイントを解説

マスコミや報道関係者への対応

メディアからの取材依頼に対して、迅速かつ丁寧に対応し、企業の代表としてインタビューに応じる役割を果たします。広報担当者は取材を受ける前に充分な準備を行い、メッセージや情報を整理して伝えなければなりません。

取材後には記事の内容を確認し、必要に応じて修正や補足情報を提供することも業務の1つです。正しい情報を伝えることは、メディアとだけでなく、消費者や従業員との信頼関係の構築にもなります。

自社サイト・SNSでの情報発信

SNSや自社サイトを通じて、知名度向上やターゲットに対する訴求力の強化を目指します。そのためには、定期的なコンテンツ企画・投稿やフォロワーとの対話を行う必要があります。

自社メディアのため、第三者による制約を受けない点が魅力です。一方、ルールや統一感のないコンテンツの投稿は、ブランド価値を棄損したり炎上したりするリスクがあります。運用前に明確なルールと共通認識を確立する必要があります。

イベント企画・運営

イベントによって企業の魅力を広く発信することも重要な業務です。イベントの企画・運営には以下のような業務があります。

  • テーマや目的の設定
  • スケジュール調整
  • 会場の手配
  • 参加者の受付・対応

イベントは参加者と直接コミュニケーションを取れる点がメリットです。参加者の満足度を高める企画を実施することで、企業のイメージ向上につなげられます。

社内報の制作

インナーコミュニケーション(組織力の強化を目的としたコミュニケーション)の促進に効果的なツールが社内報です。広報担当者は企画から記事の執筆、編集、レイアウトまでを担当します。社内報として取り扱うコンテンツの代表例は以下の通りです。

  • 従業員や社長のインタビュー記事
  • アンケート結果の掲載
  • 人事異動に関するニュース
  • 社内イベントの案内

社内報は社外向けの広報活動にも役立てられます。社外に公開することも考慮した上で作成するとよいでしょう。

広報活動を効果的に行うポイント

広報活動を効果的に行うポイントは以下の3つです。

  1. メディアとの良好な関係を構築する
  2. 社内・各部署との良好な関係を築く
  3. 効果測定で広報活動を可視化する

それぞれ解説します。

1. メディアとの良好な関係を構築する

メディアと信頼関係を構築することで情報を広く届けられる可能性が高まります。なぜなら、メディアは正確な情報を取り扱いたいからです。信頼関係のある企業であれば、メディアは安心して取り上げられるのです。

現在、テレビや新聞以外にもネットメディアやソーシャルメディアなど多数のメディアがあります。積極的にメディアと関係性を持てば、情報を拡散してもらえる可能性も上がります。

2. 社内・各部署との良好な関係を築く

社内で各部署と良好な関係を築くことで、広報活動に使える様々なアイデアを得ることが可能です。広報担当者だけの視点にとどまらない多様な意見を聞き、広報活動に活かせます。普段から積極的にコミュニケーションを取って、協力してもらえる体制を整えておきましょう。

3. 効果測定で広報活動を可視化する

広報活動の効果を数値で可視化するのも重要なポイントです。費用面も含め施策を正しく評価し、次の対策に役立てることができます。

とはいえ、広報活動の効果を可視化するのは一般的に難しいとされています。そこでおすすめなのがツールの活用です。Meltwaterでは、広報活動を可視化・効率化できるツールを提供しています。主観に左右されることなく、数値をもとに戦略的な広報活動を行いたい方はぜひ利用してみてください。

広報担当者に必要な5つのスキル

Five skills for public relations professionals

広報担当者に求められる5つのスキルは以下の通りです。

  1. コミュニケーション能力
  2. 文章作成力
  3. 企画・立案力
  4. 危機管理への対応力
  5. 情報収集力

スキルをそれぞれ解説します。

1. コミュニケーション能力

広報担当者は社内外の様々な人々とコミュニケーションを図らなければなりません。重要なポイントは、相手を理解する姿勢を持つことです。一方的に情報を伝達するのではなく、受け手との対話を重視するのです。相手から信頼を得ることで、広報活動を円滑かつ効果的に進められます。

2. 文章作成力

文章作成力とは、正確で簡潔かつ魅力的に情報を伝える能力です。プレスリリースやWeb、SNSなど様々な媒体やターゲットに合わせた柔軟性も求められます。誤字や脱字、文法のミスは信頼性を損ねる可能性があるため、校正や編集のスキルも必要です。

3. 企画立案力

広報担当者は独自の視点と創造力を活かし、広報戦略を成功へと導く使命を担っています。他社と同じような広報活動を行っていては、差別化を図れず注目を集められません。

自社の強みや特徴に着目しつつ、市場のトレンドや競合情報を分析し、魅力ある企画を立案する必要があります。

4. 危機管理能力

危機管理能力はトラブルに対処できるスキルのことで、企業イメージを守るために不可欠です。様々な危機的シナリオを予測し、事前に適切な対応プランを策定しておくのが大事です。

実際にトラブルが発生した場合には、情報収集に努め迅速かつ誠実に対応することが求められます。広報担当者の対応によって、企業イメージは大きく左右されます。信頼回復に注力し、被害を拡大させないように対応しましょう。

5. 情報収集力

広報担当者には、業界の最新情報や競合他社の動向、消費者の声などの情報を収集・整理するスキルが必要です。情報の信頼性を判断する能力も求められます。

情報を正確かつ迅速に収集することで、スピーディな意思決定や戦略の展開が可能になります。刻一刻と変化する状況に適切に対応するためには、情報収集スキルを常に磨き続けなければなりません。

広報担当者のスキルアップにおすすめの資格

おすすめの資格は以下の3つです。

資格名内容
PRプランナー広報・PRに関する基本的な知識に加えて、実践的なスキルを評価する資格
IRプランナーIR(インベスター・リレーションズ)に関する知識を評価する資格
商品プランナー商品戦略や販売戦略、販売促進戦略の基本的な知識と技術を評価する資格

PRプランナー

「公益社団法人 日本パブリックリレーションズ協会」が2007年に開始した資格制度で、広報やPRに関する幅広い知識を習得できます。広報担当者や広報業務を志望している方におすすめです。試験は1〜3次試験まであります。2023年3月までに行われた累計29回における3次試験の平均合格率は50.2%です。

IRプランナー

「特定非営利活動法人 日本IRプランナーズ協会」が2007年から実施しているIR担当者におすすめの資格制度です。IRとは、株主や投資家に対して、財務状況などの情報を発信する活動を指します。資格にはCIRPと上級者向けのCIRP-Sの2種類があり、第57回(2022年10月)におけるCIRPの単科目合格率は62.9%、全科目合格率は26.7%でした。

商品プランナー

「日本商品開発士会」が認定する資格で、商品の販促を効果的に実施したいと考えている担当者におすすめです。資格取得方法は、研修と試験を受けるか、試験のみの2パターンあり、合格率は75〜90%程度です。

まとめ|広報活動に注力して企業価値を高めよう

広報の定義や担当者の業務、効果的に広報活動を行うポイントなどを解説しました。効果的に広報活動を行うためには、社内外で良好な関係を構築することが重要です。

さらに、効果を高めるには、PDCAサイクル(Plan→Do→Check→Action)を回していく必要があります。評価指標があいまいになりがちな広報活動を数値で可視化するにはツールを活用するとよいでしょう。

この記事の監修者:

宮崎桃(Meltwate Japanエンタープライズソリューションディレクター)

国際基督教大学卒。2016年よりMeltwater Japan株式会社にて新規営業を担当。 2020年よりエンタープライズソリューションディレクターとして大手企業向けのソリューションを提供。 ソーシャルメディアデータ活用による企業の課題解決・ブランディング支援の実績多数。 趣味は映画鑑賞、激辛グルメ、ゲーム

LinkedIn

Loading...