BtoB広告は一般消費者ではなく、企業に向けて出稿する広告です。
BtoBマーケティングにおける施策の一つであり、リスティング広告やディスプレイ広告などさまざまな手法があります。
本記事ではBtoB広告の役割やBtoC広告との違いなどを踏まえながら、成果を出すための戦略や11の手法、運用におけるポイントを解説します。
最後に運用方法の種類やBtoB広告の成功事例についてもご紹介します。
BtoB広告の役割
BtoBでも注目されているWeb広告
BtoC広告との違い
BtoB広告の基本戦略
BtoB広告の手法11選
BtoB広告の導入時に重要なポイント
BtoB広告の運用方法を比較
BtoB広告の成功事例
まとめ|BtoB広告でビジネスの成長を加速
BtoB広告の役割
BtoB広告は企業向けに出稿する広告で、BtoBマーケティングにおける重要施策の一つです。
BtoBマーケティングでは、消費者向けのBtoCマーケティングよりも購買検討期間が長いという特徴があり、購買金額も高額な商材が中心となります。
そのためBtoCマーケティングの広告出稿で見込める、衝動的な購買などはほとんど期待できません。
BtoBマーケティングにおける広告は、直接的に購買を促すものではなく、まだ自社の製品・サービスを知らない潜在顧客の認知を獲得することを主眼に運用するものなのです。
マーケティングファネル上では、「認知フェーズ」にいる顧客が対象となります。
マーケティングファネルは、顧客が製品・サービスを購入するまでに辿る流れを漏斗状に表したモデルです。上から順に「認知」「興味・関心」「比較・検討」「購買」と4つのフェーズで図式化されています。
BtoB広告の主な役割はマーケティングファネルの認知フェーズにいる顧客を、次の「興味・関心」のフェーズへと移行させることなのです。
BtoBでも注目されているWeb広告
BtoB広告の中でも特に注目を集めているのがWeb広告です。
一昔前までは広告といえばテレビコマーシャルや新聞広告など、いわゆるマス広告が中心でしたが、現在はインターネット上の広告=Web広告が多数を占めています。
現在、広告に限らずマーケティングにおける主軸は、アナログからデジタルに遷移しています。この流れは当然BtoBにも当てはまり、多くの企業の担当者は購買を検討する際、まずインターネット上でリサーチするようになりました。
そのためBtoBにおいてもWeb広告を活用し、インターネット上で見込み顧客の認知を集める必要があるのです。
BtoC広告との違い
BtoB広告とBtoC広告の最大の違いは、誰に向けて出稿するのかという点です。
BtoB広告は企業が企業に対して出稿しますが、BtoC広告の場合は個人の消費者にアプローチするのが目的です。
またマーケティングにおける役割にも違いが見られます。BtoC広告の場合、認知獲得から購買に至るまで幅広いプロセスで活用でき、広告による衝動的な購買行動を促すことも可能です。
その一方、BtoB広告は主に認知獲得を主眼としています。まだ自社製品・サービスを知らない顧客からの認知を獲得し、いざ課題解決に動くとなった際に選択肢の一つに含めてもらう役割を担うのです。
これらも含め、両広告の違いをまとめると以下のようになるでしょう。
BtoB広告 | BtoC広告 | |
---|---|---|
ターゲット | 企業 | 一般消費者 |
主な役割 | 認知獲得/td> | 認知獲得から購買促進まで幅広い |
商材の単価 | 高額 | 少額 |
購買検討期間 | 長い | 短い |
広告でリーチする人物 | 購買意思決定者を含む複数人 | 購買意思決定者 |
リーチしやすいタイミング | 平日 | 平日の通勤時間帯や休日 |
BtoB広告の基本戦略
ここでBtoB広告を運用するための基本的な戦略についてご紹介します。
BtoB広告を運用するには「目的」「ターゲット」「予算」の三つのポイントを押さえることが重要です。一つずつ見ていきましょう。
目的の明確化
BtoB広告の戦略を立てる上で最も重要になるのが、目的の明確化です。
BtoB広告にはさまざまな運用目的があります。中心となるのは新規顧客獲得に向けた認知獲得ですが、他にも検討段階にいる見込み顧客へのリマインドやリピート購買の促進なども挙げられるでしょう。
それぞれ目的によって、アプローチすべきターゲットが異なることはもちろん、訴求ポイントやデザインなども変わってくるはずです。
そのため、まずは何を目的として広告を運用するのか、社内で明確にしておくことが重要になります。
最終的な目標が明確になった後は定量的なKPIを設定しておくと、広告効果の測定や予算決めの際に役立ちます。
例えば認知拡大を目的とした広告運用を行う場合のKPIとしては、以下のような指標が挙げられるでしょう。
- インプレッション数:広告の表示回数
- リーチ数:広告の到達回数
- フリークエンシー:一人のユーザーに対する広告の表示回数
- クリック数:広告がクリックされた回数
- クリック率:広告の表示回数に対するクリックされた割合
ターゲットの定義
目的が定まった後は、ターゲットを具体的に定義します。
企業レベルのペルソナと、担当者レベルのペルソナの二つを定義すると、アプローチの精度が高まります。
それぞれ以下のような点について、既存顧客などの情報を基に具体化していきましょう。
企業ペルソナ | 担当者ペルソナ |
---|---|
・業種 ・所在地 ・資本金 ・事業内容 ・売上高 ・従業員数 ・中長期的なビジョン ・企業の抱えている課題 | ・年齢・性別 ・所属部署 ・部署における役割・役職 ・決裁権の有無 ・業務上抱えている課題 ・情報収集手段 ・価値観 |
企業ペルソナと担当者ペルソナを作成し、ターゲットを具体的に定義することで、広告に盛り込む訴求ポイントやどの広告手法を活用すべきかも定まります。
そのため目的の明確化と併せて、ターゲット像についてもできる限り具体的に分析しておくことをおすすめします。
予算算出
最後に広告運用に投入する予算を算出します。
例えば認知度獲得のために広告を運用する場合、インプレッション数が一つの目標指標となりますが、目標インプレッションとCPM(1000回表示当たりの広告費用)をかけ合わせることで予算を概算することが可能です。
仮に100万インプレッションを目標とし、CPMが500円の広告を出稿する場合、予算は以下のように計算できるでしょう。
広告予算=1,000,000×500÷1,000=500,000円
このように得たい成果=コンバージョンと、コンバージョン当たりの単価を掛けることで、必要な予算を割り出すことができるのです。
BtoB広告の手法11選
ここからはBtoB広告の代表的な11の手法をご紹介します。
1. リスティング広告
リスティング広告は、検索エンジンの検索結果画面に表示されるWeb広告です。
画像:リスティング広告の例
上記画像にあるスポンサーと表記されているものがリスティング広告で、通常の検索結果よりも上部に表示されます。
検索行動は何かしらのニーズを解決するために行われるため、適切な検索キーワードを設定することで、顕在層へのアプローチを狙えます。そのため認知拡大だけでなく、問い合わせなどに繋げられる可能性も高いといえるでしょう。
また他の広告とは異なりテキストのみでの訴求となるため、広告に用いる素材も少なく、運用における工数や負荷は比較的軽いという特長があります。
費用は業界やキーワードによって大きな幅があります。検索ボリュームに応じてクリック単価は数十円から1,000円程度まで変動するでしょう。月額の費用は30万円程度が相場とされています。
2. ディスプレイ広告
ディスプレイ広告は、Webページの広告枠に表示されるWeb広告です。
画像:ディスプレイ広告の例
上記画像における赤枠で囲っている部分がディスプレイ広告に当たります。
ディスプレイ広告は、Webページの内容と関連のある広告を出稿できるため、潜在的なユーザーの認知を獲得する上で役立ちます。
またリスティング広告とは異なり、テキストだけでなく画像による視覚的な訴求が可能なため、より印象に残りやすいのが特長です。
ただし、リスティング広告と違い、顕在的なニーズを持ったユーザーの獲得には向かないといえます。
ディスプレイ広告の費用は、クリック課金型の場合はクリックあたり50~100円程度、インプレッション課金の場合でも数十円〜数百円程度がボリュームゾーンです。月間の費用は20〜50万円あたりが目安になります。
3. リターゲティング広告
リターゲティング広告は、自社のサイトに一度訪問したユーザーに対して再度表示されるディスプレイ広告です。見込み顧客の購買意欲の醸成や、リマインドなどに役立ちます。
既に一度Webサイトを訪問しているユーザーへアプローチするため、クリック率や購買などに至る割合が他のWeb広告より高い傾向にあります。
特にBtoBでは購買検討期間が長いため、リターゲティング広告を展開することで、継続的な認知を獲得し、購買検討時の選択肢になる可能性を高められるでしょう。
ただし、出稿の頻度やタイミングなどによっては、ネガティブな印象を抱かれてしまうリスクがある点には留意しなければなりません。
リターゲティング広告のクリック課金やインプレッション課金の金額は、ディスプレイ広告とほぼ同様の相場となります。ただし、過去にLPを訪問したユーザーが対象のため、リスティング広告やディスプレイ広告と比較して費用対効果が高い傾向が見られます。
4. 動画広告
動画広告はテキストや静止画でなく、動画を使用したWeb広告です。
動画の冒頭などに動画コンテンツと同じ画面上で表示されるインストリーム広告、動画検索結果上に表示されるインフィード広告などがあります。
動画広告は映像と音声を通じて、視覚だけでなく聴覚への訴求も可能なため、テキストや画像だけでは伝えにくい内容もユーザーに理解してもらいやすいというメリットがあります。
そのため単なる認知拡大だけでなく、ブランディングなどの効果も得やすいでしょう。
また出稿媒体となるYouTubeを始めとしたSNSは利用者が年々増えているため、それだけリーチできるユーザーも多いという強みがあります。
ただし広告に必要な素材が多くなるため、制作コストが高くなりやすい点には留意しましょう。
動画広告は、ユーザーが一定の時間以上視聴した場合に課金されるCPV課金やクリック単価の場合、1件あたり数円〜数百円程度、CPM課金の場合は数百円程度となります。
5. SNS広告
SNS広告も適切なプラットフォームを選べば、BtoBマーケティングに活用できます。
数あるSNSのうち、比較的ビジネスパーソンが利用していることが多いのは、FacebookやX、LinkedInでしょう。
Facebookは実名登録制で、氏名や年齢だけでなく勤め先なども登録していることが多いという特徴があります。そのため精度の高いターゲティングが可能です。
Xではプラットフォーム上でのユーザーの行動やツイートを元にしたターゲティングを行なえる上、拡散性に優れるという強い武器があります。うまく活用することで、一気に認知拡大などを狙えるでしょう。
LinkedInはビジネスSNSの代表格であり、Facebookのように細かなプロフィール情報を基にターゲティングが可能です。特に役職や職務レベルなどの要素も含まれているため、決裁権を持っている確率の高いユーザーに絞った出稿もできます。
SNS広告では、クリック課金の場合は数十〜数百円、インプレッション課金の場合は500〜1,000円程度が相場となります。月間の費用は最低でも数万〜数十万円は想定しておく必要があるでしょう。
6. 記事広告
記事広告とは、Webメディアに記事の体裁で掲載する広告です。
メディア側のライターが広告主である企業の製品・サービスなどについて取材し、特徴や売り込みポイントなどを紹介します。
記事形式であるため、テキストと画像を交えた豊富な情報量で訴求できる点は強みといえるでしょう。
その他のWeb広告とは異なり、情報の発信者が企業でなくメディアとなるため、広告と認識されにくく、信頼されやすいという特長があります。
ただし執筆するライターの質次第で訴求力が変わってくるため、しっかりと記事内容を確かめ、必要に応じて自社での推敲や校正も必要となるでしょう。
費用感はメディアによって異なりますが、月当たり数百万円程度が目安となります。
7. BtoBメディアの純広告
純広告とは、直接メディアの広告枠を購入して出稿する広告です。
費用を支払うことで必ず出稿されるため、競合などの影響を受けずに多くのユーザーにリーチできます。
費用体系としては、インプレッション型やクリック型などさまざまなタイプがありますが、もっとも特徴的な形態が期間保証型です。
期間保証型では、あらかじめ決められた期間に応じて固定で費用が発生します。確実に掲載されるものの、成果などに応じた柔軟な調整ができないため、状況によって費用対効果が悪くなる可能性があるでしょう。
とはいえ月額50万円程度から出稿でき、月額運用コストで見た場合に他のWeb広告よりも安く抑えられるケースがあります。
8. マス広告
マス広告とは不特定多数に向けて出向する広告で、「テレビCM」「ラジオ広告」「新聞広告」「雑誌広告」などの総称です。
大衆向けに訴求する広告であるため、大きな認知獲得が期待できますが、BtoBという文脈で見るとターゲットではないユーザーへリーチしてしまう可能性が高くなります。
また費用も数十〜数百万円以上はかかるなど、Web広告よりも高額であるケースが多くなるでしょう。そのため社名変更による再認知獲得やブランディングなどを目的としている場合を除き、BtoBマーケティングにはあまり適さないといえます。
9. 交通広告
交通広告とは、電車やバスといった公共交通機関の広告枠に出稿する広告です。
マス広告と同じく基本的にはBtoC領域が中心となりますが、地域密着型のアプローチをしたい場合は有効になるケースがあります。電車やバスは地域の住民が頻繁に活用するためです。
とはいえWeb広告のようにターゲティングができない上、効果測定も難しいため、基本的にはBtoBマーケティングには向いていないといえます。
地域に絞ったアプローチをしたいなどのケースを除いて、他の広告手法に予算を割く方が良いでしょう。
出稿費用は広告の種類や地域、期間によってさまざまです。首都圏の場合、バスの車内広告で数万〜百万円程度、電車の中吊りポスターになると数十万〜数千万円かかる場合もあります。
10. デジタルサイネージ
デジタルサイネージとは、商業施設や駅構内などに設置される電子表示媒体のことです。
運用の方向性としてはマス広告や交通広告と近く、不特定多数のユーザーに広くアプローチし、認知を獲得する場合には選択肢として考えられるでしょう。
ビジネスパーソンが多く訪れるビジネス街や駅前などのデジタルサイネージであれば、BtoB向けのアプローチも十分に可能となります。
デジタルサイネージが設置されている場所によって価格帯は異なり、例えば駅構内や商業施設内であれば数十万円程度となります。
ただし場所やデジタルサイネージ自体の大きさなどによっては、数百万円と高額になる可能性もあるので注意しましょう。
11. 専門誌
特定業界の専門誌への広告出稿も有効な手法となります。
建設や化学、医薬や鉄鋼など、各業界ではさまざまな専門雑誌や新聞が発行されています。ターゲットとする業界がある場合、その業界の専門誌に広告を出稿することで、効率的なアプローチが可能です。
特にこれらの専門誌は決裁権を持つ役職者が購読している可能性も高いため、通常の新聞や雑誌広告などと比べ、高い効果が期待できます。
専門誌への出稿費用は業界や雑誌によって異なりますが、基本的には一回の掲載に数十~数百万円程度の費用がかかります。
BtoB広告の導入時に重要なポイント
続いてBtoB広告を導入する際に押さえておくべきポイントをご紹介します。
カスタマージャーニー全体を検討
BtoB広告を運用する際は、カスタマージャーニーを策定し、どのプロセスにおいてターゲット顧客が広告に接触するのかを検討する必要があります。
カスタマージャーニーとは、顧客が製品・サービスを認知してから購入するまでのプロセスを整理したものです。マーケティングファネルと同じく、「認知」「興味・関心」「比較・検討」「購買」といったプロセスに整理されます。
カスタマージャーニーでは、プロセスごとに以下のような項目を整理した表を作成し、ユーザーのニーズや意識の変化を分析することに重きを置きます。
- ユーザーの抱える課題や悩み
- ユーザーの行動
- ユーザーの感情
- ユーザーが解決したいこと・求めている情報
- ユーザーが活用する情報収集手段
- ユーザーへのアプローチ方法
これらを明確にしていくことで、どのプロセスにおいてどのような情報提供や施策が必要かを俯瞰できます。
その中でBtoB広告が有効なプロセスを洗い出し、さらにリスティング広告やディスプレイ広告など、どの手法を展開すべきかを決定するのです。
カスタマージャーニーを活用することで、BtoB広告とその他のマーケティング施策のつながりも意識しながら有効な戦略を立てられるでしょう。
適切なキーワードを選定
適切なキーワードを選定し、できるだけノイズを排除することも重要です。BtoB広告におけるノイズとは、ターゲットではないユーザーのアクセスを指します。
ノイズを排除するには広告のターゲティング精度を高めることが欠かせません。BtoB広告の中でも主力となるリスティング広告でいえば、適切なキーワードを選定することがカギとなるでしょう。
最適なキーワード選定には、ソーシャルリスニングツールが役立ちます。SNS上に投稿された情報をモニタリングし、どのようなニーズ、つまり検索キーワードとなり得る言葉が投稿されているのかをチェックするのです。
あらかじめ策定しておいたペルソナを踏まえながら、ソーシャルリスニングの内容を参考にすることで、最適なキーワードを見つけられるでしょう。
ソーシャルリスニングツールに興味がある方は、こちらのページもご確認ください。
適切なKPIを設定
BtoB広告の目的に応じて適切にKPIを設定することで、効果検証や改善を精度高く行うことが可能です。
KPIを設定せずに運用すれば、広告効果の正しい測定や費用対効果の判断ができません。そのため広告の運用目的に応じて、適切なKPIを設定することが欠かせないのです。
認知獲得を目指す場合は、先程紹介した「インプレッション数」「リーチ数」「フリークエンシー」などが重要なKPIとなるでしょう。
Webサイトへの流入をメインとする場合は「クリック数」「クリック率」、最終的なビジネス効果まで把握したい場合は「コンバージョン数」「コンバージョン率」「顧客獲得単価(CPA)」「広告費用対効果(ROAS)」などが候補となります。
広告のパフォーマンス効果を分析
BtoB広告のパフォーマンスを最大化するには、効果検証と改善のサイクルを継続的に回す必要があります。
あらかじめ設定しておいたKPIを前提に、現状の成果との差異を分析しながら、広告のテキストや画像などを細かく調整するのです。
リスティング広告やディスプレイ広告は、テキストや画像を少し調整するだけで大きく成果が変わることもあります。
複数の広告を比較テストするなど、効果検証方法も工夫すれば、より精度高くコストパフォーマンスの高い広告を見極められるでしょう。
中長期的に効果検証と改善のサイクルを回せる運用体制の確立も大きなポイントといえます。
BtoB広告の運用方法を比較
次にBtoB広告の運用方法について、3つの手法をご紹介します。
インハウス化
まず一つ目に挙げられるのは自社内で運用するインハウス化です。
広告は商品・サービスを売り込む手段であり、商品などに関する知識が深いほど、的確な訴求ができます。
そのため広告運用をインハウス化した場合、訴求点がずれたり、表面的な訴求に留まったりするリスクを抑えることが可能です。
また継続的に実施することで広告運用ノウハウが蓄積し、より効果的なアプローチを実現できます。
インハウス化の場合、代理店を活用する際に生じるコストが発生しない点も利点といえます。
ただし社内に広告運用を継続的に実施できるリソースが必要です。またノウハウが十分に蓄積するまでは、費用対効果が悪い状態がしばらく続く可能性がある点にも注意しましょう。
代理店運用
次に挙げられるのは広告代理店の活用です。
広告代理店は各種広告に精通したプロが所属しているため、仮に社内にノウハウがなくとも、効果的な広告運用の実施が期待できます。
また広告運用業務を外部委託することになるため、製品・サービスの改善など、より重要な業務へリソースを配分できる点もメリットです。
ただし、広告代理店の担当者が、自社の社員と比べて製品やサービス、市場に関して理解が不足している場合があります。
その場合、製品・サービスの特徴や訴求したい要素などを、代理店側とあらかじめ十分にすり合わせなければ、アプローチの精度が落ちてしまう恐れがあるでしょう。
また広告代理店を活用した場合、一般的に広告費の約20〜30%の手数料がかかります。そのためインハウスで運用するよりも、コストが高くなりがちな点には注意してください。
伴走型コンサルティングの利用
運用手法の最後に挙げられるのは、伴走型コンサルティングの利用です。
広告運用自体は自社の担当者が主体となって行いますが、広告に関する豊富な知見を持ったプロからアドバイスやサポートを提供してもらえます。
インハウス化と代理店運用の良い所を合わせたような運用方法といえるでしょう。
費用は月額固定のケースが多く、どこまでサポートを受けるかによって大きく変動します。
広告運用プロセス全般を支援してもらう場合、広告運用費に加え、20〜50万円程度はコンサルティング費用がかかると想定されます。
BtoB広告の成功事例
最後にBtoB広告の成功事例をご紹介します。
成功事例1:三栄電子株式会社
電子部品の専門商社である三栄電子株式会社は、リスティング広告とディスプレイ広告を運用することで、商談の獲得件数を10倍に増加させました。
広告を運用するまでは展示会を軸とした顧客開拓を行っていたものの、認知度や営業リソースの兼ね合いで、十分な成果を上げられないという課題を抱えていました。そんな状況の中、新型コロナウイルス感染症の拡大によって展示会がなくなり、さらに顧客開拓が滞ってしまったのです。
そこでランディングページとWeb広告を組み合わせた手法を検討し、リスティング広告とディスプレイ広告の運用を開始しました。
問い合わせのあった顧客にどんなキーワードを使ったのかをヒアリングしながら、試行錯誤を繰り返した結果、商談件数と成約件数が実施前の10倍という大きな成果を得るに至りました。
参考:デジタルで商談件数 10 倍を実現した三栄電子株式会社|Google広告
成功事例2:株式会社SmartHR
クラウド人事労務ソフトの開発や提供を行う株式会社SmartHRは、ディスプレイ広告による動画広告を活用し、新しいサービス領域での認知獲得を実現しました。
もともと労務管理クラウドでは国内において圧倒的なシェアを誇るものの、タレントマネジメント領域ではまだまだ認知が得られていませんでした。
そこでYahoo!広告のディスプレイ広告を活用し、動画広告を展開。タレントマネジメント領域での認知拡大が目的であったため、あえて労務管理については一切触れず、タレントマネジメントの必要性などに絞り込んだ動画広告を配信したのです。
ターゲットもあまり細かく絞り込まずに、幅広く配信する戦略を取った結果、指名検索で他媒体の2倍もの流入を獲得でき、認知拡大を実現しました。
参考:新ジャンルでの認知拡大に挑む!「動画広告」の活用で指名検索流入数が倍増|LINEヤフー for Business
成功事例3:株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ
ICTソリューションを提供する株式会社KDDI ウェブコミュニケーションズは、ホームページ作成サービス「Jimdo(ジンドゥー)」のマーケティングにX(当時はTwitter)広告を活用しています。
2009年3月にJimdoのサービスを開始した後、幅広い認知拡大を狙い同年10月にTwitterの公式アカウントを開設。サービスなどのお知らせを行いながら、イベント開催のタイミングで広告を配信しました。
数多い投稿に埋もれてしまわないように、自社広告が目に入るよう最初の1行をしっかりと議論し、さらに2つのテキストを比較テストするなどの工夫も凝らしたといいます。
その結果、数日間の広告配信期間であったにも関わらず、通常の4倍以上のアクセスがあり、定員数を超えるイベント申し込みを獲得するなどの成果を収めたのです。
参考:ユーザーとのコミュニケーション、ターゲティング機能の有効活用で集客に成功!無料ホームページ作成サービスのTwitter活用術
まとめ|BtoB広告でビジネスの成長を加速
BtoC同様、BtoBマーケティングにおいても広告を適切に活用すれば、顧客からの認知獲得やリピート購買の促進など、さまざまな効果を得ることができます。
活用できる手法もリスティング広告をはじめ、ディスプレイ広告や動画広告など、さまざまな特徴を持った広告があるため、ターゲットに合わせて柔軟に使い分けることが可能です。
しっかりとターゲットを定め、顧客ニーズに刺さる広告を配信できれば、ビジネスの成長を加速させることができるでしょう。
この記事を参考にBtoB広告活用をご検討いただければ幸いです。
この記事の監修者:
宮崎桃(Meltwate Japanエンタープライズソリューションディレクター)
国際基督教大学卒。2016年よりMeltwater Japan株式会社にて新規営業を担当。 2020年よりエンタープライズソリューションディレクターとして大手企業向けのソリューションを提供。 ソーシャルメディアデータ活用による企業の課題解決・ブランディング支援の実績多数。 趣味は映画鑑賞、激辛グルメ、ゲーム