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アーンドメディアとは?メリットや種類、成果を上げる5つのポイントを解説

アーンドメディアとは?メリットや種類、成果を上げる5つのポイントを解説


山﨑伊代

Sep 4, 2024

アーンドメディアはデジタルマーケティングで活用するメディアの一つです。

アーンドメディアを適切に運用することで、消費者の意見や評価を確認でき、製品・サービスに関する情報も効果的に拡散できます。

本記事ではアーンドメディアの概要やオウンドメディアなどとの違いを踏まえ、メリットや種類、成果を上げるポイントを解説します。最後にアーンドメディア運用の成功事例も紹介します。

アーンドメディアとは?

アーンドメディア(Earned Media)とは、一般消費者など企業に直接関係のない第三者が発信の主体となるメディアです。

オウンドメディアとペイドメディアと併せて「トリプルメディア」と呼ばれ、デジタルマーケティングにおける重要なチャネルとして活用されます。

「獲得する」という意味を持つアーンド(earned)が付けられていることから分かるように、アーンドメディアの主な役割は「顧客・消費者からの良い評判」を獲得することにあります。

消費者は製品・サービスを購入する際、企業から発信された情報だけでなく、使った人の口コミを参考にすることが多く、特に20代・30代にその傾向が見られます。

そのため企業は、アーンドメディアにおいてポジティブな評価や意見が投稿されるように、製品・サービスに関する情報が正しく伝わる仕組みを構築することが求められるのです。

オウンドメディアやペイドメディアとの違い

オウンドメディアやペイドメディアとの違い

ここでトリプルメディアを構成する他のメディアとの違いについて確認しておきましょう。

オウンドメディアとの違い

オウンドメディア(Owned Media)とは、企業が自社で保有・管理するメディアです。

コーポレートサイトやビジネスブログなどが含まれます。

オウンドメディアはテキストや動画、音声などさまざまな形式のコンテンツを活用することで、企業や製品・サービスの魅力を伝えられるメディアです。

アーンドメディアとは異なり、自社で管理運営しているため、発信する情報は全てコントロールできます。

他メディアにはない豊富な情報を通じて、消費者の企業への理解を深められるといった強みがあります。


またオウンドメディアによるコンテンツは、一度投稿すれば半永久的に集客や理解促進などの効果を発揮し、一種の企業資産となるものです。

ただし拡散力や認知獲得の効果に課題があるため、アーンドメディアやペイドメディアによる流入経路の確保が必要になるでしょう。


ペイドメディアとの違い

ペイドメディア(Paid Media)とは、企業が有料で広告を掲載するメディアで、読者やユーザーに対して企業や製品・サービスなどの情報を発信できます。

Yahoo!などのポータルサイトや検索エンジンの検索結果ページに掲載されるリスティング広告、各種Webサイトにおけるバナー広告、新聞やテレビなどのマス広告といった幅広い媒体によるアプローチが可能です。

オウンドメディアやアーンドメディアとは異なり、相応の費用をかけることで認知獲得を短期間で得られ、消費者の衝動的な購買行動なども喚起できます。

媒体ごとに掲載ルールが設けられているものの、基本的には内容を自由にカスタマイズできるため、意図した情報の発信もしやすいでしょう。

ただし、掲載媒体によっては数十~数百万円など、高額な費用がかかるケースもあるため留意が必要です。

アーンドメディアの主な種類

アーンドメディアと一口に言ってもさまざまな種類があります。ここでは代表的な4つのメディアをご紹介します。

SNS

SNSはアーンドメディアの代表格であり、活用される機会の多いメディアです。SNSの中にもXやFacebook、InstagramやLINEなど、ユーザー層や特徴の異なるものが多数存在します。

SNSでは自社アカウントを開設することで、一種のオウンドメディアのように情報発信をしながら、ユーザーとの相互コミュニケーションを図ることができます。


また拡散力にも優れ、内容次第では短期間で爆発的な認知を獲得できるという強みがあります。

特にインフルエンサー(インターネットを用いて消費者の購買意思決定に影響力を持つ人物)を起用したプロモーションは、インフルエンサーのフォロワーに対して効率的にアプローチが可能です。

ただしインフルエンサー起用を含め、SNSは常に炎上リスクをはらみます。

そのためSNSを活用する場合は、ポリシーやガイドラインの策定に加え、社内での教育や情報共有などを十分に実施しておく必要があるでしょう。

レビューサイト・口コミサイト

消費者の口コミが集まるレビューサイト・口コミサイトも、アーンドメディアの代表例です。食べログやぐるなび、価格ドットコムなどが挙げられます。

口コミは、企業による一方的なアピールよりも信頼性のある情報として扱われるため、消費者の購買検討に多大な影響を与えます。

SNSにも口コミが投稿されますが、レビューサイト・口コミサイトは、消費者が使用した商品や訪れた飲食店などについて投稿したレビューを他の人が参考にするメディアであるため、消費者の率直な感想がより集まりやすいという特徴があります。

そのためレビューサイトや口コミサイトにおいて、「自社に対してどういった投稿がされているか」を常にモニタリングし、必要に応じて製品・サービスやコミュニケーション施策の改善に繋げることが重要です。

動画投稿サイト

YouTubeをはじめとする動画投稿サイトは、一般消費者がクリエイターとして多数活動しており、製品・サービスを紹介するケースがあります。

動画による紹介では、テキストや画像だけでは伝えることができない細かな情報も訴求できるため、より効果的に製品・サービスへの理解を促すことも可能です。

企業側からクリエイターにプロモーションを依頼することもでき、他のソーシャルメディアでリーチが難しい消費者層の認知獲得も期待できます。

SNSと同じくアカウントを作成することで、オウンドメディアのように活用できる点も大きな強みといえるでしょう。

キュレーションメディア

キュレーションメディア(Curation Media)とは、Web上で公開されている情報を収集し、その内容をまとめて整理・編集した上で新たに公開するメディアです。

代表的なキュレーションメディアとしては、はてなブックマークやSmartNews、グノシーなどが挙げられます。

それぞれのテーマに沿った情報が集約されているため、そのテーマと親和性の高いユーザーを集めやすいという特徴があります。

自社の製品・サービスと関連したテーマを扱うキュレーションメディアで取り上げられれば、効率的に認知獲得を実現できるでしょう。


ただし「キュレーター」と呼ばれるクリエイターが、任意で情報を取捨選択してまとめたコンテンツが掲載されるため、誤った認識に基づく情報が出回るリスクもある点には留意してください。

アーンドメディアのメリット

続いてアーンドメディアのメリットをご紹介します。

1. 情報拡散が期待できる

アーンドメディアはオウンドメディアなどと異なり、情報の拡散力が高いという強みがあります。


XやInstagramなどのSNSや、動画投稿サイトは特に拡散性に優れており、いわゆるバズる状態を生み出しやすいのが特徴です。


バズる状態は意図的に生み出すことはできないため、必ずしも短期間に爆発的な認知獲得が得られるとは限りませんが、それでも他メディアよりは拡散される可能性が高いといえるでしょう。

またアーンドメディアは基本的に費用がかからない、あるいは低コストで活用できるため、費用対効果の高い情報拡散も可能です。

2. 信頼を得やすくなる

企業や製品・サービスに関するポジティブな口コミなどが投稿されることで、消費者の信頼を得やすくなることもアーンドメディアのメリットです。

オウンドメディアやペイドメディアで投稿する情報は、消費者にとって企業側が一方的に提供しているものにすぎず、客観的な情報ではないと判断されることもあります。

その点、アーンドメディアのコンテンツは消費者のリアルな声や意見であるため、信頼性のある情報として認識されやすいのです。

そのためアーンドメディア上での製品・サービスに対する評価が高ければ、消費者からの信頼も得やすく、購買行動に良い影響を及ぼすことができるでしょう。

3. ユーザーとコミュニケーションが取れる

アーンドメディア、特にSNSは消費者との相互コミュニケーションが取れるという特長もあります。

オウンドメディアやペイドメディアは、企業からの一方通行のコミュニケーションとなり、消費者のコンテンツへの反応を把握することは難しいといえます。

一方、SNSではダイレクトメッセージやコメント機能などを用いて、ユーザーと意見のやり取りを行うことが可能です。

そのため消費者と良好な関係を構築をしながら、製品・サービス開発や改善のアイデアなどを取得できるなど、他メディアにはない利点があります。

アーンドメディアのデメリット

アーンドメディアには数多くのメリットがありますが、情報のコントロールが難しいという難点があります。

情報提供の主体が消費者であるため、どのような内容の情報が投稿・拡散されても、企業は関与できないのです。

そのため企業の利益となる情報が発信されるとは限らず、場合によってはネガティブな意見を投稿されることもあります。

また将来的に資産価値を発揮するオウンドメディアと異なり、アーンドメディアは他社が運営しているため、自社の資産として保有できません。

ペイドメディアと比較すると結果が出るまでに時間がかかるという側面もあるので、オウンドメディアやペイドメディアと組み合わせながら、うまく活用することが求められるでしょう。

アーンドメディアで成果を上げる5つのポイント

アーンドメディアで成果を上げる5つのポイント


アーンドメディアで成果を上げるには以下のポイントを押さえましょう。

1. SNSのフォロワーを増やす

アーンドメディアで成果を上げるには、中核となるSNSのフォロワーを増やすことが重要になります。

公式アカウントを運用していてもフォロワーが少なければ、SNSの強みである拡散力の高さを十分に活かすことはできません。

フォロワーが増えれば、製品・サービスに関する投稿も増加することが期待できます。

そのためまずはユーザーにとって有益な情報提供を行い、共感を呼ぶコンテンツを発信しながら、フォロワー増加を目指しましょう。

2. ユーザーと積極的なコミュニケーションを図る

ユーザーと積極的なコミュニケーションを図ることも、アーンドメディア運用の成功のカギです。

公式SNSアカウントを開設し、各SNSユーザーの投稿に対してリアクションをしたり、コメントに対して返信したりするなど、積極的なコミュニケーションを図りましょう。

こういう地道な取り組みにより、ユーザーとの良好な関係を構築でき、ポジティブな情報を拡散してもらうための土壌を作ることができます。

自社の製品・サービスに関するPRに比重を置かず、SNSユーザーに役立つ情報の発信とコミュニケーションに力点を置いて運用することで、顧客からの評判を高めることができるでしょう。

3. インフルエンサーを起用する

アーンドメディアによる訴求力を高めるために、インフルエンサーの起用も検討する価値があります。

各SNSでは、多数のフォロワーを抱えたインフルエンサーが活動しています。

インフルエンサーを通じたプロモーションは、企業発信の施策ではあるものの、インフルエンサーが独自の視点から製品やサービスについて紹介するので、信頼性が高いと思われるのがメリットです。

そのためインフルエンサーのフォロワー層などを踏まえ、自社の製品・サービスとの親和性が高いインフルエンサーを起用してプロモーションを行えば、効果的な認知拡大や購買意欲の促進を実現できます。


4. 炎上時の対応や運用ルールを決めておく

炎上時の対応や運用ルールをあらかじめ決めておくことも重要なポイントです。

アーンドメディアの運用には常に炎上リスクが伴います。

炎上が起きた場合、急速にネガティブな情報が広まるため、早急な対応が求められます。

そのためアーンドメディアを活用するには、炎上した場合を想定して、「誰が・いつ・何に・どのように対応するのか」をあらかじめ決めておかなければなりません。

また投稿規則やNG表現などを含めた運用ルールも策定しておき、炎上リスクを最小化することも必要になるでしょう。

5. 長期的にモニタリングする

長期的にモニタリングすることも、アーンドメディア運用の成功において重要なポイントです。

アーンドメディアは自社アカウントによる発信を除き、情報をコントロールできず、ポジティブなものもネガティブなものも投稿されることになります。

批判的な情報を放置していると、炎上やさらなるネガティブ評価に繋がる可能性があるため、早急な対応が求められます。

そのため各種アーンドメディアについては、長期的にモニタリングし、自社に関しての投稿内容を把握しておかなければなりません。

ソーシャルリスニングツールなどを活用すれば、効果的なモニタリングを実現できるため、アーンドメディア運用の際は導入を検討しましょう。

アーンドメディアの成功事例

最後にアーンドメディアの成功事例をご紹介します。

1.無印良品

「無印良品」は、株式会社良品計画が展開する、衣服や日用雑貨、食品などを扱うブランドです。

無印良品はXやInstagramなどのSNS、YouTubeなどをうまく活用し、認知の拡大や販売促進に取り組んでいます。

拡散力の高いXやInstagramでは、人気商品や新商品に関する情報をシンプルな文章と画像で紹介し、詳細は商品ページで確認できるようにリンクを記載しています。

無印良品のXへの投稿
無印良品のYouTubeチャンネル

引用:MUJI 無印良品 YouTube公式アカウント 

2.キングジム

株式会社キングジムは、テプラやファイルなどの文房具を製造販売する企業です。

キングジムではX公式アカウントに「中の人」という人格を持たせることで、企業のキャラクターを確立しているのが特徴です。

Xでは製品の紹介やキャンペーンを実施しながら、「中の人」が個性的な投稿を行うことで大きな反響を獲得しています。

キングジムのXアカウントの投稿

「中の人」の投稿によって、ユーザーからの信頼や評判を獲得しているといえるでしょう。

また上記のような投稿に加え、ユーザー投稿に対してリポストやコメントなど、積極的にリアクションをしているのも成功のポイントです。

3.ナチュレライフ

株式会社グランデが運営する健康・美容食品などのブランド「ナチュレライフ」では、Instagramのインフルエンサーを起用して製品のプロモーションを行っています。

ナチュレライフのインスタグラムの投稿

引用:1220riiiisa

1220riiiisaさんはフォロワー数が約7000人のナノインフルエンサーです。

フォロワーの数によって4種類に分けられるインフルエンサーの中で、フォロワー数が1万人以下のナノインフルエンサーは、アピールできる範囲は最も狭いですが、その分フォロワーにとって身近に感じられるという強みがあります。

ナチュレライフのナノインフルエンサー起用は、認知拡大だけでなく、より確実な購買促進に繋げるアーンドメディア活用事例といえるでしょう。

まとめ

アーンドメディアは自社でコントロールできないという難点があるものの、うまく活用すれば短期間で爆発的な認知を獲得できるなど、オウンドメディアやペイドメディアにはない強みがあります。

ただし炎上のリスクやネガティブな投稿が拡散される可能性もあるため、日頃からアーンドメディア上で自社に関する情報をモニタリングし、適切に対応していくことが求められます。


アーンドメディアのモニタリングを効率的に実施するなら、ソーシャルリスニングツール「Meltwater」がおすすめです。

Meltwaterは各種SNSや口コミサイト、ブログなどさまざまなメディア上の情報をモニタリング・分析することで、効果的なアーンドメディア運用を強力にサポートします。

この記事の監修者:

山﨑伊代(Meltwate Japanエンタープライズソリューションディレクター)

大学卒業後、新規顧客開拓セールスコンサルタントとしてMeltwater Japan株式会社入社。
食品・生活用品・エンタメ・自動車・機械・学校法人等多種多様な企業・団体の広報・マーケティング部門のデジタル化並びにグローバル化をMeltwaterのソリューションを通して支援。 2016年~2018年グローバルセールスランキング首位。 趣味は山登りとビデオゲーム。

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