コンテンツへスキップ
logo
ペイドメディアとは?メリットや種類、活用方法を解説

ペイドメディアとは?メリットや種類、活用方法を解説


山﨑伊代

Sep 4, 2024

ペイドメディアは、企業が費用を支払うことで広告掲載ができるメディアのことです。限られた予算で最大の効果を得るには、戦略的なアプローチが不可欠です。本記事では、ペイドメディアの基本から活用方法、成功事例まで詳しく解説します。自社のマーケティング戦略の最適化にぜひお役立てください。

ペイドメディアとは?

ペイドメディア (Paid Media) とは、企業が有料で広告を掲載するメディアのことです。

具体的には、リスティング広告やバナー広告などのWeb広告に加えて、テレビ、新聞、ラジオといった従来のマス広告などが含まれます。

企業が積極的に情報を発信でき、幅広い層に迅速にメッセージを届けられるのが特徴です。新商品・サービスのローンチやブランド認知度の向上など、様々な目的に応じて活用されています。

ペイドメディアとオウンドメディア、アーンドメディアとの違い

ペイドメディアとオウンドメディアやアーンドメディアとの違い

ペイドメディア、オウンドメディア、アーンドメディアは、マーケティング戦略において重要な役割を果たす「トリプルメディア」と呼ばれる媒体です。
それぞれの特徴と役割を理解することで、効果的なマーケティング戦略を構築できます。以下では、ペイドメディアとの主な違いを説明します。

オウンドメディアとの違い

オウンドメディア(Owned Media)とは、企業が自社で所有・運営するメディアのことです。自社のWebサイトやブログが該当し、広義ではSNSアカウントなども含まれます。企業が直接コンテンツを制作・管理できるのが特徴です。

ペイドメディアとオウンドメディアの最大の違いは、メディアの所有権にあります。ペイドメディアは他社の媒体に費用を支払って広告を掲載するのに対し、オウンドメディアは自社でメディアを所有・運営できます。

また、ペイドメディアは即時的な効果を狙って広告費を投じる一方、オウンドメディアは長期的なブランド構築と顧客関係の強化を目指すのも大きな違いです。

コスト面では、ペイドメディアは継続的に広告費を投じる必要がありますが、オウンドメディアは広告単体での費用ではなく、運用コストや記事制作費用などに広告費が含まれる形になります。

アーンドメディアとの違い

アーンドメディア(earned media)とは、ユーザーの口コミやSNSでの自発的な投稿、レビューなど、第三者が情報を発信するメディアのことです。

ペイドメディアとアーンドメディアの主な違いは、広告の内容をコントロールできるかどうかにあります。ペイドメディアは企業が直接コントロールできる有料広告ですが、アーンドメディアはユーザーの自発的な口コミや評価によって形成されます。宣伝目的ではなく本音が書かれているため、商品の有益な情報となる場合もあるでしょう。

コスト面では、ペイドメディアは広告費が必要ですが、アーンドメディアは基本的に無料で、ユーザーの自発的な行動に依存します。

ペイドメディアの種類

ペイドメディアには以下の3種類があります。

  1. Web広告
  2. マス広告
  3. セールスプロモーション広告

それぞれ詳しく解説します。

1. Web広告

Web広告は、インターネット上で展開される広告の総称で、主な種類は以下の通りです。

種類概要
リスティング広告Webの検索結果の上部に表示されるテキストの広告
ディスプレイ広告Webサイトの広告枠に表示されるテキスト・画像・動画広告
SNS広告SNS上で展開されるテキスト・画像・動画広告

Web広告は、ターゲティングの精度が高く、費用対効果を測定しやすいのが特徴です。比較的低コストで開始でき、費用を調整したり、ターゲットを変えたりできます。

2. マス広告

マス広告は、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などのマスメディアを通じて展開される広告のことです。これらは「4大マスメディア」と呼ばれ、幅広い層に一度にリーチできる特徴があります。
マスメディアは信頼できるメディアとして認識されることが多く、マス広告を利用すればブランディングや企業イメージの向上に効果的です。一方で、高額な費用がかかることや、ターゲティングの精度が Web広告に比べて低いことが課題として挙げられます。

3. セールスプロモーション広告

セールスプロモーション広告は、マス広告以外のオフライン広告のことです。店頭POPや折込チラシ、ダイレクトメール、交通広告、キャンペーン、カタログなどが該当します。

商品・サービスの購買意欲を直接刺激し、短期的な売上アップを見込めるのが特徴です。ターゲットを絞った展開が可能で、地域や顧客層に応じたきめ細かいアプローチができます。

ペイドメディアのメリット

ペイドメディアの主なメリットは以下の3つです。

  1. 幅広いターゲットにリーチできる
  2. 即効性を期待できる
  3. PDCAを回しやすい

順番に詳しく解説します。

1. 幅広いターゲットにリーチできる

広告費を投じることで、多様なユーザー層に対して迅速にアプローチできます。ペイドメディアは、既存顧客だけでなく、自社の商品・サービスをまだ知らない潜在顧客まで幅広く訴求することが可能です。

例えば、テレビCMや新聞広告などのマス媒体を使用すれば、幅広い年齢層や地域の人々に一度にアプローチできます。Web広告では、年齢や性別、興味関心などの条件設定でターゲティングを行い、特定のユーザー層に絞って効率的に広告を届けることが可能です。

2. 即効性を期待できる

即効性がある点も大きなメリットです。広告費を投じることで、短期間で広範囲にわたって露出できるからです。

多くのユーザーを抱えている大手メディアや人気のプラットフォームに広告を掲載すれば、効果的に認知を広めることができます。新製品のローンチや期間限定のキャンペーンなど、迅速な情報発信が必要な場面で特に威力を発揮します。

3. PDCAを回しやすい

PDCAを回しやすいのもメリットの1つです。継続的な改善と最適化が可能となり、広告効果の最大化を図れます。

Web広告のPDCAサイクルの一例は以下の通りです。

プロセス概要
Plan(計画)目的、予算、ターゲットを明確にする
Do(実行)広告を展開する
Check(検証)クリック率やコンバージョン数などの指標を測定する
Action(改善)広告内容の修正、予算配分の調整を行う

特にWeb広告では、効果測定のデータをリアルタイムで取得できるため、このサイクルを素早く繰り返すことが可能です。

ペイドメディアのデメリット

メリットが魅力的なペイドメディアですが、以下のようなデメリットもあります。

  1. 継続的に費用がかかる
  2. 一方的なコミュニケーションになりやすい
  3. 競争が激しく差別化が難しい

1. 継続的に費用がかかる

ペイドメディアを運用する場合、継続的に費用がかかります。広告を出稿し続けるためには、常に予算を確保し続ける必要があるでしょう。

テレビCMや新聞広告などのマス広告では、1回の出稿でも相応の費用が必要となります。Web広告でも、クリック数や表示回数に応じて費用が発生するため、長期的な運用には継続的な予算が必要です。

特に、認知拡大からコンバージョン獲得まで複数のフェーズを経る必要がある場合は、十分な結果を得る前に予算が尽きてしまうリスクがあります。そのため、費用対効果を慎重に検討し、自社の経営状況に合わせた適切な予算配分と運用計画を立てることが重要です。

2. 一方的なコミュニケーションになりやすい

ユーザーとのコミュニケーションが一方的になりやすいこともデメリットです。

広告は企業が作成し、発信するものであるため、ユーザーの反応や意見を直接取り入れることが難しくなります。例えば、テレビCMや新聞広告では、視聴者や読者からの即時のフィードバックを得ることは難しいでしょう。

特に、ターゲティングが適切でない場合、関心のないユーザーに繰り返し広告が表示されることで、ブランドイメージを損なう恐れもあります。

3. 競争が激しく差別化が難しい

ペイドメディアの第3のデメリットは、競争が激しく差別化が難しいことです。多くの企業が同じプラットフォームや媒体を利用するからです。

特にWeb広告の分野では、リスティング広告の上位表示を狙って、多くの企業が競合しています。例えば、人気のキーワードでは入札価格が高騰し、費用対効果が低下する可能性があります。また、SNS広告では、ユーザーの注目を集めるために、より魅力的な広告コンテンツが求められるでしょう。

激しい競争環境では、単に広告を出稿するだけでは十分な効果を得られないことが多くなっています。そのため、独自性のある広告クリエイティブの開発や、的確なターゲティング戦略の立案など、継続的な努力と工夫が必要となります。

ペイドメディアの活用方法

ペイドメディアの活用方法を以下の媒体別で解説します。

  • テレビCM
  • 雑誌広告
  • リスティング広告
  • 動画広告
  • SNS広告

テレビCM

テレビCMは、幅広い層に対して認知拡大が可能なペイドメディアです。総務省が2021年に行った「各メディアに対する信頼」の調査では、信頼できるメディアは新聞に次いで2位がテレビでした。多くの人が信頼するテレビで放送されることで、商品・サービスの信頼性が高まります。映像と音声を使った表現力豊かな広告は、視聴者の記憶に残りやすいでしょう。

これらの特徴により、テレビCMはブランドイメージの構築に効果的です。特に新製品の発売やリブランディングなど、大規模な認知拡大が必要な場合に適しています。


ただし、制作費と放送費用が高額なため、予算に応じた戦略が必要です。例えば、地方局限定のCMや、自社制作による低コストCMなどの選択肢があります。

雑誌広告

雑誌広告は、特定のターゲット層に効果的にアプローチできるペイドメディアです。各雑誌の読者層が明確なため、自社のターゲットに合致した媒体を選ぶことで、効率的に広告を展開できます。
テレビCMに比べて比較的低コストで、全国規模の露出が得られる点も魅力です。ファッションや美容、趣味など、特定の興味関心に基づく商品・サービスのプロモーションに適しています。

リスティング広告

リスティング広告は、検索エンジンの結果ページに表示される広告で、ユーザーの検索意図に合致した情報を提供できます。問題解決を求めているユーザーにアプローチできるため、コンバージョンにつなげやすいのがメリットです。

例えば、美容室の場合は「美容室 予約 当日」「ヘアカット 安い 渋谷」「ヘアカラー おすすめ 駅近」などのキーワードが考えられます。ただし、人気キーワードは競争が激しく、コストが高騰する場合もあります。ユーザーが広告をクリックしないうちは、費用も発生しません。

動画広告

動画広告は、YouTubeやSNSプラットフォームで展開される視覚的に訴求力の高い広告です。特に若年層へのリーチに効果的で、グローバル展開もできます。

従来のテレビCMに比べて制作・配信コストを抑えられる点も魅力です。商品のデモンストレーションを見せたり、ブランドストーリーを伝えたりするなど、複雑な情報を視覚的に伝えるのに適しています。短尺で印象的な内容が求められ、最初の数秒で視聴者の興味を引くことが重要です。

SNS広告

SNS広告は、InstagramやFacebookなどのプラットフォームで展開される、精緻なターゲティングが可能な広告です。ユーザーの興味関心や行動履歴などに基づいて細かくセグメントを設定し、広告を配信できます。

広告フォーマットも多様で、フィード広告やストーリーズ広告など、プラットフォームの特性に合わせて展開できます。特に、ビジュアル重視の商品やサービス、トレンドに敏感な若年層向けの商材に効果的です。

ペイドメディアを成功に導くポイント

 ペイドメディアを成功に導くポイント

ペイドメディアを成功に導くポイントは以下の5つです。

  1. ターゲットの明確化
  2. 最適なチャネルの選択
  3. オウンドメディアやアーンドメディアとの連携
  4. メッセージやデザインの最適化
  5. 効果検証から効果的な改善

順番に詳しく解説します。

1. ターゲットの明確化

まずは、ターゲットを明確に定義しましょう。広告の対象となる具体的な顧客像を描くことで、戦略立案が可能になります。年齢や性別、居住地域、興味関心など、様々な要素を考慮しましょう。

例えば、「30代の働く女性で、健康志向が高く、東京都港区在住の人」といった具体的なターゲット像を設定します。Web広告の場合は、過去の購買履歴やWebサイトの閲覧履歴なども参考にできます。

ターゲットを絞り込むことで、広告費の無駄を減らし、高い投資対効果を実現できるでしょう。

2. 最適なチャネルの選択

ターゲットが明確になったら、次は最適な広告チャネル(広告媒体)を選びます。各チャネルの特性とターゲットの行動パターンを照らし合わせて、最も効果的な組み合わせを見つけましょう。

例えば、若年層向けの商品ならTikTokやInstagramなどのSNS広告、幅広い年齢層に訴求したい場合はテレビCMなどが適しています。

また、商品・サービスの特性も考慮しましょう。視覚的なアピールが重要な商品には動画広告やディスプレイ広告が効果的です。コストと期待される効果のバランスを取りながら、最適なチャネルミックスを決定することが成功への鍵となります。

3. オウンドメディアやアーンドメディアとの連携

ペイドメディアの効果を最大化するには、オウンドメディアやアーンドメディアとの連携が不可欠です。この3つを組み合わせた「トリプルメディア戦略」を展開しましょう。

例えば、ペイドメディアで広く認知を獲得し、興味を持ったユーザーを自社のWebサイトやブログなどのオウンドメディアに誘導します。そこでユーザーにとって有益な情報を発信します。最終的に、口コミやSNSで拡散されるようにアーンドメディアにつなげるという流れです。

各メディアの長所を活かし、短所を補完し合うことで、より精度の高いアプローチができます。一貫性のあるメッセージングとスムーズな導線設計が重要なポイントです。

4. メッセージやデザインの最適化

ペイドメディアで成果を出すには、魅力的なメッセージとデザインが重要です。ターゲットのニーズや課題を深く理解し、それに応える広告を作成しましょう。

例えば、問題解決型の訴求なら「あなたの悩みを解決します」といった直接的なメッセージが効果的かもしれません。視覚的要素も重要です。目を引く画像や、商品の魅力を伝える動画を使用し、ユーザーの関心を引きつけましょう。

Web広告の場合、CTA(行動喚起)ボタンの色や配置にも注意を払います。「今すぐ購入」「詳しく見る」など、次の行動を促す指示を明確に提示することで、クリック率やコンバージョン率の向上が期待できます。

5. 効果検証からの改善

ペイドメディアの運用では、継続的な効果検証と改善が成功の鍵となります。特にWeb広告では、リアルタイムでデータを収集し分析することが可能です。広告の表示回数やクリック数、コンバージョン数などの指標を常にチェックし、パフォーマンスを評価しましょう。

クリック率が低い広告があれば、広告内容やターゲティングの見直しを行います。コンバージョン率が低ければ、CTAへの導線を改善しましょう。PDCAサイクルを回し続けることで、投資対効果の高い広告運用が実現できます。

ペイドメディア運用の成功事例

ペイドメディアを運用して成果を上げた企業の事例を3つ紹介します。

1. ダイキン工業株式会社

ダイキン工業は、同社の湿度コントロールができるエアコンの価値が、一般的に認知されていないことが課題でした。とりわけ認知が低かったのは、エアコンを買う機会の少ない若年層です。そこで、SNS広告を利用したペイドメディア施策を展開しました。特に活用したのは、Instagram のストーリーズ広告で、人気インフルエンサーを起用した短尺動画でクイズ形式のコンテンツを制作しました。

広告効果を最大化するため、アンケート機能付き広告とそうでない広告、シンプルなクリエイティブとリッチなクリエイティブの比較テストを実施したのもポイントです。その結果、アンケート機能付きのシンプルな広告がCTR(クリック率)で最も高い効果を示し、アンケート機能付きのリッチなクリエイティブが3秒再生率で最も優れた結果を出しました。

このペイドメディア戦略により、想定の3倍のインプレッション数を獲得し、湿度コントロールの重要性の認識を大きく向上させることに成功しました。

2. 日清食品株式会社

日清食品は、カップヌードルの「HUNGRY DAYS」というCMシリーズで、斬新なアプローチを用いて若者層へのアピールに成功しています。

この広告キャンペーンでは、「魔女の宅急便」や「サザエさん」といった国民的アニメのキャラクターを現代の高校生に置き換え、30秒のアニメCMが制作されました。加えて、BUMP OF CHICKENの楽曲を使用するなど、多角的なアプローチで視聴者の興味を引きつけているのも特徴です。

結果として、SNS上で大きな話題を呼び、動画の総再生回数が1,800万回を超える大ヒットになりました。2017年のCM好感度でも食品業界で1位を獲得し、若者層に対して良いブランドイメージを与えることに成功しました。

3. 株式会社ホテルサンバレー

静岡県のホテルサンバレーは、Yahoo!のディスプレイ広告を活用し、効果的な広告戦略を展開しました。特に注力したのは、サイトリターゲティングとレスポンシブ広告の強化です。

サイトリターゲティングとは、過去にサイトを訪れたことのあるユーザーにリスティング広告などを表示すること。ホームページの滞在時間と閲覧深度に基づいて精密なターゲティングを設定し、ユーザーの興味関心に合わせた広告配信を実現しました。また、スマートフォン向けの広告では、広告枠に合わせてサイズが変更できるレスポンシブ広告を強化しました。様々な画面サイズに対応し、ユーザー体験を向上させたのです。

これらの施策により、ディスプレイ広告のコンバージョンが前年比6倍に増加し、公式ホームページからの予約数も1.5倍に伸びるという大きな成果を上げています。

まとめ|ペイドメディアを活用して売上アップを目指そう

ペイドメディアで成果を出すには、ターゲットの明確化、最適なチャネル選択、他のメディアとの連携が鍵となります。また、魅力的なメッセージとデザイン、継続的な効果検証と改善も欠かせません。

成功事例を参考に、自社に適したペイドメディア戦略を構築し、ブランド認知度の向上や売上増加を目指しましょう。

Meltwaterは、ペイドメディアを含むあらゆるメディアの効果測定を可能にし、戦略の最適化を支援します。

⇒Meltwaterへお問い合わせ

この記事の監修者:

山﨑伊代(Meltwate Japanエンタープライズソリューションディレクター)

大学卒業後、新規顧客開拓セールスコンサルタントとしてMeltwater Japan株式会社入社。
食品・生活用品・エンタメ・自動車・機械・学校法人等多種多様な企業・団体の広報・マーケティング部門のデジタル化並びにグローバル化をMeltwaterのソリューションを通して支援。 2016年~2018年グローバルセールスランキング首位。 趣味は山登りとビデオゲーム。

LinkedIn