口コミを利用した「口コミマーケティング」をご存じでしょうか。
商品・サービスについての正直な感想があると、購入の際の決め手になることがあります。
この記事は口コミマーケティングの概要や重要性を解説した上で、取り組むメリットや注意点、代表的な手法までまとめて解説していきます。
成功のためのポイントや事例もご紹介していますので、口コミマーケティングの基本を押さえたい方はぜひ最後までご確認ください。
口コミマーケティングとは?
口コミマーケティングの重要性
口コミマーケティングの4つのメリット
口コミマーケティングのデメリット
口コミマーケティングの代表的な手法
口コミマーケティングでやってはいけないこと
口コミを二次利用するには?
口コミマーケティングを成功に導くポイント
口コミマーケティングの成功事例
まとめ
口コミマーケティングとは?
はじめに口コミ(クチコミ)マーケティングとは何かについて、解説していきます。
口コミマーケティングとは、一般消費者の口コミを活用して、自社の商品やサービスの認知拡大を狙ったり、購買や利用を促進したりするマーケティング手法のことです。SNS・ファンサイト・アプリ・ECサイトのレビューなどで活用できます。
一般消費者は企業が発信するような明らかに広告宣伝とわかるものよりも、宣伝目的ではない一般の人からの口コミを受け入れやすい傾向があります。
マーケティングにおいても、ポジティブな口コミが発生しやすい状況や環境を作ることが重要になってきていると言えるでしょう。
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口コミマーケティングの重要性
口コミマーケティングの重要性についても確認していきましょう。ここではアジャイルメディア・ネットワーク株式会社が2022年9月に発表した調査内容を引用して解説していきます。
SNSで口コミをする人の割合は多い
以下のグラフは口コミ経由で購入・来店した人が、その後に商品やサービスについてSNSで口コミを投稿した割合を示しています。
出典:SNSのクチコミが生活者の購入・来店に与える影響を調査
SNSの口コミ経由で購入・来店した一般消費者の内、2人に1人がSNSで口コミを投稿しており、特に10~20代の若者世代はその傾向が顕著です。口コミがさらなる口コミを呼ぶこともわかります。
SNSの口コミは購入検討に大きな影響を与える
また一般消費者が購入を検討する際に影響を受ける要素も見てみましょう。
出典:SNSのクチコミが生活者の購入・来店に与える影響を調査
購入検討時に最も影響を受けるのは、SNS検索で偶然見つけた投稿であるという結果が出ています。友人や家族からの口コミよりも影響力が高いです。
口コミの影響を受けない人は、11%のみでした。
このようにSNS上で口コミする割合や、口コミに影響を受ける割合が高いことを踏まえると、SNSにおいて口コミを活用していくことが重要であるとご理解いただけるでしょう。
口コミマーケティングの4つのメリット
続いて口コミマーケティングのメリットについて、4つご紹介していきます。
1. 購買決定を後押しできる
一つ目のメリットは購買決定を後押しできるという点です。先に引用したグラフにもあった通り、SNS上の口コミが購買検討時に与える影響は非常に大きいというデータが出ています。
一般の人からの情報である正直な感想は説得力があり、買おうかどうか迷っているときの決定材料になります。口コミマーケティングに取り組み、良い口コミを拡散することができれば、購買決定を強く後押しすることができるでしょう。
2. 幅広い層の消費者にリーチできる
続いてご紹介するメリットは、幅広い層の消費者にリーチできるという点です。
スマートフォンの個人での保有割合は74.3%で、SNSの国内利用率も全ての年代で上昇を見せ全体で78.7%に達しています(総務省2021年通信利用動向調査の結果)。
口コミマーケティングを実施し、一般消費者から口コミを拡散していくことで、まだ自社のことを知らない顧客にもリーチすることができます。
また既存顧客に対しても口コミを通じて商品やサービスを想起させることができ、リピートの促進にも繋げられる点も見逃せません。
3. 消費者からの信頼を得やすい
現代はWEBサイトやアプリ、SNSを利用していると、すぐに広告宣伝が表示されます。明らかに広告とわかるものは、見ないで避けるのが習慣になっている人もいます。
そういった企業側の宣伝よりも、自分と同じ立場の消費者が投稿した口コミは本音が聞けて信頼しやすいのです。
口コミマーケティングに取り組み、良い口コミを拡散することができれば、一般消費者から抱かれるイメージの向上が見込まれるでしょう。
4. 費用対効果が高い
費用対効果が高いという点もメリットとして挙げられます。WEB広告やCMは多大な費用がかかりますが、口コミマーケティングは消費者が自発的に感想を述べてくれるため、広告ほどの費用がかかりません。
口コミマーケティングは低コストで購買や来店といった成果に繋げられるため、費用対効果が高いと言えるでしょう。
口コミマーケティングのデメリット
口コミマーケティングのデメリットは、良い口コミだけでなくネガティブなことも広がる可能性があることです。 口コミは一般消費者が商品やサービスに抱いた正直な感想として表れます。
そのため、企業側でその内容をコントロールすることはできません。ネガティブな口コミが広がることによって、炎上リスクやブランドイメージが下がってしまう可能性もあるのです。
口コミマーケティングを実施する際は、これらのデメリットも理解した上で取り組むべきと言えます。
口コミマーケティングの代表的な手法
ここからは口コミマーケティングの代表的な手法として、5つの施策をご紹介していきます。
1. SNSキャンペーンの実施
SNSキャンペーンとはInstagramやTwitter、FacebookなどのSNSを活用したマーケティング施策です。
一定の期間を設け、クーポン配布や抽選でのプレゼント配布といった企画を展開し、商品やサービスの宣伝を行っていきます。
大切なのはSNSキャンペーンの参加条件です。いいねや投稿などを参加条件にし、ユーザー参加型の仕掛けを取り入れることで、口コミが拡散しやすくなります。
例えばInstagramのキャンペーンにおいて、「自社の商品を使った料理の写真を投稿する」といった参加条件を設定することで、キャンペーンの体験価値が向上して、口コミしやすい状況を作ることができるでしょう。
2. インフルエンサーの起用
インフルエンサーはファッションやグルメなど、それぞれ特定分野に関する情報発信をSNS上で行っており、フォロワーに対して大きな影響力を持っています。
インフルエンサーを起用した投稿は厳密に言えば広告宣伝です。しかし、投稿内容はインフルエンサーにゆだねられることが多いため、インフルエンサー自身の意見に近い形で訴求できるという特徴があります。
そのため、各分野に強い興味を持つコアユーザーに対してリーチすることができ、購買にも繋げやすいです。
インフルエンサーを起用したマーケティング施策については、以下の記事で詳しく解説していますので、ご興味ありましたらぜひ併せてお読みください。
関連記事「インフルエンサーマーケティング」に関する詳しい記事はこちら
インフルエンサーマーケティングとは?起用のメリットや成功事例を解説
3. ファンサイトの活用
ファンサイトとは、企業のファンとなった顧客向けのコミュニティサイトのことを指します。 ファン同士の交流の場として提供することは勿論、新商品企画への参加プログラムや商品を用いた料理コンテストといったイベントの開催が可能です。
ファンサイトを活用して、ファンとのコミュニケーションやファン同士の交流を活性化させることで、ポジティブな口コミの拡散を狙うことができるでしょう。
4. モニター施策
モニター施策とはWEBサイトやSNSなどを通じて新商品のモニター(実際に使った感想)を集め、口コミ投稿をしてもらう施策のことです。
モニターはそもそも自社サービスの感想を知るために用いられる手法ですが、モニター募集の際にSNSへ投稿することを条件として募集すれば、口コミ投稿を確実に実施してもらうことができます。
ただし商品・サービス自体の魅力や品質が低ければ、ネガティブな口コミが拡散されかねませんので注意が必要です。
5. カスタマーレビューの活用
カスタマーレビューとは商品購入後の感想や使用感などを投稿することを指し、主にECサイトなどで見られます。
自社でECサイトを運用している場合、カスタマーレビュー機能を実装することで、顧客からの口コミを効率的に集めることができるでしょう。
またSNS上にあるカスタマーレビューを商品ページなどに設置するといったように、二次利用することで購買行動を促進することも可能です。
口コミやカスタマーレビューの二次利用については、後ほどご紹介します。
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口コミマーケティングでやってはいけないこと
次に口コミマーケティングでやってはいけないことについて、5つご紹介していきます。
1. ステマ(ステルスマーケティング)
ステマとは、広告であることを消費者に伏せた状態で行うマーケティングのことで、禁止行為です。実行すると炎上やブランドイメージの低下に直結する恐れがあります。
インフルエンサーを起用する場合は、広告であることを表示し忘れるなどして特にステマが発生しやすいので、注意すべきと言えるでしょう。
2023年10月から、景品表示法第五条三号においてステマは法的に規制されるようになり、違反した場合は措置命令が出されます。
措置命令が出されたにもかかわらずそれに従わない場合は、2年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金が科されますので注意しましょう。
2. 口コミの強制
次に挙げられるのは口コミの強制です。違法行為にあたる恐れがあります。
そもそも口コミとは消費者が商品やサービスを利用した後に、自然に発生するものであり、企業側が強制するものではありません。
もし口コミを強制してしまえば、消費者からポジティブなイメージを獲得するどころか、逆に悪いイメージを植え付けてしまいます。
また口コミする内容の細かな指定なども行うべきではありませんので、併せて覚えておきましょう。
3. 薬機法など法律に反する行為
続いてご紹介するのは、薬機法などの法律に反する行為です。
医薬品や化粧品の広告などに関する規制を定めている薬機法や、著作物の権利などを定めている著作権法、自分の容貌を勝手に使われないようにする権利である肖像権などを侵害しないように注意しましょう。
口コミマーケティングにおいては、消費者からの口コミを集めて二次利用することもあります。
二次利用する場合、その発信は企業側の責任が伴うことになるため、法に抵触するような内容になっていないかをしっかりとチェックしなければなりません。
4. 口コミの無断二次利用
先ほど口コミマーケティングでは、消費者からの口コミを二次利用することもあるとお伝えしましたが、無断で利用してはなりません。
もし二次利用を行う場合は、必ずその口コミを投稿した本人に許可を取るようにしましょう。もしくは、内容を変えずに出所を明記して適切に使えば「引用」として扱われ、違法ではなくなります。
出典も記載せず無断利用が発覚した場合、その投稿者からの評価やイメージが悪くなる上、無断利用したことが拡散されるリスクもあります。
口コミの投稿内容によっては、著作権侵害などにもなりかねませんので、無断での利用は絶対にしないようにしましょう。
5. ネガティブな口コミを無視する
最後にご紹介するのは、ネガティブな口コミを無視するという点です。
口コミマーケティングを行う以上、ポジティブな口コミだけでなく、ネガティブな口コミも発生するでしょう。
しかしネガティブな口コミを放置してしまえば、思わぬ炎上やトラブルに繋がりかねません。
ネガティブな口コミに対して、どのように対応するか事前にルールなどを決めておき、投稿者に対する誠実な対応や商品・サービスの改善に繋げていく必要があります。
口コミを二次利用するには?
ここで口コミを二次利用する方法をご紹介しておきます。
先ほどお伝えした通り、口コミを二次利用する場合は必ず口コミ投稿者の許可を得る必要がありますので、SNS上でDMを送り二次利用の許可を取りましょう。
その際、以下のような点も併せて明示することで、投稿者側とのトラブルも防ぐことができます。
- なぜその口コミを二次利用するのか
- どの媒体に二次利用するのか
またモニターサイトの意見を二次利用するというのも一つの方法です。
モニターサイトの中にはサイト内の口コミ投稿の二次利用ができるケースがあるため、直接許可を得る方法と併せて活用すると良いでしょう。
口コミマーケティングを成功に導くポイント
ここからは口コミマーケティングを成功に導くポイントを解説していきます。
1. 商品・サービスのコンセプトや品質を高める
一つ目のポイントは商品・サービスのコンセプトや品質を高めるという点です。
口コミマーケティングではポジティブな口コミが拡散されることで、購買などの行動に繋げることができます。
ポジティブな口コミは意図的に集めることはできませんが、商品やサービスの質が高ければ自然に生まれるものです。
そのため口コミマーケティングに取り組む以前に、商品・サービスのコンセプトや品質を高めることが重要になります。
2. 口コミが拡散しやすい仕組みをつくる
一般消費者が口コミをSNSで投稿する理由は、ただ単に他のSNSユーザーに対して感想を知ってほしいということだけではありません。
投稿を通じて「他のユーザーと繋がりたい、他のユーザーに認めてもらいたい」といった心理も働いています。
そのためSNSキャンペーンを工夫することが重要になります。
例えば商品を使った様子の写真を募集し、ユーザーどうしがその投稿に対して「いいね」などで反応し合えば、ポジティブな口コミ投稿も自然と増えるでしょう。
3. 自由に口コミ投稿をできるようにする
続いてのポイントは手軽に口コミ投稿できるようにするという点です。
口コミ内容に様々な規則や条件が設けられていると、一般消費者は面倒に感じ投稿することから遠のいてしまいます。
口コミの本来の性質に立ち返り、内容自体は一般消費者に任せるようにしましょう。
また、レビュー投稿の操作をスムーズにしたり、投稿フォームをわかりやすくしたりするのも一つの方法です。
口コミマーケティングの成功事例
最後に口コミマーケティングの成功事例を見ていきましょう。
1. SNSキャンペーン
一つ目にご紹介するのは、SNSキャンペーンを用いた口コミマーケティングの事例です。
株式会社OKUTAが運営するLOHAS CLUBのInstagramアカウントで展開しているキャンペーンとなります。
アカウントフォローに加えて、指定ハッシュタグをつけた上で、撮影した動物の写真を投稿することが参加条件となっています。
写真投稿をきっかけとしたユーザー同士のコミュニケーションが生まれやすい仕掛けになっており、口コミも広がりやすいと言えるでしょう。
2. インフルエンサーの起用
続いてはインフルエンサーを起用した事例をご紹介します。
プルチャーム株式会社が展開するヘアケアブランド「iqumore」の公式アカウントが、
corner2121さんを起用して商品のマーケティングを行っています。
corner2121さんはフォロワーが約1800人程度のナノインフルエンサーです。
フォロワーの数こそ少ないものの、その限られたコミュニティの中での高い影響力を誇るナノインフルエンサーを起用することで、口コミのようなイメージで一般消費者に訴求した好事例と言えるでしょう。
3. ファンサイトの活用
次に紹介するのはファンサイトを活用した事例です。
ここではカゴメ株式会社が運営する「&KAGOME(アンドカゴメ)」をご紹介します。
&KAGOMEでは、カゴメ製品を用いたオリジナルレシピや写真を投稿できたり、その投稿に対するレビューができたりと、ファン同士でのコミュニケーションを生み出しています。
これらのコミュニティ内でファンと交流することで、より良い口コミを拡散できる可能性も高まるでしょう。
4. モニター施策
モニター施策を使った口コミマーケティングの事例もご紹介します。
株式会社ラドンナが展開しているブランド「Toffy」の公式アカウントによるモニター施策です。
アカウントフォローと、新製品であるアイスクリームメーカーを実際に使っている様子や感想を投稿することをモニター応募の条件としたことで、認知拡大と口コミの獲得を同時に実現しています。
5. カスタマーレビュー
事例の最後にご紹介するのはカスタマーレビューに関する事例です。
ここでは美容健康食品などを提供する株式会社ベルタのオンラインショップにおける事例を取り上げていきます。
BELTA酵素ドリンクの商品紹介ページにカスタマーレビューを二次利用することで、商品紹介ページを閲覧している消費者に対して、信頼や安心感を訴求しています。
特長は商品の特徴や魅力などについて解説した後に、「カスタマーレビュー」を配置したことです。
消費者がここで説明していることは本当かどうか疑問に感じるタイミングで実際に使った感想を見せており、セールスライティングにおけるポイントも押さえた好事例と言えるでしょう。
まとめ
今回は口コミマーケティングをテーマに、概要やメリット、主な手法から成功のポイントまでまとめて解説してきましたが、いかがでしたか。
口コミマーケティングは、他のマーケティング施策では響かない顧客でも、購買に繋げられる強力な施策となります。
ネガティブな内容の口コミを投稿されてしまう可能性をゼロにはできませんが、商品やサービスの品質を高めて、ネガティブな投稿に対しても誠実に対応していけば、購買や認知拡大といった成果を得ることができるでしょう。
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この記事の監修者:
山﨑伊代(Meltwate Japanエンタープライズソリューションディレクター)
大学卒業後、新規顧客開拓セールスコンサルタントとしてMeltwater Japan株式会社入社。
食品・生活用品・エンタメ・自動車・機械・学校法人等多種多様な企業・団体の広報・マーケティング部門のデジタル化並びにグローバル化をMeltwaterのソリューションを通して支援。 2016年~2018年グローバルセールスランキング首位。 趣味は山登りとビデオゲーム。