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フラクショナルタレントとは?メリット・デメリット・導入方法を解説!


宮崎桃

Mar 19, 2025

企業の成長やプロジェクトの推進において、経験豊富で専門スキルを持った人材の確保は経営者の悩みの種です。そこで、専門性が高く必要な期間のみ採用できる「フラクショナルタレント」という人材が、新たな選択肢として注目を集めています。

今回の記事では、フラクショナルタレントの概要・メリット・デメリット・導入のステップまで詳しくまとめました。本記事を読めば、フラクショナルタレントによる人材不足の解消法や、組織力向上への具体的なアプローチが見えてきます。

フラクショナルタレントの特徴を理解し、自社の課題解決に向けた戦略を練っていきましょう。

フラクショナルタレントとは?

フラクショナルタレントとは?

フラクショナルタレントは、必要な期間や特定のプロジェクトのみに採用される専門知識やスキルを持つ人材のことです。フラクショナルは「ごく一部分の」「分割所有の」という意味があります。

たとえば、急成長中の企業では、経営チームを強化するために専門的なスキルを持つ人材が必要となるケースがあります。しかし、フルタイムではなく一時的に必要な場合、正社員の採用はコストパフォーマンスが低くなってしまいます。そこで、フラクショナルタレントを採用することで、人件費を抑えながら企業の成長を促すことができるのです。

フラクショナルタレントを採用するメリット

フラクショナルタレントを採用するメリットは、以下のとおりです。

フラクショナルタレントを採用するメリット

フラクショナルタレントを採用するメリットを十分に理解し、自社でどのように活用するのか検討しましょう。

専門知識へのアクセス

フラクショナルタレントの採用は、企業が必要な専門知識へ迅速にアクセスできる手段として注目を集めています。

企業の創業期から成熟期まで、各段階で求められる専門性やスキルは大きく異なり、すべてのスキルを備えた人材の確保は簡単ではありません。特にイノベーション・デジタル・AIなどの新分野では、ある特定の専門技術が必要です。

フラクショナルタレントは専門分野に特化し、短期間での働き方が可能なため、採用すれば特定の専門知識への素早いアクセスを実現できます。フラクショナルタレントからやり方を学ぶことで、企業内へのノウハウの蓄積も可能です。

組織の状況や成長にあわせて人材を採用できる

フラクショナルタレントの採用は、企業の成長段階や事業展開に応じて柔軟に人材を確保できることが大きなメリットです。

スタートアップ企業や中小企業では、経験豊富な人材をフルタイムで雇用するための資金や仕事量の確保が難しい場合が多いです。また、大企業でも新規プロジェクトの立ち上げや既存事業の改革など、状況に応じて必要なスキルセットが変化します。

フラクショナルタレントなら資金が限られている企業も導入しやすく、そのときどきの企業ニーズに合わせて「事業拡大期には営業戦略の人材」「DX推進にはITシステム設計者」といった柔軟な採用が可能です。

職場のダイバーシティ&インクルージョンが進む

フラクショナルタレントの採用は、職場のダイバーシティ&インクルージョンを効果的に推進できる革新的な採用手法です。

ダイバーシティ&インクルージョンとは、性別・年齢・国籍・障がいの有無など多様性を認めつつ、それぞれの個性や能力が活かされている組織の状態を意味します。

フラクショナルタレントの採用により、社内には存在しなかった専門分野の人材が関わり、短期間での働き方も加わることで、組織全体の視点や発想を広げられるでしょう。

フラクショナルタレント採用のデメリット

フラクショナルタレント採用のデメリットは、以下のとおりです。

フラクショナルタレントを採用するデメリット

フラクショナルタレントを採用する前にデメリットを検討し、トータルで自社利益の最大化を図りましょう。

企業文化になじめない可能性がある

フラクショナルタレントは短期間での業務のため、採用期間中に企業文化になじめないまま終わってしまう可能性があります。また、強固な企業文化が残るところでは排他的になる傾向があり、フラクショナルタレントにとって居心地の悪い環境になりかねません。

短期間の採用とはいえ、スキルのあるフラクショナルタレントには再度業務に関わってもらいたいものです。そのためには、企業に対する理解の促進が必要になります。解決策として、フラクショナルタレントに企業の価値観やビジョンを共有する機会を積極的に設けましょう。また、関連する会議など意見を述べる場を提供すれば、組織への帰属意識を高められます。社員にフラクショナルタレントの必要性を理解してもらうことも大切です。

コミュニケーション不足が起こる場合がある

フラクショナルタレントは非常勤という特性上、社内の情報共有やコミュニケーションが円滑に進まない可能性があります。

たとえば、社員との気軽な会話や雑談の機会が少ないと、共有できる情報が限定されがちです。対面の会話であればちょっとした情報も知ることができ、言葉のニュアンスもくみ取りやすいですが、チャットやメールのみになると必要最低限の情報で誤解を生むこともあります。

社員側からも声掛けをしたり社内イベントを設けたりするなど、積極的にコミュニケーションの機会を設けると良いでしょう。

長期的な成長という視点が欠如する可能性がある

フラクショナルタレントは短期的な成果に重点を置く傾向が強く、企業の長期的な成長戦略との整合性がとれない場合があります。

企業の持続的な成長には、組織の価値観や行動規範を共有し、メンバー全員が同じ方向を向いていることが重要です。しかし、フラクショナルタレントは一時的な関係に留まるため、組織の最終目標が見落とされかねません。


問題を解決するにはフラクショナルタレントと正社員の役割分担を明確にすることです。長期的な目標には社員が関わり、それを達成するための短期目標にフラクショナルタレントが関われるように業務を組み入れます。短期目標の意義を説明し、長期目標につながっていることを共有しておくと良いでしょう。

フラクショナルタレント導入のためのステップ

フラクショナルタレント導入のためのステップは、以下のとおりです。

フラクショナルタレント導入のためのステップ

各ステップを着実に実行してフラクショナルタレントを導入し、自社の課題を解決しましょう。

1.課題や目的を明確にする

フラクショナルタレント導入の第一歩として、現状の課題分析を行います。課題が明確になれば、フラクショナルタレントを採用する目的も自ずと決まり、必要な人材が見えてくるでしょう。

たとえば、デジタル化推進という課題には高度なIT知識を持つ人材が、グローバル展開という課題には海外ビジネス経験者が必要です。課題分析の結果、フラクショナルタレントが必要ないと判明することもあり得るでしょう。フラクショナルタレント採用の目的を明確化することは、新たな組織を作り上げる土台作りとなります。

2.専門スキルのある人材を探す

採用目的が定まったら、条件に合ったフラクショナルタレントを探します。採用サイトの他、フリーランスが多いLinkedInやWantedlyなどのキャリア系プラットフォームも活用すると良いでしょう。多数のプロフィールを見比べた上でスカウトすることができます。また、既存の社員からの紹介も有力な方法です。

3.目標設定と評価を行う

課題に基づいて具体的な目標を設定し、それが達成されたかどうか評価を行います。目標設定は、具体的(Specific)・測定可能(Measurable)・達成可能(Achievable)・関連性のある(Relevant)・期限付き(Time-bound)の5つの要素を組み合わせた、SMARTの法則が成功への鍵となります。

目標への進捗確認を短いスパンで定期的に実施すれば、早期の軌道修正が可能です。最適な人材の採用にもつながるでしょう。

フラクショナルタレントを導入して企業の成長を実現しよう!

フラクショナルタレントは、一定の期間のみ採用される専門知識やスキルを持つ人材のことです。人件費を抑えながら事業課題を解決できる仕組みが注目を集めています。

フラクショナルタレントを採用すれば、専門知識への迅速なアクセスや組織の成長にあわせた人材確保が可能です。コミュニケーションツールを活用したり、社員への理解を求めたりするなど、既存の社員とフラクショナルタレントのつながりを作りながら、新しい形態の組織作りをすることがポイントです。

企業の成長段階や事業展開に応じてフラクショナルタレントを確保し、組織の競争力向上を目指しましょう。

この記事の監修者:

宮崎桃(Meltwate Japanエンタープライズソリューションディレクター)

国際基督教大学卒。2016年よりMeltwater Japan株式会社にて新規営業を担当。 2020年よりエンタープライズソリューションディレクターとして大手企業向けのソリューションを提供。 ソーシャルメディアデータ活用による企業の課題解決・ブランディング支援の実績多数。 趣味は映画鑑賞、激辛グルメ、ゲーム

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