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婚活世代向けマーケティングの最新トレンド: マッチングアプリから企業イベント、LGBTQ+向けサービスも

婚活世代向けマーケティングの最新トレンド: マッチングアプリから企業イベント、LGBTQ+向けサービスも


山﨑伊代

Aug 30, 2024

日本国内では少子化と未婚化の進行が問題になっています。その対策として自治体も婚活を推奨するようになり、婚活市場は拡大を続けています。

株式会社リクルートが運営する『リクルートブライダル総研』が実施した「婚活実態調査2023」によると、2022年の婚姻者のうち15.4%が婚活サービスを通じて結婚に至り、2015年の8.3%から大きな伸びを見せました。

このような背景の中、個々のニーズに合わせて婚活の方法も多様化しています。婚姻率が最も高いのは、ネット系婚活サービスです。特に、AI技術を活用したマッチングアプリやメタバースでの婚活イベントなど、最新のテクノロジーを駆使したサービスが注目されています。LGBTQ+向けサービスの充実も進んでおり、さまざまな背景をもつ人が自分に合ったパートナーを見つけやすい環境が整いつつあります。

本記事では、結婚市場の最新トレンドやテクノロジーを活用した婚活マーケティングの最新トレンドについて詳しく解説します。

婚活世代向けマーケティングの最新トレンド

AIマッチング技術やメタバース技術を活用した婚活サービスなど、婚活世代向けマーケティングの最新トレンドを紹介します。

婚活世代向けマーケティングの最新トレンド

AIマッチング技術の活用

近年の婚活市場では、AIマッチング技術の活用が進んでいます。年齢や年収、居住地といったプロフィール情報をもとに最適な相手を提案するシステムを「データマッチング」と言いますが、AIはこれに加えて性格や趣味など定性的なデータも扱うことから、質の高いマッチングが可能になるとされています。

取り組みの例としては、東京都が行うAIマッチングによる婚活サポートがあります。価値観判断テストにより、AIが相性の良い人を探し当てる仕組みです。東京都が運営元であることや、会員登録に独身証明書や本人確認書類の提出が必須であることから、安心して相手探しができるサービスとなっています。2024年8月現在は、先行利用者に限定して提供されています。

東京都の他にも、さまざまな企業や自治体がAIマッチングを活用したイベントを開催しています。AIが話しやすい相手を提案してくれるイベントや、趣味・嗜好をもとにマッチングした相手と参加できるイベントなどです。

このように、近年の婚活市場ではAI技術の活用により、従来の出会いよりも質の高いマッチングが実現されています。「もっと効率的に理想の相手を探したい」という多忙な現代人のニーズに応えていることから、今後もAI技術の活用はより拡大していくことが予測されます。

メタバース婚活

近年ではメタバース技術の発展に伴い、メタバース婚活™ が注目を集めています。コロナ禍で対面イベントが制限されたことを背景に広まりました。

メタバース婚活では、対面式やオンラインでの婚活とは異なり、メタバースの仮想空間で自分の分身であるアバターを使って婚活を行います。

通常の婚活では、外見や年齢に目が行きがちですが、メタバース婚活では姿が見えない分、相手の性格や相手から感じるフィーリングなどに集中できるという特徴があります。また、仕事が終わったあとの時間帯や、天候不順などで外出を控えたいときでも、自宅から気軽に参加できるのがメリットです。

メタバース婚活は、少子化対策や地域活性化策として多くの自治体や団体で導入されています。一般社団法人メタバース婚活協会によると、2022年6月から2024年3月上旬にかけて全国の19の自治体で開催されたメタバース婚活パーティーでは、参加者のカップルマッチング率81%という高い実績があります。

参照:PCでアクセスできれば、どこからでも気楽に対話を楽しめる!「メタバース婚活」とは?

メタバース技術の発展により、これまでの婚活概念が覆されました。婚活市場はさらに多様化し、今後も新しい形態の婚活イベントが増えていくことが考えられるでしょう。

LGBTQ+向けのマッチングサービス

出会いや婚活のニーズが多様化する中、LGBTQ+向けのマッチングサービスも急速に増加しています。たとえば、LGBTQ+向けのマッチングアプリや結婚相談所、カップリングパーティーなどです。

従来の一般的なサービスは異性のパートナー探しがメインでしたが、LGBTQ+向けであることをはっきりと示してサービスを展開することで、当事者が利用しやすくなりました。日本LGBTサポート協会のような法人からも、仲人を介してのお見合いサービスが提供されています。

日本ではまだ同性婚を認める制度や、LGBTQ+に対する差別を禁止する法律が整備されていないなど、世界各国と比較するとLGBTQ+の権利保護において後れを取っているのが実態です。しかしながら、2023年6月23日には、性的マイノリティへの理解を促進する「LGBT理解増進法案」が施行されるなど、性の多様性に関する取り組みが少しずつ進んでいます。

世界のLGBTQ+関連法の現状については、Meltwater社の「世界各国のLGBT関連法の現状比較!LGBTの受け入れが最も進んでいる国は?」の記事で詳しく解説されています。


また、2012年から、東京都渋谷区の代々木公園周辺で「東京レインボープライド」というイベントが開催されています。イベントの目的は、性的指向や性自認にかかわらず、すべての人が自分らしく生きられる社会を実現すること。本イベントは、LGBTQ+の権利向上や多様性を訴える場として、丸井グループやパナソニック、ライフネット生命保険など、多くの有名企業が協賛し、さまざまな取り組みを行っています。

このように、社会的にLGBTQ+の認識が高まっていることは、婚活市場においてもLGBTQ+のマッチングサービスが充実する一因となっています。

人々が自分らしく生きられる社会を実現しようという社会の動きから、LGBTQ+コミュニティの人も将来的に寄り添えるパートナーを見つけやすくなるでしょう。

テーマが多様化するイベント型の婚活

近年、婚活イベントがますます多様化し、従来の婚活パーティーや街コン(特定の町での食べ歩きや飲み歩き)に加えて、特定のテーマをもった「趣味コン」や「スポーツコン」などが注目を集めています。イベント型の婚活は、共通の趣味や興味をもつ人々が集まるため、従来の婚活よりも自然な形で会話が弾みやすく、リラックスして交流を楽しむことができるのが魅力です。

たとえば、「趣味コン」では、謎解きゲームや料理などの共同作業や、アニメや音楽といった特定の趣味の話などを通して交流できます。「スポーツコン」も、フットサルやランニングなどに参加することで、スポーツのルールを教え合ったり役割分担したりするなど自然にやりとりが生まれ、チーム内でのその人の良さが見えてきます。

参照:出会いにつながりやすい婚活イベントの選び方とは

イベント型の婚活は、イベントとして楽しめる要素が大きいため、婚活初心者にとって敷居が低く、気軽に参加できる点が人気の理由です。さらに、普段の生活ではなかなか出会えない人々と交流できる点や、ただの出会いの場としてだけでなく新しい友人やコミュニティを広げられる点も、多くの参加者に支持されています。

オンライン・オフラインのハイブリッド型イベント

コロナ禍以降、オンラインとオフラインを組み合わせたハイブリッド型の婚活イベントも一般的になりつつあります。

ハイブリッド型の婚活イベントは、参加者がオンラインとオフラインどちらで参加するかを選べることから、オンラインとオフライン双方の強みを併せ持っているのが特徴です。オンラインの手軽さを重視する層と、対面での出会いを重視する層に対応できます。

また、最近ではコーチング型の婚活サービスも注目を集めています。単に結婚相手を見つけるだけでなく、自分自身を理解したり、より良い人生を築く方法を見出したりと、個々のニーズに合ったアドバイスやサポートを受けられるのが特徴です。

これにより、参加者は自分の魅力を最大限に引き出し、より効果的に婚活を進めることが可能になります。たとえば、オンラインでコーチングを受けた後、参加者は自分の価値観や理想のパートナー像をより明確に認識した状態でオフラインの婚活イベントに参加できます。また、コーチングで学んだコミュニケーションや自己表現の方法を、実際の出会いの場で試すこともできるでしょう。

コーチング型の婚活サービスは、ハイブリッド型のイベントと組み合わせることで、相乗効果が生まれ、婚活の成功率が向上すると考えられます。

マッチングアプリの今

婚活市場の拡大が進む中、特に恋活・婚活マッチングアプリ市場はコロナ禍を経て右肩上がりに急速に成長しています。2026年には、国内のマッチングサービス市場規模は1,657億円にも達すると予測され、これは2021年の2倍以上の規模になります

参照:マッチングアプリの動向整理

ここでは、マッチングアプリ市場の国別ランキングと、異なる出会いの形を提供するマッチングアプリの種類を紹介します。

デートアプリ大国はアメリカ!マッチング市場の国別ランキング

オンラインでパートナーを探す人が増えているのは、日本に限った傾向ではありません。Statistaの「How the World Dates Online」は、オンラインデートサービスは世界中で2023年末までに約87億ドル(約1兆2,900億円 1ドル=148円の場合)もの収益になると発表しました。

2023年のオンラインデーティングアプリの普及率が最も高いのは、アメリカで21.9%です。2位にはイギリス(19.1%)、3位にはフランス(12.7%)とヨーロッパ諸国が続きます。

特にアメリカは、オンラインデートサービスの収益が他の国と比べて圧倒的に高くなっており、その市場規模は24億7,700万ドル(約3,600億円)となっています。日本における収益は、3億9,300万ドル(約580億円)となっており、その差は一目瞭然です。

一方、中国とインドは普及率で見るとそれぞれ9.1%、5.8%と、人口に対する使用率は低いものの、中国は15億4700万ドル(約2,290億円)、インドは3億9,800万ドル(約589億円)と、人口の規模の大きさからヨーロッパ諸国を上回る収益を記録しています。

また、Grand View Researchの業界分析レポート(2022)によると、オンラインデートアプリは、ミレニアル世代(1981年〜1990年代半ばごろ生まれた世代)を中心に若者の間で絶大な人気を集めると同時に、特にLGBTQ+コミュニティの間で大幅に増加しているとのことです。

オンラインデート市場は、利用率や市場規模は国によって異なりますが、世界全体で今後もさらに利用率が上がってしていくことが予想されます。

出会いの多様性を提供するアプリの種類

オンラインの出会いの場が多様化する中、目的やニーズに応じたさまざまな種類のアプリが登場しています。マッチングアプリは、利用目的に応じて以下の3種類に大別されます。

  • 婚活アプリ:結婚相手を探す
  • 恋活アプリ:恋人を探す
  • デートアプリ:デートや食事の相手を探す

婚活アプリは、結婚を前提とした交際相手を見つけることを目的としたアプリで、真剣な交際に発展しやすいのが特徴です。ゼクシィ縁結びやyoubride、Matchなどがこのグループに含まれます。

恋活アプリは、恋人を探すことを目的としたアプリです。婚活アプリとしても使えるものが多く、趣味や好きな食べ物、行きたい場所などカジュアルな要素で相手を見つけやすいのが特徴です。代表的なアプリには、Pairsやwith、Omiaiがあります。

デートアプリは、すぐにデートや食事に行きたいと考えている人向けのアプリで、恋人作りや結婚が目的ではありません。マッチングと同時にデートが確定し、手軽に会えることが特徴です。Tinderやバチェラーデート、tappleなどが代表的で、婚活アプリや恋活アプリとして使えるものも多く見られます。

また、近年ではLGBTQ+コミュニティ向けに特化したマッチングアプリも種類が増えており、自分らしく出会いを楽しめる環境を提供しています。GrinderやHERなどのアプリがあります。

まとめ

今回は、日本における婚活世代向けマーケティングの最新トレンドについて紹介しました。

ライフスタイルの多様化が進んでいる近年では、AIマッチングやメタバース婚活イベント、LGBTQ+向けサービスなど、オンラインを中心とした新しい出会いの形が注目を集めています。さらには、趣味やスポーツなど人々が自分らしくいられる要素を取り入れたイベント型の婚活や、オンライン・オフラインを組み合わせたハイブリッド型婚活なども人気です。

これらの婚活世代向けマーケティングトレンドは、多様な背景をもつ人々が自分に合ったパートナーを見つけるための重要な手段として、今後も拡大することが予想されます。

山﨑伊代(Meltwate Japanエンタープライズソリューションディレクター)

大学卒業後、新規顧客開拓セールスコンサルタントとしてMeltwater Japan株式会社入社。
食品・生活用品・エンタメ・自動車・機械・学校法人等多種多様な企業・団体の広報・マーケティング部門のデジタル化並びにグローバル化をMeltwaterのソリューションを通して支援。 2016年~2018年グローバルセールスランキング首位。 趣味は山登りとビデオゲーム。

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