SNSの企業公式アカウントを開設し、運用を開始してみたものの、どのように企業活動に活かせばよいかわからない方もいるのではないでしょうか。
SNSを運用しているのであれば、分析は必須です。本記事では、SNS分析が注目されている理由に加えて、ツールの種類や活用事例などを紹介します。
SNS分析とは
SNS分析が注目されている理由
SNS分析の具体的な活用方法
SNS分析の課題
SNS分析を成功に導くポイント
SNS分析ツールの種類
SNS分析ツールの活用事例
まとめ|SNS分析ツールを活用してマーケティング戦略を強化しよう
SNS分析とは
SNS分析とは、X(Twitter)やInstagram、Facebookなどのソーシャルメディア上にある投稿を分析し、企業活動に役立てる手法のことです。ソーシャルメディア分析とも呼ばれています。
以下のように、定量と定性の観点で分析するのが一般的です。
- 定量的な分析:数値で表せることを分析(いいねの数、リツイート数、フォローされた数など)
- 定性的な分析:数値では表せないことを分析(投稿内容から投稿者の思考や背景を探るなど)
SNSの普及にともなって、公式アカウントの運用に着手した企業も増加傾向にありますが、分析まで実施することで精度の高い顧客アプローチを実現できます。
▶あわせて読みたい:企業のSNS運用とは?始め方やポイント、成功事例をわかりやすく解説
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SNS分析が注目されている理由
SNS分析が注目を集めている主な理由は以下の通りです。
- リアルタイムに情報収集できる
- 消費者の本音を把握できる
- 他社製品・サービスのレビューを収集できる
詳しく解説します。
1. リアルタイムに情報収集できる
SNSでは消費者の投稿をリアルタイムで収集できるため、SNS分析を実施することで、スピーディに市場動向やトレンドを把握することが可能です。例えば、新製品に対する消費者の反応が悪いとわかれば、即座にマーケティング戦略の改善に着手できます。
従来、消費者の反応を把握するには、アンケート調査が主流でしたが、質問事項の作成や調査書の送付、集計などに時間がかかっていました。SNS分析では、効率的に情報収集できるので、スピード感をもって企業経営を行えます。
2. 消費者の本音を把握できる
X(Twitter)やInstagramといったSNSは匿名性が高いので、消費者の本音が投稿されやすい傾向があります。対面では言いづらい不満やコールセンターに問い合わせるほどでもない小さい要望など、見落とされがちな声も収集することが可能です。幅広い意見を収集することで、誤った意思決定の回避につながります。
なお、SNSは匿名性が高い分、投稿の中には信憑性が低いものもあります。全てを真に受けるのではなく、必要な情報を取捨選択して分析の精度を高めなければなりません。
3. 他社製品・サービスのレビューを収集できる
自社の製品・サービスに関する情報だけでなく、競合他社の消費者レビューも収集して比較できます。競争が激化する現代においては、企業戦略の重要な判断材料となります。
自社製品が劣っている点を改善したり、勝っている点を訴求ポイントとして強調したりできます。
SNS分析の具体的な活用方法
SNS分析は以下の用途に活用することが可能です。
- ブランドイメージの調査
- 競合分析
- 市場動向やトレンドの調査
- プロモーションの効果測定
- リスクモニタリング
詳しく解説します。
1. ブランドイメージの調査
SNS分析を活用することで、自社のブランドイメージを調査できます。自社が目指すブランドイメージと消費者がもつイメージが一致しているかどうか、ギャップを把握することも可能です。
例えば、「高品質でリーズナブル」で訴求しているにもかかわらず、消費者からは「品質も価格も普通」と思われていればブランド戦略を見直す必要があるでしょう。
ブランドイメージの調査方法には、商品に対する投稿内容をポジティブなものとネガティブなものに分ける方法や、時期やユーザーの属性によってどのような購買傾向があるのかを知る方法などがあります。
2. 競合分析
競合他社に関する投稿を収集することで、自社・競合それぞれの強みや弱みを把握できます。フォロワー数に対するいいねの割合はどちらが多いのか、競合他社はどのような投稿で評価を受けているのかなどを分析すると、自社の業界内での立ち位置がはっきり示されるのがメリットです。強みを活かしてどのように差別化を図るのか、弱みを改善するためにいま投資すべきなのかといった経営戦略に役立てることが可能です。
▶あわせて読みたい:競合分析とは?手順やフレームワーク、便利なツールを解説
3. 市場動向やトレンドの調査
SNSにはリアルタイムで投稿が発信されているので、市場動向やトレンドの調査にも活用できます。どのような製品・サービスが流行っているのか、消費者が求めているのは何なのか、ヒントを得ることが可能です。特に、BtoC向けの製品・サービスであれば、消費者層も幅広いので、情報を集めやすいでしょう。
4. プロモーションの効果測定
SNS分析では、投稿ごとに閲覧数や反応率などがわかるので、プロモーションの効果測定を行いやすいです。分析ツールを使えば、SNSによってはユーザーの年代や性別といった情報も入手できるので、設定したターゲットにリーチできているかもわかります。効果測定を行い、改善を積み重ねることでプロモーションの精度を高めることが可能です。
5. リスクモニタリング
リスクモニタリングとは、ネット上での炎上などのリスクを避けるために、投稿状況を監視することです。SNSはリアルタイムで情報を収集できるので、消費者からの指摘や不満、自社へのネガティブな情報などを早期に察知できます。スピーディに対応できるため、事態を早めに鎮静化させたり、風評被害の拡大を防いだりすることが可能です。SNSでは些細なことが炎上につながる可能性があるので、リスクモニタリングは必須といえるでしょう。
SNS分析の課題
SNS分析は様々な用途に活用できる一方、以下のような課題もあります。
- 膨大なデータから情報を精査するのが難しい
- ユーザーの属性が特定しにくい
- 分析に時間とコストがかかる
詳しく解説します。
1. 膨大なデータから情報を精査するのが難しい
SNSには常に投稿がなされているので、データが膨大になり、有益な情報を抽出することが困難です。特に、X(Twitter)では、短い文章でつぶやかれることが多いため、文脈の理解にも苦労します。また、スパムメールを利用したノイズや、ボット(不正プログラム)によるデマや誤情報の影響を受けるケースもあります。
2. ユーザーの属性が特定しにくい
本名や職業、年齢などを公開しなくてもよいSNSの場合、ユーザーの属性を特定しにくいのも課題です。Facebookは実名登録が基本ですが、X(Twitter)やInstagramなどは匿名性が高く、1人で複数のアカウントを作成することも可能です。プロフィールが記載されてあったとしても、正確でない可能性もあります。
3. 分析に時間とコストがかかる
SNS上には膨大な量の情報があふれているので、分析に時間がかかります。また、精度の高いデータ分析を行うには、データサイエンティストやデータアナリストといった専門的な人材が必要です。
データドリブン経営(データにもとづいて意思決定を行う経営手法)が注目される現在では、専門家へのニーズが高く、採用費用も高額になりがちです。
SNS分析を成功に導くポイント
SNS分析を成功に導くには以下のポイントを押さえておきましょう。
- 各SNSの特徴を理解する
- SNS分析ツールを活用する
順番に解説します。
1. 各SNSの特徴を理解する
SNSごとに特徴や機能が異なるため、自社に適したプラットフォームを選ぶ必要があります。代表的なSNSと特徴は以下の通りです。
SNS | 特徴 |
---|---|
X(Twitter) | リアルタイムで情報を収集できる ・リツイート機能で拡散されやすい ・匿名性が高く、消費者の本音を収集しやすい |
・画像や写真、動画の投稿に特化している ・ハッシュタグ検索でトレンドを把握できる ・画像を分析することで情報を収集できる | |
・メインユーザーは30~50代のビジネスパーソン ・原則、実名登録なので情報の信頼性が高い ・年齢や性別、居住地といった属性を指定して広告を出稿できる | |
・ビジネスに特化している ・原則、実名登録なので情報の信頼性が高い ・経営層とコンタクトをとりやすい | |
TikTok | ・ショート動画の投稿に特化している ・アカウント登録不要で動画を閲覧できる ・10~20代の若者にリーチするのに適している |
2. SNS分析ツールを活用する
SNS分析を成功に導くには、ツールの活用が不可欠です。SNS分析ツールを活用すれば、業務を自動化できるため、スピーディかつコストを抑えて正確性の高い分析を行えます。
ツールを使わなくても、各SNSでいいねの数やシェアされた数などの基本的な情報は把握できます。市場動向やトレンド、リスクモニタリングもマンパワーで対応することも可能です。
しかし、SNS上には膨大な量の情報があるため、効率的に分析するにはツールを使ったほうがよいでしょう。
業界別・業種別の課題に対し、ソーシャルリスニングを用いて解決されたかを、事例をもとに解説
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SNS分析ツールの種類
SNS分析ツールは以下の2種類に大別されます。
- アカウント運用・分析ツール
- ソーシャルリスニング(口コミ分析)ツール
それぞれの機能を見ていきましょう。
アカウント運用・分析ツール
アカウント運用・分析ツールを活用すれば、フォロワーが増加した投稿や属性ごとの反応などを把握できます。分析結果をもとに投稿内容をブラッシュアップしていけば、エンゲージメント率を高めることが可能です。
予約投稿やレポート作成の自動化といった機能を搭載しているツールもあり、管理業務の効率化にも役立てられます。
▶あわせて読みたい:エンゲージメント率とは?各SNSの計算方法や平均値、向上させるポイントを解説
ソーシャルリスニング(口コミ分析)ツール
ソーシャルリスニング(口コミ)ツールでは、一般の人からの口コミを分析します。X(Twitter)やInstagram、FacebookといったSNSだけでなく、ブログや掲示板、ニュースサイトの投稿も分析できるのが特徴です。
様々な媒体から情報を収集できるので、市場動向やトレンドを把握しやすくなります。また、定量的に表しづらいテキストデータ(投稿内容)をポジティブ、ニュートラル、ネガティブに分類することで、表やグラフなどに可視化することも可能です。
SNS分析ツールの活用事例
ソーシャルリスニング(口コミ分析)ツール「Meltwater」の導入事例を3つ紹介します。
- X(Twitter)のフォロワー数が12.5万人から18.6万人に増加|広島県庁
- ネット上の広範なデータを収集可能に|Google
- ツールの導入が社内のDX化にも寄与|株式会社サンリオ
幅広く情報収集して、企業活動に役立てたいと考えている方はお役立てください。
1. X(Twitter)のフォロワー数が12.5万人から18.6万人に増加|広島県庁
広島県ブランド・コミュニケーション戦略チームは、県民のニーズを満たすコンテンツをタイムリーに発信する仕組みを構築することを目的に2021年にMeltwaterを導入しました。
X(Twitter)やFacebook、LINE、TikTok、Instagramなどで情報を発信しながら、ツールで県民の声の分析を行うことで、投稿内容をより一層魅力的にすることに成功しています。
また、広島県に関して発信された情報源をツールによって特定できるようになり、どのメディアからどのような情報を発信すれば効果的か、各SNSに合わせたメディア戦略が立案できるようになったのも特徴です。
結果、導入時点では12.5万人だったX(Twitter)のフォロワー数を約1.5倍の18.6万人(2024年2月時点)に増加させています。
参照:Meltwater「広島県庁の導入事例」
2. ネット上の広範なデータを収集可能に|Google
検索エンジンやメールサービス、生成AIなど様々な製品を開発し、世界中で支持を集めているのがGoogleです。SNS分野では、十分なデータを保有していたものの、自社のシステムには限界があり、広範なデータを取得できていないという課題を抱えていました。
そこでMeltwaterを導入し、自社のみではカバーできない、ネット上のあらゆる投稿を収集・分析することに成功しました。MeltwaterにあるAPI連携機能を活用し、自社システムに組み込むことで、一元管理を実現し、データ管理の効率化も図っています。
3. ツールの導入が社内のDX化にも寄与|株式会社サンリオ
株式会社サンリオは、時代のニーズに合わせてキャラクタービジネスを展開するため、キャラクターごとのSNS上の投稿や情報を収集・分析する方法を探していました。サンリオのキャラクターは世界中で認知されているため、データ量も膨大です。
そこで、スピーディかつ効率的なデータ収集・分析を期待してMeltwaterを導入しました。自社に関するニュース記事の露出数や投稿のエンゲージメント数といった指標をもとに、施策がどのくらい成功したかが明確になりました。さらに、数値をもとに意思決定を行う仕組みも構築でき、社内のDX化にも寄与しています。
まとめ|SNS分析ツールを活用してマーケティング戦略を強化しよう
SNS分析ツールを活用することで、企業はリアルタイムに市場動向やトレンドを把握できます。ブランドイメージの調査や競合分析にも役立てられ、企業活動の根幹に関わる重要なヒントを得ることも可能です。
SNS上には膨大な量のデータがあるため、分析する際はツールが欠かせません。
Meltwaterは、SNSだけでなく、掲示板や情報誌、ラジオといった様々な媒体の情報を収集・分析できるソーシャルリスニング(口コミ分析)ツールを提供しています。
消費者ニーズをスピーディかつ効率的に収集・分析したい方はぜひお試しください。
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山﨑伊代(Meltwate Japanエンタープライズソリューションディレクター)
大学卒業後、新規顧客開拓セールスコンサルタントとしてMeltwater Japan株式会社入社。
食品・生活用品・エンタメ・自動車・機械・学校法人等多種多様な企業・団体の広報・マーケティング部門のデジタル化並びにグローバル化をMeltwaterのソリューションを通して支援。 2016年~2018年グローバルセールスランキング首位。 趣味は山登りとビデオゲーム。