企業のマーケティング担当者の中には、どのようにトレンドを把握し、施策に活かせばよいか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。そんなときに役立つのがトレンド分析です。トレンド分析は、SNSや口コミサイトなどから、消費者の生の声や市場動向を理解する分析手法です。
本記事では、トレンド分析の概要やメリット、役立つツールなどを詳しく解説します。
トレンド分析とは
トレンド分析とは、SNSや口コミサイトのデータを活用し、消費者の生の声や市場の動向を把握する手法です。過去から現在までのトレンド(消費者の好みの傾向)を分析し、将来の動きを予測することで、マーケティングに活かせます。
X(Twitter)やInstagramなどの投稿から、ユーザーの商品への評価や要望を把握する手法はSNS分析とも呼ばれ、トレンド分析の1つです。
トレンド分析の目的は、自社商品の改善点や新たなニーズを掘りおこすことです。また、競合他社の製品やサービスへの反応も確認でき、差別化するためのヒントも得られます。
トレンド分析を行う際は、投稿者の属性などを考慮しつつ、慎重に分析するのが大事です。データに偏りが出てしまうと、正しい判断を下せなくなるからです。
Meltwaterは世界で3万社以上に導入されているソーシャルリスニングツールを提供します。
トレンド分析のメリット
トレンド分析には、以下のようなメリットがあります。
- 消費者の本音を把握できる
- 競合企業の動向を分析できる
- 費用対効果の高いマーケティングができる
それぞれ詳しく解説します。
1. 消費者の本音を把握できる
トレンド分析は、消費者の本音を把握できる有用な手法です。SNSや口コミサイトの投稿は、消費者が自ら発信した意見です。アンケートのように質問項目が決まっているわけではないため、自由な生の声が聞けます。
「デザインは気に入ったけど、素材が安っぽい」といった率直な意見から、商品の改善点や新たなニーズを明確化することが可能です。
消費者の本音を踏まえてマーケティング戦略を立案すれば、顧客満足度の高い施策を打ち出せるでしょう。
2. 競合企業の動向を分析できる
トレンド分析は、競合他社の動向を知る上でも有効です。競合他社のSNSアカウントを分析すれば、どのようなマーケティング施策を展開しているのか、消費者の反応はどうなのかといった情報が得られます。
例えば、競合他社がSNSで新商品の広告を積極的に出稿しており、消費者の反応では「価格が高すぎる」といったネガティブな意見が目立ったとしましょう。この場合、ユーザーの求める価格帯に合っていないことや、商品の質が価格に見合っていないことなどがわかり、自社商品を見直すチャンスといえます。
このように、競合分析の結果を自社の戦略にフィードバックすることで、より優位性の高いマーケティングを実施することが可能です。
3. 費用対効果の高いマーケティングができる
トレンド分析によって、マーケティング活動の最適化を図れます。
例えば、分析の結果、自社商品について多くの投稿がなされるのが毎週月曜の夜8時頃だとわかったとします。この時間帯にSNS広告を集中的に打てば、高いエンゲージメントが期待でき、他の時間帯の宣伝を省くことでコスト削減にも有効です。
また、分析ツールを使えば、膨大なデータの中から重要な情報を効率的に抽出できます。手作業で行うとコストや時間がかかる作業も、ツールを使えば短時間で済むようになります。
トレンド分析を行えば、コストを抑えてマーケティング活動を実施できるので、限られた予算の中で成果を出したい企業にとって、特に効果を発揮するでしょう。
トレンド分析の方法
トレンド分析を行う際は、以下の手法がおすすめです。
- 時間軸で分析する
- ユーザー属性をもとに分析する
順番に解説します。
1. 時間軸で分析する
トレンド分析において、時間軸は重要な切り口の一つです。例えば、季節によって需要が大きく変動する商品の場合、過去のデータを時系列で分析することで、売上のピークとボトムを予測することが可能です。
仮に、「アイスクリーム」というワードが毎年7月に急増するなら、その時期に向けて商品の仕入れや広告宣伝を強化する判断ができます。
日単位、週単位、月単位と時間スケールを変えて分析を行うのもおすすめです。日次データからは見逃してしまう長期的なトレンドも、月次や年次で見ると浮かび上がってくることがあります。様々な時間軸でデータを見つめ直すことが、深い洞察を得るカギです。
2. ユーザー属性をもとに分析する
性別や年代、居住地域などのユーザー属性をもとに分析する手法もあります。自社のターゲットがどのような特徴を持つのかを踏まえた上で、ユーザー属性を設定しましょう。
例えば、SNSのデータを見る際、ユーザーの年代別に投稿内容を集計してみると、若い世代とシニア層それぞれに人気のアイテムがわかります。あるいは、地域によって話題になっているトピックが違うことにも気づけるでしょう。
ユーザー属性を意識してトレンドを読み解くことで、属性に合わせたマーケティング施策を打ち出すことが可能となります。ターゲットのニーズを的確に捉えた商品開発や、効果的な広告配信につなげられるでしょう。
トレンド分析で対象となるデータ
トレンド分析は以下のデータが対象です。
- SNS
- ニュースサイト
- 口コミ・ 掲示板サイト
それぞれ詳しく解説します。
SNS
SNSは、消費者の生の声が集まる貴重なデータソースです。X(Twitter)やInstagramには、ユーザーの関心事や悩み、商品への評価などがリアルタイムで投稿されています。これらの投稿を分析することで、消費者の嗜好やニーズをリアルタイムで把握できます。
新商品発売日の消費者の反応も即座に把握することが可能です。また、競合他社の商品に対する評判も探れるので、差別化のヒントも得られます。
ただし、SNSの投稿は他のユーザーと同調したいだけの投稿もあるため、分析の目的に応じてデータを取捨選択する必要があります。分析の軸を事前に設定しておくことが、効果的なSNS分析のポイントといえるでしょう。
各SNSの特徴は以下の通りです。
SNS | 国内推定ユーザー数(2024年1月頃) | ユーザーの主な年齢層/th> | 特徴 |
---|---|---|---|
X(Twitter) | 約6,900万人 | 10~30代 | ・リアルタイム性が高い ・ハッシュタグを利用してトレンドを把握できる ・ニュースやトレンドの拡散が早い |
約5,500万人 | 10~30代 | ・写真や動画の共有が中心 ・ストーリーズ機能やリール機能を活用したプロモーションが人気 ・ビジネス利用も多い | |
約2,200万人 | 30~50代 | ・実名登録制 ・個人利用の他、企業のマーケティングツールとしても多く利用される | |
YouTube | 約7,100万人 | 10~60代 | ・動画のアップロードや、ライブ配信が可能 ・エンタメから教育まで多様なジャンルのコンテンツが揃う |
TikTok | 約2,600万人 | 10~20代 | ・短尺動画の共有が中心 ・音楽性が高い ・アルゴリズムによるリコメンドが支持されている |
ニュースサイト
ニュースサイトは、社会の関心事や トレンドを知る上で欠かせない情報源です。経済ニュースから芸能記事まで、幅広いトピックが日々配信されています。これらの記事を分析することで、世の中の動向を俯瞰的に捉えることが可能です。
注目されているニュースランキングや、ニュースに対するコメントの多さからも、トレンドを知ることができるでしょう。注目度の高い記事にしぼって共通点を探る方法もあります。
ニュースサイトは情報量が膨大であるため、AIツールを用いた自動解析などが効果的です。
口コミ・ 掲示板サイト
口コミサイトや掲示板には、商品やサービスを実際に利用したユーザーの感想が集まります。レビューの中には、商品の長所や短所が具体的に書かれていることがあるので、自社の課題を発見したり、新たな需要を見出したりする上で役立ちます。
特に、熱心なファンが集う掲示板では、企業では気づきにくい改善点を把握することが可能です。愛用者ならではの声に耳を傾けることが、商品力の向上につながるでしょう。
ただし、口コミサイトの情報は、サクラによる投稿や、クーポンなどの特典の見返りとして投稿されたものもあるため、データの信頼性を見極める力が求められます。投稿内容の具体性や、投稿者のプロフィールなどを閲覧し、総合的に判断しなければなりません。
▶あわせて読みたい:口コミ分析とは?分析すべき口コミの種類や分析手法を解説
トレンド分析の際に知っておくべきポイント
トレンド分析を実施する際は、以下の点を押さえておきましょう。
- 明確な目的を持ってデータ収集に臨む
- データの偏りを考慮する
- ツールを活用すれば分析を効率化できる
それぞれ詳しく解説します。
1. 明確な目的を持ってデータ収集に臨む
トレンド分析を始める前に、まずは目的を具体的に定義することが重要です。例えば「若者向けの新商品を開発するために、20代の嗜好や関心事を把握したい」といった具合です。
目的を明確にしておくと、TwitterやInstagramといった若者に人気のSNSを中心に、ファッションや食べ物、エンタメなどに関する投稿を収集するなど、必要なデータの種類や範囲が見えてきます。
漠然と「トレンドを知りたい」というだけでは、関連性の低い膨大な情報が集まってしまうおそれがあるので注意しましょう。
2. データの偏りを考慮する
SNSや口コミサイトなどで収集したデータは、ユーザーの属性や嗜好に偏りがある点を念頭に置く必要があります。例えば、Instagramのユーザーは比較的若い世代が中心のため、シニア層の意見が十分に反映されていない可能性があります。
SNSの投稿者の多くは、積極的に情報発信するアクティブユーザーです。彼らの意見は、一般消費者の平均的な考えとは異なるかもしれません。
このように、トレンド分析ではデータのバイアス(偏り)に常に目を配ることが求められます。偏りを見落とせば、誤った判断につながりかねないからです。データの特性をしっかりと見定めた上で、分析に臨むことが大事です。
3. ツールを活用すれば分析を効率化できる
分析ツールを活用すれば、データの収集から分析までを自動化できます。
手作業でのトレンド分析は、膨大な時間と労力を要します。SNSや口コミサイト、ニュースなど、さまざまな媒体から情報を集めるのは至難の業でしょう。
ツールを活用すれば、特定のキーワードを設定することにより、関連する投稿を自動で抽出することが可能です。人の手を介さずに、大量のデータを効率的に処理できるようになります。分析ツールの活用は、トレンド分析を進める上で欠かせないといえます。
トレンド分析で役立つツール
トレンド分析で役立つツールを4つ紹介します。
- Google トレンド
- Yahoo!リアルタイム検索
- 市場調査ツール
- ソーシャルリスニングツール
H3 1. Googleトレンド
Googleトレンドは、Google検索や関連サービスにおける検索動向を分析できる無料ツールです。特定のキーワードについて、地域や期間、カテゴリを指定して調べられます。
検索ボックスにキーワードを入力すると、その人気度の推移がグラフで表示されます。関連するトピックやキーワードも同時に表示されるため、トレンドの全体像を把握しやすいのが特徴です。専門知識がなくても手軽に使えるGoogle トレンドは、コンテンツマーケティングの企画立案に役立ちます。
H2 2. Yahoo!リアルタイム検索
Yahoo!リアルタイム検索は、X(Twitter)のトレンドをリアルタイムで確認できる無料ツールです。 トレンドランキングに加え、特定のキーワードに関する投稿数の推移や、投稿内容がポジティブかネガティブかを判定する「感情の割合」も把握できます。
自社や商品に関するツイートを検索する、いわゆる「エゴサーチ」が可能です。ユーザーの生の声を把握し、マーケティング施策の改善に活かせるでしょう。X(Twitter)のユーザー層には偏りがあるほか、公開されていない投稿はトレンドに反映されないので、解釈には注意が必要です。
H3 3. 市場調査ツール
市場調査ツールは、市場の動向を調査した様々なデータベースを検索・閲覧できるサービスの総称です。政府統計や企業のマーケティングデータなど、多岐にわたるデータを扱っています。専門性が高く、SNS分析よりもデータに偏りがないのが特徴です。
無料の市場調査ツールとしては、政府機関が提供する「e-Stat」や「経済産業省統計」などがあります。有料のツールとしては、「矢野経済研究所」や「マクロミル」などの民間サービスが代表的です。
調査会社がまとめたレポートでは、データの解釈や考察も含まれています。
自身で解釈するならデータそのものを、すぐに活用できる知見を得たいならレポート形式のツールを選ぶとよいでしょう。
H3 4. ソーシャルリスニングツール
ソーシャルリスニングツールは、SNSや掲示板、ニュースサイトなど複数のデータソースを一元的に収集・分析できる高機能なツールです。トレンドの把握だけでなく、マーケティング全般に活用できるのが特徴です。
例えば、特定のキーワードを含む投稿を自動収集し、言及数の推移をグラフ化する機能などがあります。競合他社のアカウント分析も可能です。
ソーシャルリスニングツールを使いこなせば、プロモーションの効果測定や市場調査など、様々な場面で意思決定をサポートできるでしょう。マーケティングの高度化を目指すなら、導入を検討する価値は大いにあります。
トレンド分析に役立つMeltwater
Meltwaterは、SNS上での自社に関する投稿をリアルタイムで収集・分析できるツールを提供しています。ツールを使用することで炎上などの危機発生時にもいち早く察知できるため、適切な対処を施すのに役立ちます。
Meltwaterの強みは、高精度なセンチメント分析です。センチメント分析とは、テキストから消費者の感情や意見を抽出し、肯定的、否定的、中立的か判断することです。自然言語処理モデルに定期的に言語を加え、正確な分析ができるよう改善を続けています。
そのほか、自動レポーティング機能など、トレンド分析に特化した豊富な機能を備えています。APIを通じたデータ抽出や、画像の認識・分析など、高度な分析ニーズにも対応可能です。
直感的に操作できるので、手軽に活用できる点も特徴です。ソーシャルメディア上の膨大なデータを効果的に活用し、的確な意思決定につなげたい企業におすすめです。
まとめ|トレンド分析で効率的なマーケティングを実践しよう
トレンド分析とは、SNSや口コミサイトのデータを活用し、消費者の生の声や市場動向を把握する手法です。将来の消費者の動向を予測できるため、マーケティングに活かすことができます。
トレンド分析は膨大なデータを使用するため、ツールの活用が欠かせません。ツールの選定では、高精度なセンチメント分析や自動レポーティング機能を備えた「Meltwater」のツールがおすすめです。ソーシャルデータを的確に活用し、ビジネスの成長を加速させましょう。
Meltwaterのソーシャルリスニングなら、SNS上のコンテンツをモニタリング・調査・分析できます。⇒Meltwaterへお問い合わせ
この記事の監修者:
宮崎桃(Meltwate Japanエンタープライズソリューションディレクター)
国際基督教大学卒。2016年よりMeltwater Japan株式会社にて新規営業を担当。 2020年よりエンタープライズソリューションディレクターとして大手企業向けのソリューションを提供。 ソーシャルメディアデータ活用による企業の課題解決・ブランディング支援の実績多数。 趣味は映画鑑賞、激辛グルメ、ゲーム